ZERO START
ミッション4 対決1


 うわあ、かっこよくなったなあ僕。
 光が静まった後、僕の姿は変化していた。白と青を組み合わせたどこかのパワードスーツみたいな装甲に包まれたその姿は、まるで色違いテッカマ(Pi−)ードだ。顔が出ているのが難点だが、まあ平均レベルはあるはずだから恥はかかないだろう。
 武器と思えるものは両手についている白い武器。なんか中央でパカッと割れそうだけど、基本は接近戦だろう。足にも刃みたいなものがついてるし、硬質化してるみたいだから何とかなるかな?
「よっしゃ! 一気に逆転タイムといこうじゃないか!!」
「キャー! なんかカッコイー!! ススムちゃんスゴ〜イ!!」
「スゴイスゴイスゴイスゴイスゴイスゴイスゴイ! 定光寺君が変身ヒーローになってる!! 
アキラ感激!!」
「・・・ススム君? いくらなんでも調子に乗りすぎだよ」
「いいから前を見てよね、前を」
 調子にのって大声を出してみたけど、好印象と呆れが半々。ちょっと期待が外れたなあ。ま、とりあえずは集中集中。
 目の前のサイボーグは六人。うち五人は同じ格好をしているから、恐らく一般兵だろう。リーダー各のゴートの弱点は把握している。頭部が弱点だったはずだからスピードで翻弄して一撃叩きつければ何とかなるか。
 リーダーをつぶせば士気は低下する。ゴートさえ何とかできれば何とか勝てるだろう。・・・て待てよ? サイボーグが五人も追加で来ているのか? よく考えたら六対一だろ?
「・・・調子に乗りすぎた?」
「だからのりすぎだっていってるでしょうが!! 少しは考えて行動しなさいよ完全に起こってるわよあいつら!!」
「ぶ・っ・こ・ろ・す!!」
 げ、頭に血が上ってどうしようも無いレベルになってる。よく考えたらザコじゃないから勝てないんじゃないか? クソ、こうなったらやけくそだから足止めだけしてアキたちを逃がすか・・・?
(大丈夫、そこらへんはご都合主義だよ)
「「また出たあ!?」」
「「「え? 何?」」」
 どうやら僕とリリィにしか聞こえない声の持ち主が出てきたようだ。アキや永尾はおろか、御田さんまで首をひねっている。
 だが、どうやら予想通りの展開になってきたようだ。すぐ上からヘリコプターの音が飛んで来る。だが、コレがどうしたというんだ? って攻撃が来た!!
「死ねい!!」
 とび蹴りに対して伏せようと思ったが、後にみんながいるところを思い出して動きを止める。だが、それではとび蹴りの勢いを止めれそうに無い。
仕方が無い。とりあえず伏せると、ちょっとかわいそうな気がしたけど腕を振り上げた。うわ、いやな触感。だが効果は絶大なようだ。一撃でノックダウンした。うわ恐ろしい。ごめんなさい。って敵に謝ってどうする
あまりにも効果絶大なようだ。敵の奴らこの悲劇に動きを止めている。問題は上のヘリコプターか。ってあれってトオルの言ってた対地攻撃ヘリかよ!! ちっ! この距離じゃ攻撃が届かない。ジャンプで出来るか・・・?
「ススムちゃん前!!」
 アキ!? 前って・・・なっ!!
「ゴート!」
「借りは返すぞ糞がぁあああああっ!!!」
 ゴートは以前をはるかに上回る一撃をたたきつけた。予想外にも重い一撃だ。おもわず足がガクンと曲がる。膝が地面につく寸前で何とか止まるが、とてもじゃないけど押し上げれない。
 しかも他のサイボーグがその横をすり抜けようとする。このままではアキたちがまずい!!
「どうしたどうした!? 生物兵器ってのは名ばかりかぁ!? このゴートさまの足もとにもおよばえじゃねえか!?」
「僕は・・・、まだただの一人の一高校生でもあるんだよ!!」
 ゴートが調子にのって嘯くが、僕は本音を言いながら隙を見て全力で足払いをかける。強化された筋力は流石にかなり上がっていて、一撃で軸足を払ってバランスを崩させゴートをこけさせる。
 そして倒れるゴートがのしかかるよりも早く突撃。石を掴んで一番前を走るサイボーグに投げつける。
 はずれ。
 焦って連続して掴んで投げるが、見事に三連続で外れる。クソッ、当たれよ、当たれってば!!
「こんちくしょぉおおおおっ!!!」
 やけくそになって大量に小石を掴んで大量に投げる。よし、今度は三人ほどまとめてHIT!! バランスを崩した所を飛び上がって追撃。倒れているあのときのサイボーグを踏んづけてもう一度飛び。最後尾のサイボーグに踵落とし。更に一回転つきで飛びバランスを崩したサイボーグ達の前に飛び降りる。
「てめえ!!」
「悪人にてめえ呼ばわりされる筋合いは無い!!」
 構えながら叫ぶが、しかしヘリからバルカン砲の掃射が襲い掛かる。飛び退って回避するが、今度は対地ミサイルが発射されるみたいだ。ってやばいぞオイ!!
「ススム下がって!!」
 その時リリィの声が響き、その声に反応して更に飛び退る。銃声はしたけど誰も倒れていない。また外れたのか? が、その時上から悲鳴がした。って上?
「ススムちゃんヘリが!!」
「定光寺君!! 上、上!!」
 アキと永尾が何故か騒がしい。思わず上を見ると、ヘリがなんかふらふらしてる・・・ってなんかガラスに穴とヒビと赤い色が・・・。って落ちる!?
「早く乗るんだ!!」
 御田さんがジープにのって呼びかける。助手席に青い顔をしたリリィが座っていて、後部座席にむかってアキと永尾が走って乗り込もうとしていた。
 判断は一瞬。二人を抱えると飛び上がって乗り込む。そしてヘリが降下して爆発すると同時にジープは最大速度で発進した。

 爆発するヘリはススムたちの逃走を補助し、ゴートたちの追撃を拒む。ゴートは怒りに体を震わせると、地面に腕をたたきつけた。
「ガァアアアッ!! このゴート様を二度もコケにしやがってぇえええっ!!」
「お、落ち着いてくだ―」
「うるせえ!!」
 なだめようとしたサイボーグを殴り飛ばしゴートは更に荒れ狂う。
その様子を少し離れたところで眺めていた男がいた。彼はため息をつくと静かに歩く。
「何を考えているんだい? 悔しがっている暇があるなら、アレをさっさと使えばよかったんだ」
「てめえは!!」
 ゴートは彼を睨むが、しかし彼はため息をつくだけで何も動じようとはしない。
「こっちも学校を欠席してここまで来たんだから、もう少し頑張ってくれないか? 特に君は、サイボーグであってサイボーグで無いんだから」
 意味深な少年の言葉。だが、ゴートはその言葉に、額に青筋を立てると睨みつける。
「てめえ・・・、お前もお仲間だろうが!!」
「微妙に違うけどね。まあ、どちらにしても大佐が君には戻ってきて欲しいそうだ。どうやらアレを使うらしい」
「何だと!? まさか・・・欠陥品十五号か!?」
「ああ。彼の細胞と同じ物を持つ、最悪の失敗作。どうやら本気でぶちのめすようだ」
 少年はさげすむような笑みを浮かべるとススムたちが去っていった方向を眺める。
「さあて、一体どうなることかな?」

 紙袋を抱えながら、僕は油断無く周囲を見渡す。とりあえずつけられてはいないようだ。ふう〜、安心した。
 とりあえず安全は確認したので近くにある空き屋のドアを開けて中に入る。直後視線が殺到した。
「ただいま〜。食糧確保には成功しました。温かくないけど勘弁してね?」
「あれ? リリィさんは?」
 僕がおいた紙袋に殺到する三人だったけど、アキはふと僕のほうを見て首をかしげた。まあ誰でも心配するよな。唯一普通に外国で会話できるリリィと荷物もちとしての僕が買出しにいったってのに、僕しかきていないんだから。
 しかし、別になんてことは無い。リリィはついでに町外れに隠したジープの様子を見に行っただけだ。
燃料が切れかけていたのもあいまってとりあえずここまで逃げたが、明日の早朝には出発しないと非常にまずい。とりあえずスパイがいるかも知れないので空き屋に隠れているが、いつ見つかるかわからないから気を付けないといけない。だったら逃走手段の状態を考えるのは当然だ。
 だが、その事を説明してもアキは安心してないようだった。むしろ僕を責めるような視線を向ける。
「ススムちゃん! 女の子一人ほおって帰ってくるなんてヒドイじゃない!!」
「いや、だってもうクジだから三人ともお腹すかせてるだろうし、お腹をすかせた女の子とほおって置くほうがひどいんじゃない? てか別にリリィは女の子じゃ・・・」
「いいから! とっとと迎えにいってきなさい!!」
 はあ。怒られちゃった。
 しぶしぶながらとりあえず駆け足でリリィを探す。まあ町外れのジープを隠している場所に向かえば見つかるか。別に心配するほどのことでも無いだろうけど。とりあえず言っておかないとアキがうるさいだろう。
 が、言ってみたけどリリィの姿は見えない。念の為にジープの陰を除いてみたりしてみたけどやっぱり何所にもいない。
「大丈夫か?」
 思わずそんな言葉が漏れる。油断していたかもしれない。とにかく急いで探さないと! だが、よく見てみるとちょっと遠くにリリィが腰を下ろして夜空を見上げているのが見えた。ったく。心配かけさせて。
 ほっとしながらとりあえず声をかけようとリリィに近づく。だが、その肩が小刻みに震えているように見えて動きを止めた。その時思わず小枝を踏んで折ってしまう。
「ススム!? あんた、アキたちの方に戻ってたんじゃないの!?」
「い、いやあ。実はそのアキに追って来いって怒られちゃって・・・」
 なんとなく気まずくて視線をそらすが、立っているのもなんなのでとりあえず隣まで来て座る。リリィは何故か顔を赤らめるが、多分今朝のことでも思い出したんだろう。かく言う僕も顔が赤い。って誰だ! いま照れてるなんて言った奴は! ぼ、ぼぼぼぼぼ僕にははは、な、ナナセがいるんだからオイコラそこなんだその笑みは!!
 とにかく。気まずくて何もいえそうに無い。でもどうしたモンかな。このまま黙って座っているわけにはいかないし・・・。リリィもそんな感じなのか、うつむいたまま何も言わない。
そのまま二十分ぐらい時間がたった。何もいえないけど何か言わないといけないし、どうしたらいいのかなぁ?
「・・・私、怯えてたんだ」
 唐突に、リリィがそんな事を言ってきて僕は驚いた。一体どうしたんだと思って僕は振り返るが、リリィが僕の方を見ていない。その視線はただ夜空を見上げていた。
「父さんや母さんの仇をとるって思ってこんな仕事に入っておきながら、私は人を撃つことに、殺す事に怯えていた。サイレントが人を殺していくように私も人を殺す事になる事を、気付かないフリをしておきながら、心のどこかで怯えていた。だから撃つ時になってそのおびえが邪魔をしていたみたい」
 リリィはそういってからうつむく。一瞬だけ見えた顔は、どこか怯えているような笑っているような怒っているような、とにかくいろんなものが混ざって自分でもわけがわからない感じがした。
 再び小刻みに肩が震え始めてきた。リリィの声も震えてくる。
「それが、アンタや周りの人たちを助けようと思ったら撃てた。自分の為だと全然撃てなかったけどね。・・・だけど撃った途端に怖くなってきたのよ。バカみたいでしょ? あんだけ仇うちをしようと思っていたのに、肝心な時に出来なかったんだから」
「それは違うよ」
 そう、絶対に違う。それだけは心の底から断言できる。リリィは驚いて僕の方に振り返る。やっぱりないていたみたいだ。涙が勢いで宙に舞う。
「来るっていなけりゃ戦争は出来ないって言うでしょ? だから怯えていいんだと思うよ?」
 慰めるようにぽんぽんと背中を叩く。途端、リリィが思いっきりなきながら抱きついてきた。思わず倒れてしまうが。正直そんな事を考えている余裕は無い。
「な、ちょ、リリィ!?」
「ふえぇえええええん!!」
 はあ、仕方ない、泣き止むまでは正直待っといてやるか。慰めるようにリリィの頭を撫でながら、僕はやれやれと思いながらもそう考えた。
 が、そのあとリリィはがしっと僕を抱きしめながら眠ってしまい。場所が場所だけに指をはがせないあげく。このまま返るとアキがうるさいような感じがしたので朝までこの体制でいざるおえなかった。ああ、腰が痛いし眠いよ〜。

続く


あとがき
 ススリリフラグ発生!! ナナセは大丈夫か!? なこの話しいかがでしたか? 
 とりあえずススム君の戦闘能力は完璧にパワーアップ。コレでどんな敵もイチコロ・・・ってわけではありません。だから残念ながらまだまだ苦戦します。ヒーローのような圧倒的大活躍はありえません。よそで見てください。
蒼來の感想(?)
ヴォォォォォ○テッッッッッ○ァァァァァァ!!!!!
鈴菜「いきなりなんだ?!」
観月「ええと・・・どうやら、テッ○マンブ○ードの必殺技みたいですわ。」

観月アタリ。でも、曖昧な記憶だから間違いの可能性もあるけどね。
鈴菜「あのなあ・・・いきなり叫ぶことはないだろ?」
最近、ストレスが多くて・・・叫ばないとやってられません(´Д⊂)
観月「自分で勝手に抱えた、ストレスでしょう?」
))))))))))))))))))))煤S( ̄ω ̄;)ノギク!!
鈴菜「・・・解った、この前のレースだ!!」
はい、そうの通りです・・・_| ̄|○
観月「まあ、蒼來が競馬で負けるのは、何時ものことですし・・・感想に行きましょう。」
鈴菜「だな。」
(/TДT)/あうぅ・・・・
観月「では、お久しぶりの本編の感想を。」
うん、まずは変身の反応からだね・・・これは各人の、性格が良く出てるなあw
鈴菜「まあ、切羽詰った状況なのにハシャグのはね・・・」
観月「でも、驚いた人が居ないのは、不思議ですわ」

まあ、ススム君の周りの人達って、神経図太そうだからねw
鈴菜「そんなこと言ってると、リツコさんが改造しに来るぞ?」
観月「作品が違うリツコさんのような気がしますが・・・」

まあ大丈夫だろう。
てなわけで、次。
謎の高校生(幹部ね)登場!!
まるで、フ○メタのレ○ードみたいwもしくは、カ○ル君。
鈴菜「じゃあ白銀の髪にキザなんだな?」
観月「違うと思いますわ、お姉様」

まあ、希望も含んでるんだけどね。
ススム君達は敵から逃げれたけど・・・別の敵が出てきて大変だなあ
鈴菜「だなあ、何か十五号とかいう新キャラも出るしなあ。」
そうだよなあ。ただでさえ、ナナセちゃんなどを含めた修羅場が待ってるのに・・・
観月「フラグも立ってますわね。」
果たして、幸福な地獄が待つススム君の、運命やいかに?!
鈴菜「ヲイヲイ」
観月「間違いではないですが・・・それは蒼來の掲載速度しだいですわ。」

( ̄∇ ̄;)ハッハッハ・・・何とか頑張ります。<(_ _)>