『one』
丸くやわらかい。
優しい歌声に耳を澄ませ、ハサハは息をひそめる。
そして身を隠すようにしゃがみこんだ。
聞こえてくるのは優しい旋律。
漂うのは甘い焼き菓子の香り―――――――っと軽い足音。
パタパタと足音の主が遠ざかる。
音を立てないように立ちあがり、あたりを確認。
先ほどまで綺麗な歌声を披露していた黒髪の少女の背中が見えた。
が、結構距離がある。
そろりと他とは離れたところにある焼き菓子に手を伸ばすと……
「こら! ハサハちゃん?」
まったく怖くはないが、黒髪の少女が眉を寄せてこちらを睨んでいた。
腰に手を当てているのはポーズ。
『ダメですよ』と言葉には出さずに怒っているのがわかる。
「そっちはダメ。ちゃんとみんなの分も作ってあるんだから……」
「……これは?」
「へ?」
「これは、誰の? ハサハのは、みんなとおなじ」
一つだけ離れたところにおかれた焼き菓子に、ハサハが未練がましく白い尾を振る。
お菓子を作る手順を最初からのぞいていたので、材料もすべてほかと同じことは知っていたが、ひとつだけ離れた場所におかれたそれは『特別』であることがわかる。
そして、だからこそ『特別』美味しそうにも見えた。
きょとんっと無垢な瞳に見上げられて、黒髪の少女は頬を染める。
それから目を反らすと、ハサハが狙っている『特別な焼き菓子』の乗った鉄板を棚の上に移動させた。
少女ですらも背伸びしないと届かないそこは、ハサハには当然手が出せない。
「まっくろくろのおかし。みんなとおなじじゃないのは、誰の?」
「……えっと……」
「誰の……?」
少女の白いエプロンの裾を掴み、首をかしげて見上げてくる妖狐は大変愛らしいが、意外に頑固であることをしっている。
さて、どう誤魔化したものか。
少女は移動させた鉄板を睨み、それからぎゅっとエプロンの裾をつかむ妖狐とを見比べた。
■すでに日記でないあたりがなんとも私らしい(笑)
原稿ばっかだと、飽きるんですよ。私が。
だから、会社から帰ってきて、夕飯までの約1時間に……こんなもの書いて息抜き(笑)
楽しいのは私だけ、って気もしますが、まあ気にしない☆
何気なく、100のお題の『one』でございます。
せっかくなので、日記と連動してミニサイズでこなそうかと思いまして……まあ、頑張ります。
明日は……『電子回路』かな?
■この日記、『天気』の項目があるのですが……働いていると、日中の天気はわかりませんね。せいぜい、お昼休みか行き帰りか。冷暖房完備の社内では、季節を感じることも出来ませんし。(いや、でも真冬にクーラーが必須な職場環境はどうかと思う。
■聞かなかったことにしたい話。
お仕事を出産のために辞めた人が手伝ってくれるらしいのですが……めでたく3人目が12月にうまれるらしく(笑) 一番忙しい年末なので、ピンチです。
でも、それよりも早く辞める気まんまんなので、気にしなくていいはずなんですが……つい、遺される人間を思うと着が引けます。(いや、会社自体に未練はまったくないのですけどね。)
考えなくて良いはずの話しなんだけどなぁ。
■そういえば……
今日から7月ですね。早い!
毎日が短調なので、あっと言う間に1年がたちます。怖いなぁ。
原稿がんばれ、自分。
今日の数字『74.9』