テイルズ オブ リザルブ
プロローグ
 


なま暖かい風に冷たい雨、湿って力無く地に這いつくばった雑草。
高山に覆われた盆地に雨が降ればいつもこんなものである。

小さな子供たちが水まみれの土の上を走っている。
ただ中にいるのが退屈だったのか、親が運動でもしてこいと言ったのか、それはわからない。
もしかすると、何も考えていないのかもしれない。

しかし、彼らの表情は実に明るかった。
意味、考え、理想、子供は大人以上に縛られる事を望まない。
聡明な者を除き、自分の欲望に従順だ。

「ーーーー嬢、聞いてますか、嬢!!」 

机と椅子が一つと本棚二つしか収まらない個室の中、よく聞く野太い声が響く。
はっとして振り返ると、入り口にがたいの大きな男が腕組みをして立っていた。

「な、なによ」

とっさの返事に男はため息をついて腕組みを解いた。
 よく見ると、その奥には先ほどの子供と同じぐらいの歳の少女が二,三人、ぬいぐるみやら積み木をもっ・u桙ト並んでいるのに気づいた。

「遊んであげてください」
「え?」
「それでは」

男は少女達を一人ずつ丁寧に、かつ迅速に部屋の中へ入れた。私が口を開くよりも速く、彼は一礼してどこかへ去っていった。 
すぐに追いかけて突き返してやりたいが、少女達の視線が私でも玩具でもなく本棚の本に向けられているのを感じ、即興の笑顔を作って少女達に語りかけた。

「何して遊ぶ?ままごと?」

少女達は本棚への興味を取り消し満面の笑みでこちらに振り向いた。


私はただにっこりと笑い、男への殺気を必死に押し留めていた。

蒼來の感想(?)
次も着てるし、短いので感想は次のお話で。