*Obedient You




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「――――・・一目惚れ?」

教室につくなり、俺の発した言葉に修吾が少し大きな声を出す。

「あぁ、多分ね。俺、あの桂木さんって子に一目惚れしたわ。だってよ、心臓バックバクもんだぞ?こりゃマジだわ。」

「・・・・・昨日フラれたんじゃなかったっけ?」

「んあ?ま、そういう運命の出会いっつうもんもあるんじゃねぇの?・・・うっし、決めた。俺頑張るわ。」

「頑張るって・・・何頑張るんだよ。」

「そりゃもぉ、あの子を落とす事に決まってんだろ?ちょうどフリーになったんだ。こりゃあれだな、神様の思し召しだな。付き合えって言われてるような気がする。」

「バカか、お前。」

一人闘志を燃やす俺に、修吾が呆れたようにため息混じりに呟く。

バカで結構、メリケン粉!!・・・って、さぶっ。

・・・ま、何はさておき。まずどうすっかな・・・そうだ、あの子付き合ってるヤツいんのかな?

「なぁ、修吾。あの子付き合ってるヤツとかいんのかな?」

「知らねぇよ、そんな事。自分で直接聞けば?」

「あんだよ、知らないのかよ。ん〜・・自分でねぇ。ま、いっか。そうすっべ。お前、図書委員次いつ戸田さんと一緒だよ。」

「は?・・・今日だけど。何だよ。」

「うおぉ!益々運命を感じるぞ!!・・・行きも一緒なら帰りも一緒だったりするかなって思ってよ。だったら図書室で待ってれば戸田さんと一緒に帰るあの子に会えるじゃん?」

「・・・まぁ、頑張れば?」

「つっめてぇな、修吾。お前、そんな事言ってっと協力してやんねぇぞ?」

俺は口角を上げながら、修吾に意味ありげな視線を送る。

その意味を知ってか知らずか、少しムスッ。とした表情に変わる修吾。

コイツ、からかわれるの嫌いだからなぁ。

「協力って何だよ。」

「お前、戸田さんの事好きだろ?俺、そういう勘ってすっげぇ働くのよね。さっきのお前見てピピッときちゃった。」

「・・・・・うるせえよ。」

うははっ。ビンゴ!!やっぱコイツ戸田さんの事好きなんだ。

先程より更にぶすっ。とした表情に変わる修吾を見て確信を得る。

いや、多分傍目的には表情が変わった事分かんねぇだろうな。中学から一緒だった俺だからこそ分かる事。

「クスクス。お前のポーカーフェイスも俺には通用しねぇからな。ふ〜ん、そうなんだ。じゃあよ、俺とお前とどっちが先に付き合うか勝負しようや。」

「はぁ?んな事する訳ないだろ。」

「っんだよ、つれないねぇ。お互い競い合って頑張ろうや。お前だって戸田さんと付き合いたいんだろ?」

「俺の事はどうだっていいだろ?それにあの子はどっちかっつうと男と話すの苦手なんだよ。なのに付き合ってくれって言ったらかわいそうだろ。」

「あぁ、まあ確かに今日の反応見ただけでも男慣れしてねぇよな。だけど、そんな事言ってて他の男に取られたらどうすんだよ。」

「・・・・・もうすぐセンコー来んぞ。」

「おい、無視かよっ!!」

俺の言葉を無視して、さっさと席に着く修吾。

ったく、気に入ってんならさっさと告ればいいのに。

今朝の様子からすっと、きっと戸田さんも修吾の事気に入ってるはずだし。

あの子が修吾に告る事は多分できなさそうだから、修吾から告れば即OKだぞ?

はぁ・・・じれってぇ。

でもまぁ、人の事に首突っ込むのもあまり好きじゃねえから、修吾がそれでいいなら俺も何も言わないけどさ。

とりあえず、今は修吾の事より自分の事が先決。

今日の放課後チョロッと探り入れてみますか。

すぐに告るのもちょっとあれだしな。徐々に距離を縮めて・・・。

待ってろよ、桂木 恵子。

――――俺のそう遠くない未来に俺の彼女となる子。

「うっし。」

俺は一つ自分に喝を入れて席に着くと、程なくして担任が教室へやってきた。

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