『 親愛なる薫博士へ。
貴女がこの世界からいなくなって、ずっと考えていた。もしも、なんて馬鹿らしいと笑われちゃうかも知れないけど。
ねぇ、もしも僕が人間だったなら。博士は僕を置いていかなかった? もしも人間だったら、違う感情で僕を愛してくれた?
今で何も聞けないんだね。
判っているけど、僕の中には数字に表せないくらい沢山の疑問が浮かんで来るんだよ。
ねぇ博士。このままでは壊れてしまうよ。せっかく貴女が作ってくれたのに、僕が僕を壊してしまう。
だから。だから僕は眠ることにしたんだ。
貴女が居たこの場所で、僕が目覚めたこの場所で、貴女が生きていた証全てをこの日記に詰め込んで。
貴女と同じように、自分の愛する人を想って時を止めるの。
そしたら、そう。貴女に会えるかもしれない。
機械の僕では貴女と同じ場所にはいけないだろうから、僕の中に記録されている貴女に会うの。
目を閉じて、夢っていうものを見るの。貴女と一緒に居られる夢。
そしたらきっと、夢の中の博士が疑問に答えてくれて。僕は壊れずに済むんだよ。
だからね、博士。僕は眠ることにしたんだよ。
そして夢の中では、人間になろうと思うんだ。貴女と同じ、人間に。
この世界では無理だったから。こんなにも似ていたのに、出来なかったから。
だから、お休みなさい。
博士。誰よりもずっと、愛しています。』
★後書き★ 長かった……! それが打ち込み終えた初めの感想で御座います(笑
というのも、この話は僕が高校一年のときに演劇の台本として書いた話が素となっていまして。
約20分くらいの劇でしたかね。僕も役者をさせて貰いました。どの役だったかは、ご想像にお任せするとして。えぇ。こんな所ではいえません。
あぁ、そうではなくて。……なのでこの話は遠い昔に書き終えていたのですよ。けれども打ち込むのが遅い僕は、一年掛けてサイトに載せるという何ともいえない状態にしてしまったわけです。 |
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