あぁ、さて何の話からしたらいいかな。てかまろ様の頭で理解できるのか?
あ、悪い悪い。んじゃ折角だし海堵の所から話すか。

『海堵』

それは昨日も言ったけど、遥か昔に存在した天子のコトだ。
天子って知ってる? 天使じゃなくて、天子。神の子っていう意味。
天使は神の言葉より生まれた、神の使い。天子は神の力がそのまま生命を持ったモノで、神の子。


……意味判らない? まぁ気にすんな。


で、天子ってのは『海堵』『天眠』『祈朴』『地補』 の四人いるんだけど、そいつ等は【天地の亀裂】って言う戦いで死んじゃったんだよな。
【天地の亀裂】って言うのは、まぁもうそれこそありえねぇって位に昔の戦争で、簡単に言うと人間と天使での争い。
ちなみに天子は人間側に付いたらしい。
でも結局人間が負けて、全滅したはずだった。
なんで今、こうして人間が生きてるのかはよく判らないんだけどさ。
俺自体は、あの時の記憶を持っていないし。


……記憶?

あぁ、そうそう。俺は『地補』の記憶保持者……らしい。記憶はねぇが。
記憶保持者ってのは、単純に言えば生まれ変わりってコトらしいけど。
ちなみに桂嗣が『天眠』の記憶保持者で、組織のトップの巽が『祈朴』の記憶保持者。
ほら、小さい方の辰巳に聞かなかったか?
組織で美人な巽に会ったって。そいつが『祈朴』ってこと。


ん? 組織ってなんだって?
……何か話がイロイロナ所に飛んでるなぁ。ま、いっか。
話を続けるぜ?


俺たちが組織って呼んでいるのは……あれ? なんて言う名前か忘れちゃったよ。
……ほら。政府の縦社会の端っこっつーか、えっと、危ない所に結界張ったり、危険な術者を捕らえる等の仕事をする集団。
あぁ、そうソレ。良く術者の就職先として、憧れの職場っていわれてるしな。まろ様も知っていたか。
まぁ表面ではそんな感じ。けど裏では天使と繋がっているっていう……。
未だに天使達は人間を消したがってるらしいしな。
多分バレない所では、イロイロやってんだろう。
つってもソレを知ってるのは、組織の中でもほんの一部だろうけどよ。


昨日来た鬱灯も組織の一人。っそ、辰巳がいた場所もソコ。
多分、俺たちの敵……かな? 微妙な所だ。
なんせヤツらは遊びに来る感覚で俺たちに会いに来るしな。


……知らなかったのか?
鬱灯なんて、毎日のように桂嗣に会いに来てるぜ。
他にも何人か来てるようだが……なんだろうな。向こうの意図が良く掴めない。
まぁその内嫌でも会えるし、普段は攻撃して来ないから気になるなら直接聞いてみれば?
多分マトモに答えてはくれないだろうけど。


でも、これだけは覚えておいた方がいいな。
稜を殺したのも、組織だ。


稜は『海堵の記憶保持者』で……よく記憶にうなされてたな。
……いや、なんでもないさ。

稜と俺達は仲間だった。
てか俺が稜と知り合った時には、もう稜の横には桂嗣と架愁が揃ってたがな。
んで稜がずっと昔に『桂嗣の口調はあんなのじゃなかった』って言ってさ。
だからまろ様の夢に稜が出てたんじゃないかって思ったんだけど……。


何でその稜が鶴亀家に血を混じらせたかっていうと。
アイツが死ぬ間際、一緒に鶴亀家時期当主がいてさ、その子の腹を借りたんだ。
今性教育の授業をする気がないから、何で腹を借りたかというのは、あえて無視しろよ?
んで、いつか鶴亀家の子孫として生まれる事を誓ったんだ。
まだ、やらなくちゃいけねぇコトがあるんだってさ。
で、俺たちもここで待っているわけだが……。


……そう……だな。稜の記憶があるってことは、もしかしてまろ様は……。




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