仮名手本忠臣蔵通しの夜の部です。
五・六段目
菊五郎の兄貴が美しい!この人「さすがに歳取ったよなー」と思って見ると、やっぱり美しいんでよく驚いてしまいます。さらに声を聴くと男前二割増し。時蔵さんのお軽ともお似合いだわ。
六段目の主役は勘平ですが、もう一人の主役はおかやだと思います。前家橘さんが演ってから注目するようになったんですが、感情移入して泣けるのはわたしの場合はおかやです。元々好きな東蔵さんが演るので楽しみにしていたのですが、すごく良かった!初役だったんですね、意外です。 「畜生のような婿」という台詞がファンタジスタなのですが、勘平のたぶさを掴んで折檻するわ、東蔵さんが小さくてかわいいものだからますますその「普通のお婆さんが武士相手にここまで…!」感が高まって愉快でした。ただ、東蔵さんのおかやはあくまで悲しそうで、そこがいいのですが。
・左團次さんの源六かわいい。筋書きにも書いてあったけど、リアルに芝翫さんに頭が上がってなくてかわいい(笑)。
・段四郎さんの数右衛門と権十郎さんの弥五郎がかっこよすぎなんですけど…!権十郎さん、この役むちゃくちゃ似合うわ!この人のための役じゃないかって言う気すらして来ます。
七段目
・ド派手紫衣装で遊び回る仁左さんに一瞬伊左衛門の影を見た…!
・門之助さんの力弥素敵すぎる。花道からもっと出て来て…!3階B席からじゃ拝めない…!
・四段目に出て来た斧九太夫はこの役だったのかー(笑)!通しで観て初めて分かった。まったく困った爺さんじゃのう。
・イケメン諸士を双眼鏡でガン見
福助・幸四郎の兄妹が意外にも観ていて楽しかったです。福助のお軽はとんだ電波なのですが、(特に突然声が素っ頓狂になるところがキツい)なんかそんな妹にめっぽう弱く、振り回されオロオロする兄が楽し過ぎて、「子供の頃から妹がとんでもないことを仕出かしては兄がオロオロしていたんだろうなあ…。」とかいろいろ想像してしまいました。
それにしても通しでやるといろいろ分かることがあって、兄の話からあの気丈なおかやが後悔して涙に暮れて暮らしていることが分かり、とても切なくなりました。六段目を観ていないとこういうことは思わないかもしれません。
・九太夫を折檻する由良之助に勘平を折檻するおかやがうっかり重なった
・九太夫を淀川に放り込めと言っておいて、輝くような笑顔を見せる由良之助が鬼畜でよろしい。
十一段目
すごく面白かったです!これだけでは上映出来ない幕なので、あまり観たことがなく新鮮に観られました。特に感動したのが歌昇さんと錦之助さんの立ち回りだよ…!ものすごい殺陣で息を詰めて見守ってしまいました。しかもこのお二人は見た目は若くても二十代とか三十代じゃないんで余計に凄いなと。ここだけでも観たいので次に十一段目が上演される機会があったら逃がさぬようにしたいと思います。
・ちゃんと四十七士いる!(厳密に数えてはいませんが。)全員花道通って行ったので、1階席の人羨ましいなあと思いました。
・門之助さんのりりしい力弥に大興奮
最後に今月あまり兄さんらしい役を演らせてもらえなかった梅玉兄さんがとても兄さんらしい役で登場。そう言えば今月は二人も切腹する人がいるのにどっちも梅玉兄さんじゃありませんでした。