視線の先に居たモノ。

成り代わることは不可能なのだと 誰かが嗤った。



過去に存在したモノ。
二度と戻りはしないのに イツマデ待ち続けるの。


手を伸ばした。

声を荒げて。喉が切れるほど。

どうか此方に向いて欲しいのだと 叫んだけれど。



虚空を切った。
声を掛けても振向いてくれず。
それでも此方を見て欲しいと 願っていたのに。



『記憶の中で生き続けている』


『そして手に入れたのだ』





キミが悲しげに呟いた言葉。

其れは消したくないと想うあまりに 作り出した幻で。


キミが嬉しげに囁いた台詞。
其れは失くしたくないという願いから 生まれた偶像で。



本当は只独りきりのキミ。

あまりにも 寂しい現実に 耐えられず

全てを失くすことに 消し去ることに 決めたのか。



……本当ならば許せないのだと罵倒すべきだろう。
キミのことなど忘れて 先に進むこともできたはずなのに。
存在全てを否定されても それでも未だ、キミを待つ自分が居るんだよ。


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