私は修吾君に言われるまま部屋に戻って、持ってきたありったけの服を身に纏いペンションを出た。

外に出ると、自分達の吐く息が白く濁る。

「うわぁ。結構寒いね・・・いっぱい着込んだけど。」

「クスクス。美菜、モコモコ。」

「うっ。だって・・・寒いもん。でも、真っ暗だよ?こんな所を散歩するの?危なくない?」

「ん?大丈夫だよ。一応オーナーさんからこうやって懐中電灯を借りて来たし、こんなに寒い日はクマさんだって出ないしね?」

クスクス。っと私に向かって思い出し笑いをする修吾君。

・・・・・何、思い出して笑ってるんだ。

「なっ何がおかしいの?」

「ん〜?いや、合宿の時に美菜が迷子になってさ。俺、探しまわったでしょ?山の中で蹲ってる美菜見つけて、ぽん。って肩に手を置いたら『クマさん、私は死んでます!!』だもんね。あの時も相当面白かったけど、今思い出しても笑える。」

「いやっ!わわっ!!なっなんちゅう事を思い出すの・・・だってだってあの時すっごく怖かったんだもん・・・ぅぅ。もう、修吾君笑いすぎって!!」

お腹に手を当てて、いまだにククッ。と笑い続ける修吾君の胸を手を繋いでいる反対の手で、ぽんっ。と軽く叩く。

「あははっ。ごめんごめん・・・でも・・・ぶっ!・・・ダメ、ツボに入った。」

「やだぁあ!!もぅ、恥ずかしいから笑わないでよぉ。」

繋がれた手を離して、両手でパンパンと交互に叩くと尚も笑いながら私の肩に腕をまわして、きゅっ。と頭を引き寄せられた。

真っ赤な顔で彼を軽く睨むと、彼は軽く私の額にちゅっ。と音を立ててキスをする。

「美菜のそういう所、好きだよ。」

「なっ?!・・・うぅ・・・・もぅ、恥ずかしいぃ。」

修吾君は私の肩に腕をまわしたまま、私の腕を自分の体にまわさせると自分の手と私の手を一緒にコートのポケットに入れる。

「美菜の手、冷たいね。」

「それは心が温か・・・。」

「クス。言うと思った。」

「うぬぅ。」

でも、不思議。修吾君とこうしてると、不思議と体が温まってくる気がするよ。



***** ***** ***** ***** *****




道が少し拓かれたところで立ち止まると、ここら辺かな。と呟いて肩にまわしていた腕を下ろす。

「修吾君、何かあるの?」

「うん。ほら、あれ。」

そういって修吾君が指差した方向。

私はそれにつられて、上を見上げる。

「・・・・・・・・・っ!!」

私の視界に映った満天に輝く無数の星。

初めて見るそのあまりにも驚愕な光景に言葉を失う。

だって・・・だって・・・凄すぎる。こんなに、こんなに星ってあるものなの?

手を伸ばせば届きそうな程、近い距離で見える星達。

私は思わず自分の手を伸ばす。

「すごい綺麗。なんか、吸い込まれそうな感じ。凄すぎて言葉が出ないよ・・・。」

「うん、凄い。俺もこんなに綺麗なのは初めて見たよ。空気が澄んでるからすごくよく見えるね。」

「あっ!流れ星!!うわわっ。すご〜い。初めて見たぁ・・・って、お願い事するの忘れた!!」

「クスクス。これだけあるからまた見れるんじゃない?暫く見て帰ろう。」

「うん!見れるといいな。・・・・・でも、ありがとう修吾君。」

「ん?」

「もうね、最高のクリスマスプレゼント。すっごくすっごく嬉しい。」

「そう?喜んでもらえてよかった。」

修吾君に後ろから抱きしめてもらいながら、何だかロマンチックな気分になってくる。




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