頭がいてぇ……。

痛い?これくらいでか?

外は真っ暗なのに、目の前だけはチカチカしやがる。

お前は脆いな。

ちきしょうっ。

可哀想に。

ヤツの記憶を見ると、必ずこうなる。

それは俺が態々選んでるんだよ。
なんて言っても、お前には聞こえないだろうが。

何処までも真紅な道。

吐き気がしそうだった。

手はいつもその色に染まる。

何度となく泣きそうになった。

鼻につく、あの独特な匂い。

そして緩慢になる。

骨を潰したときの、あの感覚。

頭の芯が感覚を失う。

純白という穢れを 真紅な血で洗い流すように。

純粋さは、あまりに残酷だから。

心躍るその瞬間。

シロでは、何も守れないから。

ヤツの記憶に、体ごと持っていかれそうになる。

大丈夫。
お前は一人じゃない。
だから安心して……。

ちきしょう……。

狂気に溺れろ。

マタだ。

さぁ早く。

またあの感覚がやってきた。

俺の声を聞け。

ちきしょう。

否定するな。

もう見たくなんてないのに。

アレとの約束を
お前に伝えなきゃいけないんだ。
もうずっと待たせてる。

籠に閉じ込めたはずの記憶が、無理矢理這い出してきやがった……。

初めて人を殺した日。アレが悲しげに笑ったんだ。
『海堵だけが、僕を判ってくれる』と泣きながら感謝してきた。
本当はダレも壊したくないって。けれどドンドン壊れてしまうから。
約束をした。本当はどうだって良かったんだけど。俺しかいなかったから。
コロシテあげる、約束をしたんだ。



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