オーディナリア王朝
かつて世界中を統治していた王族を打倒し、新たな支配者となった一族である。
彼らは前王朝時代に普遍させていた身分制を排除し、すべての者に思想、行動の自由を与えた。
一方で定められた規律、法律を破る者には容赦しなかった。他人の米一粒盗もうものならその倍の返却を命じられ、野盗や罪人以外を殺せば何人であれ死刑と
なる。
そう厳しい規律はないが当たり前のように不満を持つものが現れ、幾度となく王都への暴動が起きた。
しかし数百年の間、歴代の王は暴動や暗殺で死ぬ事はなかった。病や老いによって他界していくが、誰一人として殺されていない、もとい誰も殺せないという
事だ。
以降数千年間、人々は曖昧な自由を手にしながら王朝に従い続けてきた。畏怖する者、王族を神のように崇める者、疑いながら手を出さない者。王朝にとって
はどれも同じに過ぎない。
そしてオーディナリア歴5276年ーーーーーーー
テイルズ オブ リザルブ
一話目「女」 前
その日、町はずれの広場は妙ににぎわっていた。普段は人間どころか怪物(モンスター)でさえ利用する価値のない雑草の生い茂った空き地であるが、今は
赤い屋根の大きなテントといくつかの小さな小屋が並んであり、人々が往来している。
「見ていってくださーい、サーカスですよーー!!」
紺や銀の刺繍を編み込んだ派手な格好の少年少女が声を上げてテントの周りを俳諧している。
彼ら、アスリアサーカス団は子供や青年が多い。そしてその子供達はそれぞれが幾つかの役目を持っている。口から火を噴く少年や剣舞少女、靴を履いたま
ま細いロープを渡る兄妹からピエロまで、出し物の大半は子供達によって行われている。
普通のサーカスは大人達の大胆かつ魅了的な曲芸が中心だが、アスリアサーカス団は子供達の華やかでかわいらしく、しかし大人達と同等の迫力のある演技
が要なのだ。対する大人はというと、一応芸は持つものの子供達ほど受けが良くないので、もっぱら受付や司会、警備と言った仕事に専念している。
これだけしか言わないと大人は無用の長物だが、警備だけは欠かせない。強盗やもめ事の処理はもちろんだが、如何せん怪物の撃退だけは子供には対処でき
ない。
そしてテントの真横にある道具小屋の中、小太りの男と青年が口論をしていた。
「頼むよエルア、お前なら警備も大丈夫だよ」
小太りの男がおだてるような口調で話すが、演劇用木箱に座っている赤髪の青年、エルアは黙って目を閉じ、襟をまくって首筋を掻いた。
「そうふてくされるなよ。第一お前、腕っ節かなりいいだろう?私より、いや、内の中でお前よりも強い奴はいないぞ。何故いやがるんだ」
男が説教気味にかたるが、間もなく口を噤んだ。
エルアはただ煩わしそうに男を睨んだつもりだった。にもかかわらず、男はそれだけで黙った。俺(エルア)を警備にしたいくせに自分に危害が加わりそう
だと勝手な解釈をして後ずさりする、自分勝手で過敏に臆病な行動。うっとうしい。
エルアは吐き捨てるように言った。
「確かに俺はあなたや弱い怪物に勝った事がある。アスリアの中で俺より強い人がいるとは思ってませんよ」
「なら、やはり」男がニンマリと笑ったが、エルアは遮るように話し続ける。
「だからって何で俺なんですか?知ってますよ、あなた達がどうやって警備をやっているかを。一部の人を除き、戦うどころか近くの町に駆け込んで腕の立つ
者に頭をへこへこ下げて連れてくるだけ。この辺りならともかく、王都の北の森で何人の仲間が死んだかわすれたんですか?俺を警備にするぐらいなら、いっ
そ腕の立つ用心棒でも雇ったらどうですか?」
「いや、しかしな…」男が口を濁そうとすると、エルアの口調が強張った。
「それだ。俺はその言葉が嫌いなんだ。都合が悪くなると言い訳を考えるために使う、お決まりの台詞が」
男がうっと声を上げた後、重い沈黙が訪れた。こうなるとエルアを説得するのは容易ではない、と男は悟った。しばらく間を置き、エルアが「失礼、言い過
ぎました」とつぶやいたのを機に男は小屋を出た。
(これで6回目か)
エルアは外に聞こえない程度に大息をつき木箱の上に寝転がった。小屋の天井を見ると、硬質の青いシートが日差しを遮ってうっすら光っている。しかし風
は塞げておらず、時折過剰に靡いている。
やがてテントを徘徊する子供達の姿が無くなり、道具部屋は人々の往来が激しくなった。曲芸の道具を探しに来た少年、エルアへの挨拶だけに訪れた同年代
の女性、どさくさに紛れてエルアに警備を変わらせようとする男と、普段と大して変わらない光景が出来上がる。
テントから観客の歓声が上がる頃には小屋は静かになり、エルアが草の上に寝ころんでいるだけになった。彼は今日のローテーションに組み込まれておら
ず、食事の時間になるまでここを出る必要がない。昼寝をしていようが、誰にも咎められずにすむ。
「…本当に昼寝でもするかな」
そう言って手を頭の下に敷こうとした時だった。
「エー兄、いる!?」
怒ってはいない、しかし焦燥に駆られた幼い声と共に女子が二人小屋に入ってきた。赤と紅の羽織を纏った、アスリアサーカス団の目玉である双子だ。
双子の妹が荒い息づかいで報告する。
「エー兄、スヴェーが、スヴェーが…えーと、ヤバイんだ!」
「……なんだって?」エルアが主語と述語だけの報告に困惑していると、双子の姉が今にも泣きそうな顔をしながら語り出した。
「あのね、あのね……私がね、この子と一緒に出し物の練習してたらね、スヴェーがね、ぶつかってきちゃって……それで…」
とうとう双子の姉は泣き出した。やっと落ち着いた双子の妹が姉をなだめつつ補足する。
「ようするにスヴェー、刀傷を負ってしまったんだ。大人が言うには早く治療しなきゃいけないんだけど、ちょうど今町の医者が不在なんだ」
「薬はないのか?」
「でかい傷なんだ。備品の薬位じゃ止血がやっとだよ。カルカルナとかいう木の実があれば多少マシになるって言ってたけど……」
双子の妹は言い出しにくそうに俯いた。その隙にエルアが起きあがる。
「けど、の後はなんだ」
「カルカルナはこの近くの平原にあるって聞いたんだ。でも最近野盗が木を独占してるらしくてさ。大人達は他の安全な木を探すとか言っているけど、多分」
双子の説明が終わるよりも早く、エルアが結論を出した。
「他の木を探す・・・か?初めて訪れた地域で?冗談じゃない」
「じゃあ、エー兄」双子の妹が目を輝かせる。
「武器を借りてきてくれ。ここにある様な芸具じゃなくて、剣とか槍とかを」
双子の妹はこうなる事を予想していたのか、言い終わるかどうかの内に外へ駆けだした。
が、彼女の帰りはもの凄く早かった。小屋を出た直後何かと衝突したらしく、「うわっ!」と声を上げて小屋の中に弾き飛ばされた。当然、剣も槍も持って
いない。
「ね、ねえ、大丈夫?」
双子の姉が心配そうに駆け寄る。しかし、妹とエルアの関心は入り口で腕組みをして三人を見下ろす仮面(ピエロ)の大男に向けられていた。
ピエロだけではない。先の小太りの男を初めとした警備の人間の多くが入り口を塞いでいた。
「何の用です、みんなして」エルアの口調に棘が混ざり始める。
「ちょっと、エー兄」
「かまわんさ。お前は下がっていろ」
エルアが一歩踏み出すと、大人達は同じだけ後ずさりした。
別段力任せにどかせるつもりはなかった。だが大人達は自分(エルア)が強いと言うだけの理由で危害を加えられると思いこんだのだろう。
胸くそ悪い、とエルアはただでさえ細い目つきをさらに鋭くさせた。
「あいにく今の俺はそんなに暇じゃないんだ。スヴェーが危ないのは知っているでしょう。あんた達が行かないなら俺が行く」
誰も、何も口にしなかった。とげとげしい空気の中、雰囲気を読めない双子達だけがまばたきをして呆然としている。
エルアは以前から大人を嫌悪していた。自らの成すべき事も成さずに自身の安全や軽薄な損得勘定、口先ばかりの約束、執着心の無さ。いつどこなんでさえ
自分や子供達を顧みない目の前の大人共、そして両親。
「今のあんた達の態度ではっきりしたよ。俺が行って困るのはアスリア(ここ)じゃなくてあんた達だろ。俺が俺の意志で戦って死ぬならしょうがない、だが
あんた達の道具になって死ぬのはごめんだ」
エルアの口調は双子さえ恐れるほどに重々しく険しかった。
「どけよ」
命令とも脅しともとれる一言に大人達の壁は一斉に崩れた。短い悲鳴を上げる者、不意に転んでムカデのように手足を使って走る者、隣の者にしがみついて
突き飛ばされる者。
ものの数秒の内に大人達は消え、誰もいない元通りの光景が広がった。ただ一人、剣を抱え、ふらふらとよろめくつなぎ服のポニーテールの女性がいる事を
除いて。
「エル……ア………」
言うなり、ポニーテールの女性は剣を抱えたまま転んだ。が、頭だけはすぐに起こし、必死の形相で請うた。
「お願い、スヴェーを……助けてあげて!」
エルアも双子も女性を見つけた。この人はいつも子供達の事を気にかけている。彼らも幾度と無く世話になり、今もスヴェーのために必死になってエルアを
頼ろうとしている。邪推など、できようものか。
「わかりました。その剣、お借りします」
エルアは目つきと声を元に戻し、女性の運んできた剣を手にした。鞘を抜いてみる。
軽い。
だがそれは自分の感覚であり、彼女の感覚とは違う。スヴェーのために、動かぬ大人達ではなくエルアに剣を渡すため、持つ事も無く持ち上げる事もままな
らない鉄製の剣を抱えてきたのだ。
「行ってきます。スヴェーにも、頑張れと」
蒼來の感想(?)
はい、ご新規のお客様ごらいてーんっと・・・・
ぐふううううう!!!
鈴菜「・・・ここ三ヶ月私達出番がなかったぞ!!(−−メ)」
観月「あらあら、すでに潰れた○みたいな状態ですわ。」
折角こんな駄目管理人のHPに投稿してくれる方が来たと言うのに、いきなり何をする!!
鈴菜「ん、報復。」
観月「あら、あなたは私達のおもちゃでしょ?v」
・・・俺の立場って・・・?(−−;
鈴菜「まあ、蒼來はほっといてと。初めまして白い人さん。今のところ感想にしか出てませんが、蒼來の相方みたいな事をしてる、蒼來より権力は上の姉妹の姉、鈴菜です。」
観月「同じく蒼來より権力は上の姉妹の妹、観月です。」
二
人
「
「
今
後
と
も
、
よ
ろ
し
く
お
願
い
し
ま
ー
す
!
!
」
」
・・・・まあ気を取り直して
この元になる作品なのだが・・・・まったく知らないんだよなあ
鈴菜「テイルズってオンラインゲームにもあるんだろう?」
観月「まあ、蒼來は大航海時代とパンヤしかしませんし。」
・・・まあ、そうなんだが。
しかし、エルア君戦う事が余り好きそうではないねえ?
鈴菜「典型的な巻き込まれタイプかな?」
観月「そのような感じがしますわ。」
うん、しかし妹の危機に立ち上がるが、この後どうなるか?!
鈴菜「好御期待!!」
観月「感想は掲示板の方にお願いいたしますわ。」
しかし、やはり勘違いな感想になってるなあ。(−−;