虎徹さんに言わせた!!!
言ってもらいたい台詞言わせた!!!
ひゃっほう!!!
バーナビーを3ヶ月間振り払う。
それは途轍もなく、虎徹の心に影を落とした。
体だけの関係だと割り切ってはいる。
だが。
バーナビーに抱かれる本当の理由。
口が裂けても言えない言葉が虎徹の中に存在し、体の関係だけでその言葉を発さないように務められている。
そして、虎徹には暗い葛藤もあった。
もし、子供を宿せたら?
だが、バーナビーに突然父親になれとは言えない。
衝撃的な事実を突き付けられ、虎徹は様々な思考を巡らせる。
やがて、思考が落ち着く先は決まって己よりも、誰よりも、バーナビーを優先した結論。
"バーナビーの迷惑になるようなことをしてはならない"
密かに抱いた総てのものを虎徹は捨てていくことを決意するしかなかった。
2部リーグにしては強盗致傷の犯人の検挙は結構な大事だった。
ただ、1部で活躍してきた虎徹と、1部でもすぐに活躍できる実力のバーナビーにとっては物足りないとも言える。
案の定、バーナビーは遣り場のない力を発散するために虎徹を求めてきた。
「虎徹さん、今夜付き合ってください...。」
インナーのまま、バーナビーは虎徹を捉え貪るように口付ける。
虎徹が答えないことを知っていても、だ。
だが、虎徹はバーナビーを引き剥がす。
「わり、...疲れてんだ...。」
歯切れの悪い言い訳だった。
それでも、引き剥がすに越したことはない。
初めて、バーナビーに逆らった気もする。
最初のときは、バーナビーが怖かった。
ただ、男同士でこんなことをするのはおかしいことだということを何度も諭したことだけは覚えている。
そして、その後はズルズルと。
あってはならないことだと理解していても、虎徹は止められなかった。
同罪。
否、バーナビーを止められない虎徹の罪。
それでも、たとえ性欲の捌け口であろうが求められることは嬉しかった。
必要のない心配もさせまいと、付与された能力のことは黙っている。
下手に言うより、黙っている方がいいと、虎徹は己に言い聞かせた。
「...そうですか。」
あっさりとバーナビーも引き下がり、虎徹は内心ホッとしている。
もし、拒否権がなかったらどうしよう、と。
3ヶ月なんてあっという間。
バーナビーの誘いをのらりくらりと躱してさえすればいい。
彼だって無理なことは強いないはずだ。
「疲れてるなら、酸素カプセル入っておいたほうがいいですよ。」
一瞬だけバーナビーの表情が冷たいものになる。
「うん、あぁ。」
虎徹はその冷たい表情を、気付かないフリをした。
1ヶ月が過ぎた頃、バーナビーの誘いが以前と比べると格段に増えている気がした。
能力の付与の話をするべきか、虎徹は思い悩んでいた。
今日もバーナビー自体を避けてしまった。
最近、露骨に避けているのは確かだ。
顔を合わせるのも辛い。
だが、決心がつかずに虎徹がバーナビーを避ける悪循環。
今のこの状態が良い状況でないことは虎徹にだって理解できる。
何より信頼関係を傷付け兼ねない。
近いうちに付与された能力のことを話すべきだ、と思う。
虎徹はそろりと帰り支度をしているバーナビーを盗み見る。
求めに応じないこともあってか、バーナビーの表情が固い。
明日こそは話そうと、虎徹は視線をそらす。
残った仕事を片付けてさっさと家に帰ろう。
気持ちを切り替えるため、今夜は早く寝よう、と目の前の仕事に打ち込み始めた。
午後の6時を回り、1人、1人と居なくなっていくオフィスに虎徹はいた。
今日の仕事を終え、ほっと一息ついて帰り支度を始める。
と、そこで出動のcallがかかる。
「タイミングいいことで。」
悪態をつくが、脚はすでにトランスポーターへと向かっている。
呼び出しのPDAに応えると、久しぶりにアニエス・ジュベールの声を聞く。
「ボンジュール、ワイルドタイガー。」
落ち着き払ってはいるが2部リーグの虎徹に声をかけるのだから嫌な予感しかしない。
「お久しぶりです。で、事件の内容は?」
単刀直入に聞けば、彼女から大事の事件の内容が語られる。
週末の外食時を狙った、シルバーステージのプラザの一角を爆破するとの声明。
完全にテロリストの犯行であるが、対応箇所がかなり広いため、2部リーグのヒーローも駆り出されるとのことだった。
「了解しました。タイガー&バーナビー、至急現場に向かいます。」
PDAを切り、斎藤さんにトランスポーター起動を依頼する。
すぐに対処できるように、インナーを着込みスーツを纏う。
と、そこでバーナビーに連絡をとる。
現場には単身向かっているとの声があった。
虎徹も現場にトランスポーターを向かわせていることを告げると、向こうで落ち合う約束をして連絡を切った。
ようやっと事件から解放されたれば、人心地ついたような溜息も漏れる。
1分も保たなくなった能力を上手く使わなければ、虎徹はもう戦えない。
テロリストのうちの1人を追い詰めたバーナビーの補助に徹し、それが板についてきたと思う。
「ありがとうございます、虎徹さん。」
ラウンジでゆっくりと任務後のコーヒーをすすりながら、バーナビーとの何気ない会話。
「んぁ?あぁ、ATMのことか。」
ATM則ち対戦車ミサイルまで持ち出してきた連中は、ヒーローとの戦いにおいて爆破もそっちのけでそれを放ってきた。
旧式ではあったが、スーツを着ていてもそれなりのダメージになる。
虎徹はバーナビーに向ったATMを能力を使い、安全な場所で爆破させた。
「いいさ、こんな使い方ぐらいしか、ないんだしよ。」
トランスポーターが会社に戻ったとのアナウンスが流れ、2人して簡易のシャワールームへ向かう。
汗をながし、すっきりしたら家に戻る。
バーナビーの隣に立てる、それだけで虎徹は幸せだった。
バーナビーの気配があることに、何故か感謝している。
そう思えば、がくりと体が崩れた。
安全な場所にはたどり着いたが、爆発の直前で能力は切れていた。
スーツ越しではあるが生身で爆発の威力をまともに受けたのは少々誤算だったかもしれない。
「虎徹さん!?」
慌てたバーナビーの声に励まされて、虎徹は大丈夫だと笑ってみせた。
ぐっとバーナビーに抱き寄せられる。
久しぶりに感じたバーナビーの肌に、虎徹は恐る恐る意識を手放した。
ふと目覚めて、PDAを見る。
眠りから醒めるとそれがクセになっている。
「大丈夫です、呼び出しはありませんよ。」
虎徹の頬を辿る長い指はバーナビーのもの。
見渡せば、そこは久しぶりのバーナビーの寝室。
どうして黙っていたのか、と詰るような視線を向けられて、虎徹は苦笑した。
「すまん。」
そう謝れば、バーナビーの口付けが降ってくる。
応えそうになるのを堪えて、バーナビーを引き剥がそうとするが。
尋常でない力で抑え込まれ、引き剥がせない。
「...ちょ...ば...」
文句でも言おうと口を開けば容赦なくバーナビーの舌が侵入する。
ぬるりとした感触と、熱に虎徹はすぐに追い上げられていく。
どろどろとした欲望が、虎徹の中で波打つ。
抗えないのは、バーナビーによって開発された体が肉欲に素直だからだ。
押さえ込んでいた衝動に歯止めが出来ない。
それでも、抱えた秘密の所為でバーナビーと築き上げた関係を壊すことが怖い。
信頼と、そして決して恋人と言えないが体の繋がり。
「バニ...頼む...話を...」
だが、虎徹の声は遠い。
シャワールームで倒れてから、ここまで運ばれてはきたが虎徹は何も着ていないことに遅まきながら気付く。
「話ってなんです?散々俺を避けておいて?」
バーナビーの一人称が本当は"俺"であることは虎徹しか知らない。
それだけに心を許しているのだとは、虎徹はまだ気付いていなかった。
「...それ、は...」
軽く勃ちあがりかけていた欲望を握られ、虎徹の腰が跳ねる。
裏筋を擦られただけで、呆気なく射精してしまった。
「...あ、あぁ...あ...」
どれほどまでに己がバーナビーを欲していたのか思い知る。
「虎徹さんだって、溜まっているんでしょう?」
ぐいと脚を開かれ、バーナビーの体が割って入る。
「だったら、好都合じゃないですか。」
後肛に、何度も受け入れた凶悪な存在を感じる。
「バ、ニー...やめ...ろ...」
期限の3ヶ月はまだ過ぎていない。
抗うことすら許されないが、それでも虎徹は足掻く。
だが、バーナビーの力は虎徹のダメージを受けた体では押し退けるのは無理だった。
「珍しいですね、抵抗なんて。」
そういえば、虎徹はバーナビーに抱かれる際、抵抗らしい抵抗をしたことがなかった。
どうやら、初めての抵抗にバーナビーの反感を買ったらしい。
ベルトを外し、虎徹の手首へと巻きつける。
簡易の拘束具ではあったが、ダメージを受けた虎徹には充分に動きを制御できた。
"抵抗するな"という意味が込められているために、虎徹は抵抗を止める。
動きでの抵抗ができないのであれば、虎徹は必死で訴えるしかない。
「たの、む...から...ゴム...付け...」
避妊の意味を込めて、そう懇願するが。
「そんなの、付けたことないでしょう?」
バーナビーは容赦しなかった。
「あぁッ...あぁぁあぁ...」
バーナビーの太く逞しい肉棒が虎徹の後肛に入り込んでいく。
大した前戯も無しに受け入れた所為か体が軋みを上げる。
虎徹が受けたダメージを知っているくせに、バーナビーは虎徹の体を激しく揺さぶった。
「んあぁっ...あ...やッ...」
してはいけない、と禁じられるからこそ抗えなくなることもある。
今の虎徹は当にそれだった。
「いやだ?嘘でしょう?中はそう言ってませんよ、虎徹さん。」
ずくり、とのたうつような、炎のような快楽が虎徹の中にあった。
バーナビーは的確にその炎を煽っていく。
「...ひっ...あ...あぁっ...」
この快楽に陥落したいが出来ない。
付与された能力が、バーナビーの重荷になる限り、虎徹は何としてでもこの状況から逃げ出さなければならない。
もう遅いかもしれないが、それでも、出来る限りの回避をしようと快感に抗おうとする。
「ふ、ぁ...は...中...中はらめぇ...」
脳天まで響くように乱暴に突かれながら、それでも虎徹はバーナビーに訴える。
だが。
「...もう、遅いですよ、虎徹さん。」
ぐちゅり、と淫猥な音がする。
体の奥に染みていく熱の感触は何度も触れたことがあるもの。
「...あ...え...う、そ...」
虎徹は目の前が真っ暗になった。
実際、ゴムなしという状況でもまずい。
なのに、まともに中に射精されては虎徹の思考回路が止まるほどに、恐怖を受けねばならない。
子供が欲しい、という思いと何度か葛藤はした。
バーナビーに黙って抱かれ、姿を消す。
だが、虎徹にはまだ家族がいる。
兄は?母は?それよりも娘は?
安易な思考での子供を宿したいという考えは、虎徹の中ですぐさま消え去っていった。
それに、バーナビー。
彼を一人置いて消えるということがどうしても虎徹には出来ない。
振り返ると、ふと子供のような顔をしている彼。
その彼から、虎徹は逃げ出せないでいる。
ガタガタと体が震える。
ただ、どうしよう、と虎徹はループする思考の中に落ちていくのみ。
「...中に出すな、なんて。そんなプレイがお望みですか?」
"違う"虎徹はそう叫びたかった。
だが、恐怖や不安が渦巻く思考にバーナビーが刻み込む快楽が加わると言葉自体が失われる。
萎える様子のないバーナビーは徹底的に虎徹を犯しぬくつもりらしい。
そして、虎徹の体は心に反して浅ましく反応する。
「...く...ん...ンッ...」
虎徹の欲望も見事に勃ちあがり、バーナビーを咥え込んだ後肛がひくりと揺れる。
「何だかんだいって、結局感じてるじゃないですか、虎徹さん。」
バーナビーの声はまるで悪魔の囁きのようにも聞こえる。
バーナビーのこの行為を未だ止めることのできない自分が悪いのだ。
体の奥底に響く淫靡な音が脳裏一杯に拡がる。
「あッ...あぅ...くぅ...」
放たれた精がバーナビーの肉棒でかき混ぜられている。
ぐちゃぐちゃと中を擦られる度、虎徹の理性は麻痺したかのように快楽に堕ちていった。
「...あんッ...は、ん...」
虎徹の喘ぎが甘い。
隠せないほどに感じてしまっている。
「あっ...らめ...らめぇッ...」
虎徹の腰が再びどうしようもなくガクガクと跳ねる。
「いぁっ...あぁぁっあぁぁぁん!!!」
淫蕩な焔を抑え込むことが出来ず、虎徹はみっともなく達した。
うねるような内側の動きに合わせ、バーナビーは再び射精している。
「ん...熱ぅ...」
腹の奥に熱い感触が拡がって、虎徹を焼き尽くそうとしていく。
意識を保てず、その場に沈み込みたい。
だが、それすらも許さなかった。
萎える様子のないバーナビーの肉棒が、再び穿たれる。
これは紛れもない陵辱。
だがそれを解っているのに体は陵辱されることを悦んでいる。
どうして体が悦ぶのか、それは虎徹は理解している。
こんな、相棒という尊厳すら打ち砕くような陵辱であっても。
虎徹はひたすらにバーナビーを愛していた。
口が裂けても言えない"愛している"という言葉が虎徹の心の闇に沈む。
愛していることすら忘れてしまいたい。
それが叶わないから、虎徹は泣いた。
みっともなく嬌声をあげて。
何度も何度も中に射精され。
虎徹自身も絶頂に追い詰められ。
言えない言葉を想って、泣いた。
それは途轍もなく、虎徹の心に影を落とした。
体だけの関係だと割り切ってはいる。
だが。
バーナビーに抱かれる本当の理由。
口が裂けても言えない言葉が虎徹の中に存在し、体の関係だけでその言葉を発さないように務められている。
そして、虎徹には暗い葛藤もあった。
もし、子供を宿せたら?
だが、バーナビーに突然父親になれとは言えない。
衝撃的な事実を突き付けられ、虎徹は様々な思考を巡らせる。
やがて、思考が落ち着く先は決まって己よりも、誰よりも、バーナビーを優先した結論。
"バーナビーの迷惑になるようなことをしてはならない"
密かに抱いた総てのものを虎徹は捨てていくことを決意するしかなかった。
2部リーグにしては強盗致傷の犯人の検挙は結構な大事だった。
ただ、1部で活躍してきた虎徹と、1部でもすぐに活躍できる実力のバーナビーにとっては物足りないとも言える。
案の定、バーナビーは遣り場のない力を発散するために虎徹を求めてきた。
「虎徹さん、今夜付き合ってください...。」
インナーのまま、バーナビーは虎徹を捉え貪るように口付ける。
虎徹が答えないことを知っていても、だ。
だが、虎徹はバーナビーを引き剥がす。
「わり、...疲れてんだ...。」
歯切れの悪い言い訳だった。
それでも、引き剥がすに越したことはない。
初めて、バーナビーに逆らった気もする。
最初のときは、バーナビーが怖かった。
ただ、男同士でこんなことをするのはおかしいことだということを何度も諭したことだけは覚えている。
そして、その後はズルズルと。
あってはならないことだと理解していても、虎徹は止められなかった。
同罪。
否、バーナビーを止められない虎徹の罪。
それでも、たとえ性欲の捌け口であろうが求められることは嬉しかった。
必要のない心配もさせまいと、付与された能力のことは黙っている。
下手に言うより、黙っている方がいいと、虎徹は己に言い聞かせた。
「...そうですか。」
あっさりとバーナビーも引き下がり、虎徹は内心ホッとしている。
もし、拒否権がなかったらどうしよう、と。
3ヶ月なんてあっという間。
バーナビーの誘いをのらりくらりと躱してさえすればいい。
彼だって無理なことは強いないはずだ。
「疲れてるなら、酸素カプセル入っておいたほうがいいですよ。」
一瞬だけバーナビーの表情が冷たいものになる。
「うん、あぁ。」
虎徹はその冷たい表情を、気付かないフリをした。
1ヶ月が過ぎた頃、バーナビーの誘いが以前と比べると格段に増えている気がした。
能力の付与の話をするべきか、虎徹は思い悩んでいた。
今日もバーナビー自体を避けてしまった。
最近、露骨に避けているのは確かだ。
顔を合わせるのも辛い。
だが、決心がつかずに虎徹がバーナビーを避ける悪循環。
今のこの状態が良い状況でないことは虎徹にだって理解できる。
何より信頼関係を傷付け兼ねない。
近いうちに付与された能力のことを話すべきだ、と思う。
虎徹はそろりと帰り支度をしているバーナビーを盗み見る。
求めに応じないこともあってか、バーナビーの表情が固い。
明日こそは話そうと、虎徹は視線をそらす。
残った仕事を片付けてさっさと家に帰ろう。
気持ちを切り替えるため、今夜は早く寝よう、と目の前の仕事に打ち込み始めた。
午後の6時を回り、1人、1人と居なくなっていくオフィスに虎徹はいた。
今日の仕事を終え、ほっと一息ついて帰り支度を始める。
と、そこで出動のcallがかかる。
「タイミングいいことで。」
悪態をつくが、脚はすでにトランスポーターへと向かっている。
呼び出しのPDAに応えると、久しぶりにアニエス・ジュベールの声を聞く。
「ボンジュール、ワイルドタイガー。」
落ち着き払ってはいるが2部リーグの虎徹に声をかけるのだから嫌な予感しかしない。
「お久しぶりです。で、事件の内容は?」
単刀直入に聞けば、彼女から大事の事件の内容が語られる。
週末の外食時を狙った、シルバーステージのプラザの一角を爆破するとの声明。
完全にテロリストの犯行であるが、対応箇所がかなり広いため、2部リーグのヒーローも駆り出されるとのことだった。
「了解しました。タイガー&バーナビー、至急現場に向かいます。」
PDAを切り、斎藤さんにトランスポーター起動を依頼する。
すぐに対処できるように、インナーを着込みスーツを纏う。
と、そこでバーナビーに連絡をとる。
現場には単身向かっているとの声があった。
虎徹も現場にトランスポーターを向かわせていることを告げると、向こうで落ち合う約束をして連絡を切った。
ようやっと事件から解放されたれば、人心地ついたような溜息も漏れる。
1分も保たなくなった能力を上手く使わなければ、虎徹はもう戦えない。
テロリストのうちの1人を追い詰めたバーナビーの補助に徹し、それが板についてきたと思う。
「ありがとうございます、虎徹さん。」
ラウンジでゆっくりと任務後のコーヒーをすすりながら、バーナビーとの何気ない会話。
「んぁ?あぁ、ATMのことか。」
ATM則ち対戦車ミサイルまで持ち出してきた連中は、ヒーローとの戦いにおいて爆破もそっちのけでそれを放ってきた。
旧式ではあったが、スーツを着ていてもそれなりのダメージになる。
虎徹はバーナビーに向ったATMを能力を使い、安全な場所で爆破させた。
「いいさ、こんな使い方ぐらいしか、ないんだしよ。」
トランスポーターが会社に戻ったとのアナウンスが流れ、2人して簡易のシャワールームへ向かう。
汗をながし、すっきりしたら家に戻る。
バーナビーの隣に立てる、それだけで虎徹は幸せだった。
バーナビーの気配があることに、何故か感謝している。
そう思えば、がくりと体が崩れた。
安全な場所にはたどり着いたが、爆発の直前で能力は切れていた。
スーツ越しではあるが生身で爆発の威力をまともに受けたのは少々誤算だったかもしれない。
「虎徹さん!?」
慌てたバーナビーの声に励まされて、虎徹は大丈夫だと笑ってみせた。
ぐっとバーナビーに抱き寄せられる。
久しぶりに感じたバーナビーの肌に、虎徹は恐る恐る意識を手放した。
ふと目覚めて、PDAを見る。
眠りから醒めるとそれがクセになっている。
「大丈夫です、呼び出しはありませんよ。」
虎徹の頬を辿る長い指はバーナビーのもの。
見渡せば、そこは久しぶりのバーナビーの寝室。
どうして黙っていたのか、と詰るような視線を向けられて、虎徹は苦笑した。
「すまん。」
そう謝れば、バーナビーの口付けが降ってくる。
応えそうになるのを堪えて、バーナビーを引き剥がそうとするが。
尋常でない力で抑え込まれ、引き剥がせない。
「...ちょ...ば...」
文句でも言おうと口を開けば容赦なくバーナビーの舌が侵入する。
ぬるりとした感触と、熱に虎徹はすぐに追い上げられていく。
どろどろとした欲望が、虎徹の中で波打つ。
抗えないのは、バーナビーによって開発された体が肉欲に素直だからだ。
押さえ込んでいた衝動に歯止めが出来ない。
それでも、抱えた秘密の所為でバーナビーと築き上げた関係を壊すことが怖い。
信頼と、そして決して恋人と言えないが体の繋がり。
「バニ...頼む...話を...」
だが、虎徹の声は遠い。
シャワールームで倒れてから、ここまで運ばれてはきたが虎徹は何も着ていないことに遅まきながら気付く。
「話ってなんです?散々俺を避けておいて?」
バーナビーの一人称が本当は"俺"であることは虎徹しか知らない。
それだけに心を許しているのだとは、虎徹はまだ気付いていなかった。
「...それ、は...」
軽く勃ちあがりかけていた欲望を握られ、虎徹の腰が跳ねる。
裏筋を擦られただけで、呆気なく射精してしまった。
「...あ、あぁ...あ...」
どれほどまでに己がバーナビーを欲していたのか思い知る。
「虎徹さんだって、溜まっているんでしょう?」
ぐいと脚を開かれ、バーナビーの体が割って入る。
「だったら、好都合じゃないですか。」
後肛に、何度も受け入れた凶悪な存在を感じる。
「バ、ニー...やめ...ろ...」
期限の3ヶ月はまだ過ぎていない。
抗うことすら許されないが、それでも虎徹は足掻く。
だが、バーナビーの力は虎徹のダメージを受けた体では押し退けるのは無理だった。
「珍しいですね、抵抗なんて。」
そういえば、虎徹はバーナビーに抱かれる際、抵抗らしい抵抗をしたことがなかった。
どうやら、初めての抵抗にバーナビーの反感を買ったらしい。
ベルトを外し、虎徹の手首へと巻きつける。
簡易の拘束具ではあったが、ダメージを受けた虎徹には充分に動きを制御できた。
"抵抗するな"という意味が込められているために、虎徹は抵抗を止める。
動きでの抵抗ができないのであれば、虎徹は必死で訴えるしかない。
「たの、む...から...ゴム...付け...」
避妊の意味を込めて、そう懇願するが。
「そんなの、付けたことないでしょう?」
バーナビーは容赦しなかった。
「あぁッ...あぁぁあぁ...」
バーナビーの太く逞しい肉棒が虎徹の後肛に入り込んでいく。
大した前戯も無しに受け入れた所為か体が軋みを上げる。
虎徹が受けたダメージを知っているくせに、バーナビーは虎徹の体を激しく揺さぶった。
「んあぁっ...あ...やッ...」
してはいけない、と禁じられるからこそ抗えなくなることもある。
今の虎徹は当にそれだった。
「いやだ?嘘でしょう?中はそう言ってませんよ、虎徹さん。」
ずくり、とのたうつような、炎のような快楽が虎徹の中にあった。
バーナビーは的確にその炎を煽っていく。
「...ひっ...あ...あぁっ...」
この快楽に陥落したいが出来ない。
付与された能力が、バーナビーの重荷になる限り、虎徹は何としてでもこの状況から逃げ出さなければならない。
もう遅いかもしれないが、それでも、出来る限りの回避をしようと快感に抗おうとする。
「ふ、ぁ...は...中...中はらめぇ...」
脳天まで響くように乱暴に突かれながら、それでも虎徹はバーナビーに訴える。
だが。
「...もう、遅いですよ、虎徹さん。」
ぐちゅり、と淫猥な音がする。
体の奥に染みていく熱の感触は何度も触れたことがあるもの。
「...あ...え...う、そ...」
虎徹は目の前が真っ暗になった。
実際、ゴムなしという状況でもまずい。
なのに、まともに中に射精されては虎徹の思考回路が止まるほどに、恐怖を受けねばならない。
子供が欲しい、という思いと何度か葛藤はした。
バーナビーに黙って抱かれ、姿を消す。
だが、虎徹にはまだ家族がいる。
兄は?母は?それよりも娘は?
安易な思考での子供を宿したいという考えは、虎徹の中ですぐさま消え去っていった。
それに、バーナビー。
彼を一人置いて消えるということがどうしても虎徹には出来ない。
振り返ると、ふと子供のような顔をしている彼。
その彼から、虎徹は逃げ出せないでいる。
ガタガタと体が震える。
ただ、どうしよう、と虎徹はループする思考の中に落ちていくのみ。
「...中に出すな、なんて。そんなプレイがお望みですか?」
"違う"虎徹はそう叫びたかった。
だが、恐怖や不安が渦巻く思考にバーナビーが刻み込む快楽が加わると言葉自体が失われる。
萎える様子のないバーナビーは徹底的に虎徹を犯しぬくつもりらしい。
そして、虎徹の体は心に反して浅ましく反応する。
「...く...ん...ンッ...」
虎徹の欲望も見事に勃ちあがり、バーナビーを咥え込んだ後肛がひくりと揺れる。
「何だかんだいって、結局感じてるじゃないですか、虎徹さん。」
バーナビーの声はまるで悪魔の囁きのようにも聞こえる。
バーナビーのこの行為を未だ止めることのできない自分が悪いのだ。
体の奥底に響く淫靡な音が脳裏一杯に拡がる。
「あッ...あぅ...くぅ...」
放たれた精がバーナビーの肉棒でかき混ぜられている。
ぐちゃぐちゃと中を擦られる度、虎徹の理性は麻痺したかのように快楽に堕ちていった。
「...あんッ...は、ん...」
虎徹の喘ぎが甘い。
隠せないほどに感じてしまっている。
「あっ...らめ...らめぇッ...」
虎徹の腰が再びどうしようもなくガクガクと跳ねる。
「いぁっ...あぁぁっあぁぁぁん!!!」
淫蕩な焔を抑え込むことが出来ず、虎徹はみっともなく達した。
うねるような内側の動きに合わせ、バーナビーは再び射精している。
「ん...熱ぅ...」
腹の奥に熱い感触が拡がって、虎徹を焼き尽くそうとしていく。
意識を保てず、その場に沈み込みたい。
だが、それすらも許さなかった。
萎える様子のないバーナビーの肉棒が、再び穿たれる。
これは紛れもない陵辱。
だがそれを解っているのに体は陵辱されることを悦んでいる。
どうして体が悦ぶのか、それは虎徹は理解している。
こんな、相棒という尊厳すら打ち砕くような陵辱であっても。
虎徹はひたすらにバーナビーを愛していた。
口が裂けても言えない"愛している"という言葉が虎徹の心の闇に沈む。
愛していることすら忘れてしまいたい。
それが叶わないから、虎徹は泣いた。
みっともなく嬌声をあげて。
何度も何度も中に射精され。
虎徹自身も絶頂に追い詰められ。
言えない言葉を想って、泣いた。
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