ZERO START
ミッション2 刺客 2

「はあ? 父さんのいそうな場所ですか?」
「ああ、出来れば外国あたりで思い当たる場所とか知らないかな?」
 ホテルのレストランで昼食を取りながら、僕はピリさんの質問に首をひねった。
 正直、父は学会で海外に行ったことはあるが、遊びとかではほとんど国内だ。はっきり言って空気が合わないらしい。
「・・・まったく覚えがありません」
「そうか・・・。仕方が無い、あとでリツコさんにも聞いておこう」
「・・・そういえば、姉は今の所大丈夫なんですか?」
 思わず僕は聞いていた。やっぱりサイボーグなんてのが出てくると心配だからなんだけど、それ以外にも嫌な予感がしてるんだよな・・・。
「ああ、さっき連絡を取ったけど大丈夫だよ。ただ・・・」
「ただ・・・なんですか?」
「立体プロジェクターに驚いてたみたいだけどね」
 立体プロジェクター? 一体なんだろう。聞いたことが無いや。
「なんなんですか? それ」
「文字通り立体に見えるプロジェクターだよ。パッと見では本当にそこにあるように見えるらしい」
「凄いですね〜」
 その後、僕たちは簡単な世間話をした。そして気付いてみたらもう二時だ。そろそろ帰らないと刑事さんが心配するかも。戻ろう。
「じゃあ、僕はこれで」

 あ〜、ついたついた。泳いだせいか、なんか疲れたな。さっきまでなんとも無かった足も、ゴートを蹴った時に痛かったのが再発してるっぽいし、後はじっとしておかないと面倒だな。いろんな意味で大変だもん、あとは姉さんが帰ってくるまで静かにしておこう。
 おっと、刑事さんに帰った事を伝えておかないと。
「刑事さ〜ん? 今帰りましたのでとりあえず連絡を・・・」
「ああ、さっき連絡があったよ。だから僕たちも戻ってきたんだ」
 なんだ、刑事さんたちも外出してたのか。もう少し遊べばよかったかな?
 とりあえず、その後はテレビを見たりしたりしてくつろいでいたけど、僕はふとある事に気がついた。
「一応、出口に部屋の番号を教えたほうがいいかな?」
 このホテルにいる知り合いだし、何かあったときは連絡が取り合えると楽だ。誰か場所を知っている人が居てくれるのは安心できるしね。
 そう考えた僕は、備え付けの電話に近づいていった。ホテルの電話番号はさっき出口に聞いてたけど、こっちは教えるのを忘れてたし、ここで教えておくのが普通だよな。
「ん? なんだコレ?」
 電話をかけようとしたら、電話の近くに小さな紙切れがあった。何気なく裏返して見ると、そこには筆跡を誤魔化したようなカタカナで
『オマエヲコロス』
「なんだって!?」
 一体いつの間にこんなモノを!? と、言うことは進入した奴がいるのか? いつ? どうやって?
 って、そんな事を考えている場合じゃない。それ以前に僕がそんな事を考えてもしょうがない。とにかくこういうのは専門家に任せないと! とりあえず僕は急いで刑事さんのいる部屋のドアを開けた。
「刑事さん!!」
「入ってきちゃダメだ!!」
 はいったとたんに刑事さんが怒鳴ってきた。え? 一体なんで? 
 その疑問はすぐに分かった。部屋の中には、色白で不健康そうな顔をした男が、綺麗な刀をもって立っていて、隣ではもう一人の刑事さんがばっさりと切り捨てられていた。
「な・・・っ?」
 一体誰だ? サイレントの暗殺者だろうか、でも、何か違和感があるような気がする。一体何が? 
「そいつはサイレントの暗殺者だ。急いで逃げよう!!」
 刑事さんはそういうと僕の手を掴んで走り出す。
 あれ? なんだ、また違和感がしてきた。一体なんだ? なんなんだ、この違和感は。
「け、刑事さん、一体なんであいつらはあんな所から出てきたんですか?」
「あんなところまで入ってきたんだ。きっとロビーにもヤツラの仲間がいるはずだ」
「そ、それじゃあ、どこに逃げたってイミが無いじゃないですか」
 僕は一瞬本気で驚いた。だったら応援を呼びながら一旦部屋のカギを閉めて足止めしたほうがよかったんじゃないのか? 
 その時だった。この階の警備をしていたインターポールの人がこっちに気付いて声をかけてきた。その時、一緒にいた刑事さんが狼狽したような気がした。一体どうしたんだ?
「オイ、いったいなんで走ってるんだ?」
「そ、それが・・・」
 刑事さんは何故か言葉に詰まっていた。そんな事をしている場合じゃないでしょうが。待ちきれなくなって僕が先に言うことにした。
「部屋にサイレントの暗殺者が隠れていたんです。恐らく刑事さんたちが出ている時に・・・」
「え? それは変だな」
 インターポールの刑事さんは、僕の言葉を遮ると首をかしげた。
「あの部屋の前にだけ小型の監視カメラを仕掛けていたんだよ。だから侵入者がいたんならすぐに分かるはずだけど・・・」
「へ? じゃああの男は・・・」
 一体あの男は何所から出てきたんだ? いくらなんでもいたように見えただけなんてわけが無い・・・、あれ? どこかで似たような話をしたような・・・。
「・・・立体プロジェクターか?」
「え?」
 刑事さんが分からないみたいなので簡単に聴いた事を説明した。そして、説明していくうちにドンドン頭の中で話が繋がっていく。
「そうか、あのとき刀がきれいなままだったのは立体映像だったから、刑事さんの悲鳴が聞こえなかったのは、すでに死んでいたから、そして追いかけてこないのは立体映像だから。・・・そしてその立体映像が何所から来たのかは・・・」
「君じゃないと仮定すればただ一人・・・っ」
 僕と刑事さんは一人の男を見た。それは応接間に待機していた残りの刑事。彼は間違いなく狼狽していた。図星のようだ。僕は彼を睨みつけながら口を開く、
「つまり、本物はもう死んでいたと・・・」
「ああそうだよ」
 それは一瞬の出来事だった。男が顔に手を当てたかと思うと、一瞬で顔を破って突撃してきたのだ。僕には何故かそれがゆっくりと見え、ごく普通に右に飛んでかわした。
 一体どういうことだ? なんでこんなにゆっくりと見えて、簡単に行動が起こせるんだ? 普通はパニックになるだろう? 僕の頭の中に疑問符が踊る。だけど、それは顔についた血の感触ですぐに消えた。血? 何所から? 僕じゃないみたいだ。つまり・・・。
「う、うわぁあああっ!!!」
 気づいた時には、すでにインターポールの刑事さんは切り捨てられていた。きった男は色白で痩せた不健康そうな男。間違いない、立体映像はコイツを写したものだったんだ。
「まさか立体映像が破れるとは思わなかったぜ。さっしの通り刑事は俺が切り刻んでやったよ」
 男は懐から取り出した懐紙で刀についた血をぬぐうと、僕に迫る。
 マズイ! 一対一で勝てるような奴じゃない、逃げないと・・・、僕は慌てて走り去ろうとしたが、その時足首が痛くなって倒れてしまう。クソッ!! こんな時に・・・ッ!!
「残念だったな。あの世に行きな!!」
 刀が振り下ろされる。咄嗟に両手でガードの姿勢をとるが、間に合うわけが無い。僕は目を閉じると母さんに会えるかなどと考えてしまった。だが、
カキィ〜ン!!
金属同士がぶつかるような、そんな感じの音がしただけで、僕は痛くもかゆくも無かった。いや、腕に何かがぶつかったような痛みが少しだけする。
一体何が起きたんだ? 僕は目を開けてみる。そこにいたのは狼狽している男と、振り下ろされたが止まっている刀。そして刀を受け止めている僕の両手だった。
「え?」
「何だと!? まさかお前は・・・っ!!」
 僕は一瞬混乱していたが、男が狼狽しているのを見て我に返る。チャンスだ。
「お返しだぁあああっ!!」
 僕は拳を握り締めると、胸を鋭くえぐるように拳を叩きつける。どうやらサイボーグじゃなかったらしい。骨が砕けるような嫌な感触がした。
「ぐぎゃぁっ!!」
 悲鳴を上げて吹っ飛ぶ男。今度は十メートルは飛んだか? 
 どちらにしても今がチャンスだ。僕は急いでエレベーターに乗ると、すぐに一階まで降りて行った。

「流石にエレベーターより早く降りれるとは思わないんだけど・・・」
 とりあえず、ここまでくれば一安心だろう。僕はそう思ってほっと息をついた。
 だけど、あの手はいったいなんなんだ? 今までにあんな力を出したことは一度もないし、第一刀を受け止められるだなんて普通じゃない。どっかの国の兵隊が、訓練の映像で刀を弾き返しているのを見たけど、それは腹筋だし、第一僕の筋力じゃ無理だ。
「一体なんでなんだ?」
 僕は内心の疑問符を吐き出すかのように、そうつぶやいた。すると・・・、
(それについては答える事は出来ません・・・)
「・・・へ?」
 待て。何所から聞こえた? つ〜か誰が言ったんだ? 
 慌てて周りを見渡した僕は、周りが何故か暗くなっている事に気がついた。一体何が起こっているのかさっぱりわけがわからない。
(私が言える事は唯一つです・・・)
 また聞こえた。一体誰の声なんだ? まてよ、この声どこかで聞いたような・・・。・・・!? まさか・・・、
「か・・・、母さん!?」
(そうです・・・)
一体なんで母さんの声が聞こえるんだ!? まさか、さっきの男の攻撃を喰らっていて、それで僕は死んじゃったとかじゃないだろうな!?
(運命は受け入れるものではありません・・・)
 僕の混乱をほおっておいて、母さんの声はそう伝えた。
 すると、周りが急にもとの明るさを取り戻した。
「あ、あれ・・・? 母さん? 母さん!?」
 慌てて呼びかけるが、母さんの声はそれっきり聞こえてこなかった。一体何が言いたかったんだ? 僕にはさっぱり検討もつかない。
 僕がそう思っていると、エレベーターは一階に着いたらしくドアが開く。まさか追いついちゃいないとは思うけどもしものことがあったら困る。僕は一目散に駆け出した。

 ロビーまで行くと、すでに姉さんは帰ってきていたようで、ピリさんと話をしていた。恐らくは僕に話したのと同じ事を聞いているんだろう。
「ピ、ピリさ〜ん!!」
 大声で呼びかけると、二人は驚いて僕を見た。そりゃ驚くよな、こんなホテルで息を切らして走ってる男を見る事になるなんて。
「ススム!?」
「どうしたんだい? あわてて走って・・・」
「さ、サイレントの暗殺者が・・・」
 僕はかいつまんで暗殺者の話をした。言ったって信じられないだろうから腕のことは言わなかったけど。
 僕の話を聞いたピリさんの顔が険しくなる。そりゃあそうだろう。インターポールのメンツは丸つぶれなあげく部下を殺されたんだから、怒るのが当然だ。
「チッ! まさかこんな所にまで進入してきただなんて・・・っ!! 秋山!! すぐにホテルを閉鎖しろ!!」
「ハッ!!!」
 秋山刑事が急いでホテルの閉鎖の為に走り出す。相手はケガもしているわけだし、とりあえずはこれでつかまるだろう。そう思って僕は安心した。
・・・待てよ? そんなことになったら僕の腕のことがばれるんじゃないか? ちょっと問題な気がするな。まあ、背に腹は変えられないか。
その時だった。いきなり、そういきなり、天井の一部が爆発と言っていいほど勢いで破壊されたのは。
「な、何だ!?」
 僕たちが慌てて見る中、一人の男が破壊された天井の部分から舞い降りた。赤い髪を立たせた黙っていればもてそうな男。我に帰った刑事たちが取り囲む中、その男は僕たちを見るなり、凶悪な笑みを浮かべた。
「カマキリは失敗したか。まあいい、予想していた事態が実現しただけのこと。俺が尻拭いをすれば済む事だ」
 ちょっと待て。それって僕たちを捕まえるってことか? たった一人でこれだけの数に対応できるとでも?
 まてよ、こいつは天井を破壊するような攻撃力を持っているんだ。恐らくサイボーグ。もしかしたら出来たりするのかも・・・。
「雑魚は雑魚らしく消えな!!」
 男はそういうなり、一瞬で一人の刑事を殴り飛ばした。ちょっとまて、今なんか内臓みたいなものが飛び出なかった? 
 だが、そんな事を考えている暇は無かった。瞬く間にロビーで待機していた刑事たちは倒されてしまった。つ、強すぎる・・・。
「インターポールってのはこんなもんか? くだらなさ過ぎるぜ」
 そういった男は、こっちに近づいてくる。咄嗟にピリさんが僕たちの前に出るが、いくらなんでも一対一じゃ危険すぎる。
「逃げてくださいピリさん。殺されちゃいますよ!?」
 僕は慌ててそういうが、何故かピリさんは余裕の表情を浮かべていた。いったいなんでそんな表情でいられるんだ? 
あれ? あの男が何故か動きを止めている。男はピリさんを睨みつけると構えを取った。つまりは本気の証だ。
ピリさんはそれを見ると、静かに男を睨む。男も殺気だってて、周囲に緊張感が漂い始めた。男が珍しいものを見たような口調でつぶやく。
「まさか、こんな所でお前みたいな奴が出てくるとはな。インターポールも本気らしいな」
「まあ、そういうことだよ。ススム君、君こそリツコさんを連れて逃げるんだ」
 鋭い視線をぶつけながら、ピリさんは僕たちを促す。
 一触即発の空気の中、一台のバイクがガラスを突き破って突入してきた。
「何!!?」
「何だ!?」
「えっ!?」
 一同の驚きの視線の中、ゴーグルで目を隠したバイクに乗る謎の男は、僕たちを見るなり大声で言った。
「ここは僕に任せて、ススムたちは逃げてっ!!」

続く

 結構長くなっちゃいましたね。謎の男が乱入しまくり、一気にホテルは大混乱です。ススム君の謎の力はモチロンの事、サイボーグに暗殺者、そしてバイクにのった仮面じゃないライダー(オイ
 その実力はいかに!?
 そして、次は刺客編ラスト! ススム君の女難を始める最後の一人が登場!!(オイオイ ススム君の運命はどうなる!?

蒼來の感想(?)
・・・・・・変身!!Vスリャ・・・グファァァァァァ!!!
鈴菜(仮)「いきなりできんことすなあぁぁ!!(ライダーキィーック!! \\(0\0)┌θ☆(#/__)/グヘ)
観月(仮)「無謀ですわ、煉獄さんも「仮面ライダーじゃあない」って言っているのに」
いやねついやりたくてね・・・後ヒイロ・ユイ(?)も出たし・・・
鈴菜(仮)「ああ、蒼來がガンダムの男性キャラで2番目に好きなキャラだしな」
観月(仮)「1番はキラ・ヤマトでしたわね」

うん、そう。しかしススム君・・・もしかして最高のコーディ・・・
鈴菜(仮)「違うと思うが・・・どちらかと言えば改造人間じゃあないか?」
観月(仮)「どちらも人の手によって生み出されてますから、変わらないかもしれませんわ」

やはり仮面ライダーかw
鈴菜(仮)「ひつこいぞ(苦笑)ところでガンダムの好きなキャラ、女性の方は誰がすきなんだ?」
観月(仮)「それはもう、決まってるじゃあないですか。私達の元になったキャラですわv」

・・・・・・・・(−−;;;;
鈴菜(仮)「・・・・・・何故に無言なんだ?(怒+種割)」
観月(仮)「まさか違うと言うのですか?(怒+種割&黒オーラ)」

・・・・・逃げます、じゃあ!!逃走ε=ε=┏( :・_・)┛ すたこら

鈴菜(仮)「待たんかー!!、誰が好きだが言ってからにしろー!!(アカツキ発進)」
観月(仮)「待ちなさい!!キリキリと白状しなさーい!!(インフィニットジャスティス発進)」