ZERO START
ミッション2 刺客

「・・・うわあ、豪華な」
「ほ、本当ね・・・」
 ホテルの前に着いた僕はホテルを見上げるとこれだけしかいえなくなった。
 豪華、豪華、超豪華。外国からのVIPが止まるであろうこのホテルは、もはや驚愕以外の何者でもない。いくらテロリストが狙ってきているからといえど、こんなところに止まれるのは凄くラッキーなんじゃないか?
「驚いたかい?」
 僕達が唖然としていると、後ろから声がかかってきた。振り向いた先にいるのは一人のインド辺りの出身っぽい男の人。色黒の肌とターバンが特徴的だが、その目は優しげだ。
「・・・ええと、どちらさまで?」
「インターポールのピリ・ライナリだ。これから君たちの護衛をすることになった。ヨロシクたのむよ」
 ピリさんはにこやかに笑うと手を差し出してきた。とりあえず僕も手をだして握手をかわす。姉さんもそれに続いた。
「しっかし、豪華なホテルですね〜。こんなところに止まれるだなんて・・・」
「インターポールのメンツみたいなものさ。ホテル内には五十人のインターポールが待機してるし、日本警察からも応援が来ているから、まあ安心してくれて構わないよ。ああ、それと・・・。秋山!!」
 ピリさんは近くにいたスーツ姿の初老の男に声をかける。その男の人が近づいてきて始めてわかったが、彼は日本人だった。
「始めまして。秋山と申します」
「同じ日本人だから、何かと相談しやすいと思ってね」
「そうでしたか・・・。ヨロシクお願いします」
 姉さんが頭を下げて、僕も慌てて頭を下げる。秋山さんは慌てて手でそれを制す。
「いえそんな。私もドクター定光寺のご家族に会えるだなんて光栄で光栄で・・・」
「え? お父さんを知っているんですか!?」
「直接の面識はございませんが・・・」
 そういいながら、秋山さんは自分の左手を見せる。そこにあった右手は、金属だった。
「私もこのとおり義手で、本当にありがたいと思っているんですよ。おかげで何不自由なく暮らすことが出来て・・・」
「そうでしたか・・・」
「じゃあそろそろホテルに行こうか。もしものこともあるしね」
 ピリさんにしたがって、僕たちはホテルへと足を進めた。

「・・・とりあえず、当分はここに止まってもらうよ。セミスイートルームだ」
 案内された部屋は、結構豪華な部屋だった。こんなところとまったことがないよ。
「とりあえず。私達は捜査の方に戻るよ。外出は控えるようにしてくれ。友達には連絡してもいいから」
「それでは。何かあったら隣の応接室に待機している刑事に連絡してください」
 そういって、ピリさんと秋山さんは部屋から出て行った。きっと捜査とかがあるんだろう。忙しい人だ。
「に、しても」
 ベッドに倒れこみながら、僕は正直頭が痛くなっていた。父さんが行方不明になったと思ったら、今度は父さんを探しにテロリストが登場。そして最後に謎の怪力を発揮した僕。何があったのかはわからないけど、謎が多すぎて考える気もなくなる。
 まあ、よく分からないけど隣に警察もいるからここは別に大丈夫だろ。ウン。
「・・・あ」
「な、な、何ぃぃぃぃぃいぃいいいいいいっ?!!?!??」
落ち着け落ち着け。いまのはただ姉さんが突然声を上げただけじゃないか。驚くのは筋違いだよ。うん。
「あはははは。な、なに姉さん? なにかあった?」
 笑って誤魔化しながら僕は慌てて姉さんに尋ねる。ここで取り乱すのはきわめてマズイ。落ち着くんだ僕よ。何事も冷静にクールに速やかに。
「・・・今日大学で研究発表しなきゃいけないのよ。すっかり忘れてたわ」
「別にいいじゃないか姉さん。つーか今出るのは危ないよ」
 研究発表といったって、肝心のシローはいなくなってるのに大丈夫か?
「大丈夫よ。論文を発表して変えるだけだから。一応ライナリ警視に頼んで護衛をつけてもらうし、こっちも気を付けるから。それよりも」
 途中でいきなり姉さんは真剣な顔つきになると、僕に詰め寄った。
「な、何?」
「ススムも気を付けてよ。何でサイレントが父さんを狙っているのか知らないけど、私達を人質として使うにしても、二人もいらないはずよ。むしろ一人殺してからのほうが効果的かも・・・」
 姉さんのその言葉は、はっきり言って本当におこりそうな気がした。それほどに説得力がある言葉であり、なおかつそんな危機感を僕自身抱いていたからだろう。

「だぁあああ!! ヒマだ!! 絶対ヒマで退屈で死んでしまう〜っ!!」
 欝なぐらい暇だよ。こうなったらホテルのプールで泳いでやる!! やってられるか!! とりあえず隣の部屋の刑事さんに連絡してから急いでプールで泳いで疲れて眠ってやるぜ!!
「刑事さん。ちょっとヒマなのでプール言ってもいいですか?」
「分かったよ。行っておいで」
 よっしゃあっ!!

「定光寺君じゃないか」
 プールに着いた直後に後ろから聞き覚えのある声が飛んできた。僕が振り返ってみると、そこにいたのはなんと出口だった。
「で、出口? 何でこのホテルに!?」
「ああ、ここに住んでるんだよ」
「住んでるぅ!?」
 今出口何を言ったんだ!? ここに住んでる? こんな高級ホテルに!?
「両親が外国に働いててね。何度も引越しするわけには行かないから・・・」
「そ、そうなんだ。大変だね出口も・・・」
「まあね。それより、定光寺君は何でここに?」
「ああ、実はもっと大変な事態でね・・・」
 僕は出口にこれまでの事情を簡単に伝えた。モチロン、謎の怪力のことは内緒にすることにした。自分でも説明が付かないのに、そんな事をいったら何が起きるか分かったもんじゃない。
 そして一通り聞き終えた出口は、あくまで冷静だった。
「大変だったね・・・」
「ああ。セミスイートに止まれたのがせめてもの救いだよ。ああ、部屋には行かないほうがいいよ。いつ暗殺者が来るか分からないし」
「・・・だったら早めに戻ったほうが言いと思うけど?」
 そんなこと言わないでくれ。僕もヒマなんだよ。
 そんな事を考えながらふと横を見ると、プールを優雅に泳いでいる二人の女の子が見えた。片方は白い競泳水着。もう片方は紫色のビキニといった姿だ。遠目に見ても美人だ。・・・ってまさか・・・。
「トモにナナ・・・辻さん!!」
「スス・・・定光寺君!!」
 ナナセ!! 言いそうになるのを何とか抑えて僕は二人を呼んだ。ナナセもビックリしていたみたいだが、何とか冷静さを保ってたようだ。危ない危ない。
「お、定光寺に出口やないか。こんなところで何しとるんや」
 いきなり痛いところを!! ナナセが心配するからこんなところで言いたくないけど、だからといってトモを連れ出すのもちょっと・・・。
「ああ、僕ちょっとした事情でここに泊まっててね、定光寺君を遊びに誘ったんだよ」
 僕が焦っているところに、出口が助け舟を出してくれた。ありがとう出口。とりあえず僕も平静をよそいながら二人に尋ねることにした。つ〜か、そっちのほうが安全だ。
「ところで、二人こそどうしてここに?」
「ん? 辻がここに行く最中にばったりあってな、それで無理言ってついてきたんや」
「叔父さんからここのプールの無料券をもらったから」
 そんなものがあったのか。いいなあ・・・。

 そんな事言ったりしながら、僕たちはプールで楽しい時間を過ごした。その後、僕はホテルの出口まで二人を送ることにした。流石にそれぐらいはしないと怪しまれるだろう。うん。
「・・・じゃあ、僕はこのヘンで」
「ああ、またな定光寺」
 トモが軽く手を振りながら去っていく。ナナセもそれに続こうとして、一旦こっちに戻ってくると、耳元でこういった。
「・・・今度は、ススム君をさそうね」
 ・・・いや〜そんな〜。んもう可愛いことを言ってくれるなあナナセはぁ〜
「・・・大丈夫かいススム君」
 後ろで秋山さんに心配そうに声をかけられてしまった。むちゃくちゃ恥ずかしい。僕は一体どんな状態だったんだ?
「いきなり顔を真っ赤にさせたかと思うと、クネクネと曲がったりして・・・。風邪でもひいたかい?」
「ストレスがたまるのは分かるが、何かあったら私たちに言ってくれたまえ。何でも相談にのるから」
 ここまで言われるとは思わなかった。ちょっとショック。

続く


 ハイ、煉獄です。とりあえず刺客へん前フリ終了です。次からススム君ピンチです。ススム君に遅いかかかる危機、そして女難!!(笑) どうかお楽しみにしてください。


蒼來の感想(?)
ワープアウトと・・・(ヲイ
え〜とあれ?アキちゃん何処行ったのかな?
目撃者だから一緒に保護されてるかと思ったのですが・・・
鈴菜(仮)「んーと家に帰ったんじゃあないのかな?たまたま居ただけだろうし」
観月(仮)「それよりホントにススム君は女の子に縁がありますわね」

・・・だな。煉獄さんがあとがきで
「女難」認めてるし・・・
鈴菜(仮)「リツコさん天然かと思ったんだけど・・・」
観月(仮)「違うみたいですね・・・シローさんについての発表みたいでしたが、変更になったみたいですわ」

うん、蒼來天然だと思ってたw・・・シローはホントに何処に居るやら・・・
鈴菜(仮)「で、ナナセさんをお持ち帰り・・・」
観月(仮)「できませんわね、流石に」

命かかってるからねえ・・・そりゃあストレスも溜まるでしょうにw
つうことで感想は此処まで。
鈴菜(仮)「では読まれた方達は感想を掲示板までよろしく頼むね」
観月(仮)「今の所1つもないので蒼來が引揚げられるんじゃあないかと戦々恐々していますわ」
ホントによろしくお願いしますぅぅぅぅぅぅ!!!・゚゚・(>_<)・゚゚・。ビエェーン...