「あれ? イオスには逢えなかったの?」

 館の食堂で少し遅い昼食を取りながら、マグナがの手を覗きこむ。

 そこに握られているのは、イオスの勾玉。
 マグナの記憶がたしかならば、昨夜ついに『修復』を行える召喚獣を呼び出すことに成功したは、今日早速イオスに返しにいく、と言っていたはずだった。
 それなのに、勾玉が今もの手にあるということは。

「いえ、私の勾玉と交換で……預かったんです」

「ああ……そっか」

 事前に養父に話を聞いていたので、マグナにはなんとなくだがわかった。
 聖王国へ遠征する前に、イオスがに逢いに来たんだろう。
 その時に石を返そうとしたに、逆に石を預けた。
 想いのこもったものならば、それを見るたびに自分を思い出してもらえるし、もしもの時は――――――そのまま形見にもなる。
 逆に、の石を持っていったのも、お守りか何かのつもりだろう。

「おねえちゃん、どうしたの?」

 沈んだ表情のを気遣うように、ハサハが首を傾げる。
 きょとんっと見つめる赤い瞳に、どう説明したものか考えて、はただ曖昧に微笑む。

「さて、

 を心配し、自分まで悲しそうな顔をしているハサハの頭を、マグナがそっと撫でる。
 突然頭を撫でられたハサハは、首を傾げながらマグナを見上げ、すぐに気持ち良さそうに目を細めた。

「キミの召喚術も使えるようになったし、
 ハサハもリィンバウムのことを一通り覚えたし……」

 話題を変えたマグナの言葉を、が引き継ぐ。

「そろそろトリスさんを迎えに出発。……ですね?」

 マグナにとっては先延ばしにされていた、最重要事項。
 戦争が始まるかもしれない今。
 出発の準備が調ったのならば、すぐにでも迎えに行きたい。

 不安を隠すように微笑むに、マグナは気付かないフリをして自分も笑う。
 不自然な微笑みを浮かべる2人に、ハサハは不安げにの勾玉を見つめた。






  

 後書きの類似品。

 間にの脱衣ブロック崩しなんて作ってたから(笑) アップが遅くなりました。私的には目指せ週1アップなので……今週はもうちょっと頑張ります。(決してイオスが動かしにくいのが理由じゃないですよ(爆笑) 予定にないゼルフィルドとのやり取りを入れたのも遅くなった要因かな。
 の初召喚成功のお話をぬいて……これにてほのぼのデグレア編(違)は終了。次回より01話です。
 そういえば……デグレア編なのに、悪魔達出てないや(笑)
 はい、素直に認めます。『忘れていました』
 いやだって……あれだけパパ全開なレイムさんがいたら…いらんだろう(爆笑)


 微妙に予告?

トリス「お願い、お兄ちゃんっ!」

(2004.03.12UP)
(2008.02.11 加筆修正)











舞台裏小(笑?)劇場。

マグナ「やあ、。キミに呪いをかけた悪魔を捕まえてきたよ」

バルレル「離せっ! 首根っこ掴むなっ! オレは猫じゃねぇぞ」(じたばた)

「(きょとんと瞬いて) 違いますよ、ご主人様。私が呼び出したのは……こんなちっちゃい子供じゃなかったです」

バルレル「ちっちゃい言うなっ!」(じたばた)

ルヴァイド「、あまり近付くな」(ちゃっかりと抱き寄せる)

イオス「たとえちっちゃくても、『悪魔』だからな」(ちゃっと槍を構える)

バルレル「だから、ちっちゃいって言うなっ!」(うっきーっ)

レイム「それはそうと……総指揮官殿。うちの嫁に気安くベタベタベタベタベタベタベタベタっと……触らないでいただけますか?」

ルヴァイド「………マグナに嫁はまだ早いだろう」

ハサハ「おにいちゃんの、おとうさん」(くいくいっとレイムの服の袖を引っ張る)

レイム「どうしました?」

ハサハ「あのね、ハサハ、これ見つけたの」(01話のプロットをレイムに手渡す)

レイム「(ざっとプロットに目を通して)………聖女の捕獲作戦は……レルム村は殲滅に作戦変更しましょう(きっぱり)」

イオス「なっ…そんな勝手なことが許されるものかっ!」

レイム「(無言でプロットをイオスの眼前につきつける)」

イオス「……………くっ」(プロットをルヴァイドに手渡す)

ルヴァイド「……………………了解した」