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十二月大歌舞伎 昼の部

『道成寺』
わたくし的に今月最大の見所演目です。立役の方なので少々女装っぽくはなるまいかと不安はあったものの、踊りの上手いミッチーのこと、普通にいいんじゃね?と思ってました。そして実際とても良かったです。わたくしが痛々しいミツヲタであることも考慮に入れねばなりませんが、こんなに短く感じた『道成寺』は初めてです。そしてこんなに若い花子も初めて。普段女形をしてないためか、過剰な色気がない。男っぽくはないんですが、ボーイッシュでとてもかわいい花子でした。ほんとに16歳の生娘に見えました。安珍は初恋だったんだろうな。なんか16歳くらいのフィギュアスケートや体操の選手に通じる清楚なかわいらしさでした。
続き
ミッチーの踊りはよく観ますが、今回女形の踊りと言うことで、普段見ないふわっとした動きが見られて新鮮でした。それでもどう動こうがこの人は止まって見えるんですが。

あとアイテム(笑)の扱いも巧みだった。「花子は花笠を手に入れた!」みたいな。手鞠かわいかったなあ…。

ミッチーが女形する度に起こる「珍しい!珍しい!」って騒ぎが好きです(笑)。八汐みたいに「立役がたまに演じる役」とかでなく、純粋な女形の役をするからでしょうね。あと何かと自分の家の型を持ち出して来るミッチーも好きです(笑)。

<配役>
白拍子花子/三津五郎

佐倉義民伝
珍しい演目なので普通に楽しみにしていました。しかしそういう点では当ては外れました。でも面白くなかった訳ではなく…あーっ!なんか久しぶりに幸四郎に騙されたなーっ!

序幕の『印旛沼渡し小屋の場』は、幸四郎の軟体動物らしさが少々気になるものの、(さっきあんな花子見たから)とにかく段四郎さんの渡し守が素晴らしくてですね…!ここは普通に観られました。しかしまあ宗吾ハウスの場ときたら。村民も面白いし子供もかわいいしでしんみりとして観ていたのですが、こんなに笑える子別れは初めて見たよ!もう宗吾が帰った時のおさん(福助)の「旦那様!」という雄叫びが漢らしくてですね…!そしておさんの村民への気前の良さなどが知らされた後妻子との別れになるのですが、あ、いやその前に三津五郎が裸になってたか。まあそれはいいとして、子別れが本当にくどくて延々と皆様泣き続けてですね…。ついには取り縋る子供らを投げ飛ばし、投げ飛ばしながら江戸へ向かう宗吾…!なんかね、幸四郎…。とても面白くて笑えるんだけど、この芝居はこういう笑いを追及する芝居じゃないと思うよ…!

さらに直訴の場になるのですが、さっきまで雪降ってたのに何故か紅葉の寺境内ですよ…?半年以上経ってないとおかしいじゃん!千葉から東京に行くまで八ヶ月…!?という驚きが収まらぬまま幕。

幸四郎版『佐倉義民伝』はとてもゆかいなエンターテイメントでした。でもまともにこの芝居を観るなら他の人の上演を待たねばなりません…。

<配役>
木内宗吾/幸四郎
幻の長吉/三津五郎
松平伊豆守/彌十郎
おさん/福助
渡し守甚兵衛/段四郎

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