紅い、紅い、紅い、紅い、紅い、紅い、紅い、
そら、そら、そら、そら、そら、そら、そら。
闇に焦がされた地面が、血を吸って紅く空へと昇り続ける。
………………うぜぇ。
頭も、痛てぇ。
目の前の大きな屍が、何かを抱えている。それはもっと小さな屍。 まるでその大きな屍が、小さな屍を守っているかのような。 ともに顔は悲壮に満ちている。いや、表情なんてわからないさ。 溶けきった皮膚ではソレを示すことすら出来やしない。 ただ溶けた部位がまるで融合しているようにみえて悲壮的。 シロキツバサの炎に焼かれたか。 可哀想に。可哀想に? これは俺の台詞じゃないな。コレは俺が言うべき言葉じゃない。 俺は人なんて簡単に殺せる。人だけじゃない。目に映るもの全てを。ぶち壊すようになっている。 そうだろう? なぁ、なぁ。答なんて返ってくるはずがないけど。 どこまでも続く死体の山。その蒸れた死臭が鼻の粘膜を刺激する。 墨と脂と鉄とアンモニアの匂いが混ざる。 目の前の屍を踏み潰せば、這い出た蛆の集団に吐き気を覚える。この場に立っていられるのは、俺くらいだろうか。 空を見れば、シロキツバサを持つ者達が地上に向けて火を放っている。 きっとあの下には、無力な人間がのた打ち回っているんだろう。
………………今更どうだっていいさ。
それよりも天眠達は何処にいる?
祈朴が死んでから、まだ数日? いや、数ヶ月・・・。
感覚なんてなくなった。もう何日経ったかなんて覚えちゃいねぇ。
俺だけが残ったのか……?
【天と地の間に生まれた亀裂は ヨワキモノヲ喰らい尽くしてなお空腹だとナク】
………………………………………あぁ。
そろそろ約束の時刻だ。何処も彼処も紅い果実の綺麗な闇に染まってやがる。
そうだ、もう行かなきゃなんねぇんだ。約束をした。
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