灯されたキャンドルと、ツリーの電飾で部屋は充分明るかった。 電気とは違って、どこか幻想的な灯り。 不思議と気分も、ほわん。と浮いたように感じる。 今日はクリスマスだから特別に。って言って新一が買ってきてくれたスパークリングワイン。 お前はあんま飲むんじゃねぇぞ。と念押しされて、グラスに半分くらいしか注いでもらえず、少し頬を膨らませながらワインを口に含む。 甘い口当たりの良い味と、シュワシュワッと泡が口の中で弾けてとても美味しかった。 ・・・・・酔っちゃうかも。 「おっと、今何時だ?」 料理を食べ終わった頃、そう呟きながら新一がテレビを付けると画面が明るく映り、自然と目が細くなる。 丁度クリスマスの特別番組がやっていて、クリスマスまで後・・・。とカウントダウンを始めた所だった。 私達も同じように、テレビから聞こえてくる掛け声に合わせながらカウントを始める。 5秒・・・4秒・・・3・・・2・・・1・・・ 「「メリークリスマスッ!!」」 お互い顔を見合わせて呟くと、自然と笑いが込み上げてくる。 「クスクス。なんか・・・おかしい。」 「クスクス。ほんと、笑える。俺さぁ、こうやって2人きりでクリスマス過ごすのって初めて。」 「嘘ぉ!!」 「マジマジ。だってクリスマスは連れと街に出て、ナンパしまくってたもん。」 「・・・・・・・・・・・アホか。」 「仕方ねぇだろ。そういう人間だったんだからよ。今はそうじゃねぇから許せって。」 ワインを口に含みながら、新一が、ぼそっ。と呟く。 「ん。許してあげる。ほんと、変わったもんね新一。付き合い始めた頃より大分表情も柔らかくなったし。冷たさが無くなった。」 「そっかぁ?まぁ、連れにもよく言われるよ。お前丸くなったって・・・姫子のお陰だな。」 「そう?だったら嬉しいけど。」 クスクス。と新一に向かって笑って見せると、同じように笑って私の頬を撫でてくる。 「人間幸せになると、自然と丸くなんだな。」 「なに、突然。新一は今、幸せ?」 「すっげぇ幸せ。お前は違うのかよ。」 「ううん。すっごく幸せだよ?好きな人とクリスマスを過ごせてるしこの上ない幸せ。」 ――――ほんと、幸せすぎて怖いくらいだよ。 「あ、そうだ。新一にね、プレゼントがあるんだ。」 「うっそ、マジで?!何々??」 立ち上がってクローゼットに向かう私を見ながら、新一の顔が、ぱっ。と輝く。 ・・・・・そこまで期待されると出しにくい。 クローゼットにしまっておいたプレゼントを手にすると、再び新一の隣りに腰を下ろす。 「・・・・・気に入ってもれえると嬉しいけど・・・あまり期待せんといて。初めて作ったもんやし。」 「うわっ!何だよ、手作り?マジで?・・・・・おぉ、すっげぇ!マフラーじゃん!!」 早速包装紙を剥がして中身を取り出すと、新一が嬉しそうに笑って私の編んだマフラーを首に巻いてくれた。 「ごめんね、こんな物しか用意できなくて。」 「何言ってんだよ。最高のプレゼントじゃねぇか・・・すっげぇ嬉しい。いつの間に編んでたんだよ。」 「ん?新一が帰った後とか・・・。」 「マジで?・・・・・もぉ、マジ最高!!チューしちゃう♪」 「んんっ!きゃははっ!!しっ新一っ・・くすぐったいって!!んんっ。もぅっ新一!」 私の顔中に注がれるキスの嵐に、くすぐったくて身が捩れる。 一旦顔を離すと、私の視線を真っ直ぐ捉えて急に真顔になる新一。 「・・・・・新一?」 「マジで・・・ありがとう姫子。」 「ん。よかった喜んでもらえて。」 そう言って微笑むと、新一はゆっくりと顔を近づけてきて今度はしっかりと私の唇を塞いできた。 |