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ロシュフォールの恋人たち/シェルブールの雨傘

デジタルリマスター版が公開と言うことで、綺麗な頃のカトリーヌ・ドヌーヴを一度見てみたい!って言うのと、この時代の名作は逃さず観ておかなくてはと言う気持ちで行って来ました。公開期間も終わりに近いので2本連続で鑑賞。半端なく目と頭が痛くなりましたが、行って良かったです。感想にはネタバレが含まれますので、これから観るのを楽しみにしていらっしゃる方は鑑賞後にご覧下さい。
続き
『ロシュフォールの恋人たち』
初っ端から状況の分からないまま集団の男女が踊り出すと言う展開で、え?何がどうなってるの?ドヌーヴとドルレアックはどこ?と全くついて行けないままその正体不明の男女たちは踊りつつ移動して町の広場に着き、そして広場に面したある家に場面は移り、ドヌーヴとドルレアック登場!ここで初めて物語に入れました。いやー、『双子座の姉妹』最高!姉妹の衣装はどれもかわいいんですが、でもここの衣装が一番だったなあ。カトリーヌ・ドヌーヴは有名ですが、その姉の若くして亡くなったフランソワーズ・ドルレアックにも興味があって、お姉さんなら綺麗でしょ、どんな女優さんだったのかなあと思ってたんで、見られて良かったです。姉妹だから似てるんですが、タイプは全然違いました。ハスキーな声でかっこいい!対してドヌーヴはとにかく綺麗!そしてかわいい!細い!身のこなしが妖精のよう。とにかく目が行ってしまう魅力がありました。

楽しいミュージカルで、とにかくフランス人は恋することしか考えてない!って話で、次々と登場する人物たちが擦れ違いつつやがて出会い、めでたく皆カップルに収まります。変な名前で失恋したことのあるダムさんがシャイで好感度高かったなあ。ちょっとクライヴ・オーウェンに似てるし(笑)。旅のダンサーのエチエンヌにビル、おまえらは何のために出て来たのか…。そして「理想の女性」を探すマクサンヌとデルフィーヌが実際に会うシーンを映像で見せないところが粋だと思いました。

歌と踊りとかわいい衣装と、ハッピーエンドのちりばめられた他愛もない映画ですが、わたしはとても好きです!

『シェルブールの雨傘』
一般的に名作とされているのは『ロシュフォール』よりもこちらで、わたしはこちらの方に期待をかけて観に行ったのですが、「ギイ!」「お客様をお見送りしろ!」とか言う台詞に始まり、とにかくあらゆる台詞が全て歌という斬新過ぎる作りに驚愕。 そしてギイとジュヌヴィエーヴの若いバカップルぶりに呆然。ギイがしょうもなく転落してるのを呆れて見守っているうちに90分が終わってしまいました。

雪のラストは物凄く泣けるのですが、泣きつつもこのラストは納得行かない!と思って観てました。恋は絵空事じゃない、初恋の人と結ばれることはめったにないとか、どんなに好きだった人とも別れを選択することがあるとか、たぶんわたしはこの映画に共感するにはあまりにも子供なのでしょう。年齢的な意味ではなく。だから観ていて好きだと思えたのは絵空事のちりばめられた『ロシュフォールの恋人たち』なのです。他の女が好きな男が好きで、側でじっと自分の番が回って来るのを待っているような女には興味がない。

だけど後になって思いました。あの雪のラストで美しい装いと変わらぬ表情の下で、ジュヌヴィエーヴは心の中でわたしと同じように「納得行かない!」と叫んでいたのではないかと。これは悲恋なのです。

音楽がとにかく素晴らしいです。ギイとジュヌヴィエーヴの愛のテーマは必ず聴いたことがあると思う。あと、ジュヌヴィエーヴを見染めて結婚するカサールは、こんな役どころでもとても好感が持てる人でした。ジュヌヴィエーヴのお母さんはお母さんなりに娘のことを考えている、愛すべき人でした。こんなお母さんはいらないけど。

そして帰宅して『ロシュフォール』と『シェルブール』のサントラを買わなかったことを激しく後悔しました。アマゾンで買おう…。