*大嫌い!! 「はぁ。マジ一人の女をこんなに時間かけて落としたのなんて初めてだぞ?ったく、この鈍感娘!!」 奥田はため息を漏らしながら、ベッドの中で腕に納まる私のおでこをパチンっと弾く。 「うるさい!!最終的には気づいてあげたんだから、感謝ぐらいしなさいよ。」 「減らず口。」 「自意識過剰男。」 「そんな事言ってっと、もっかい襲うぞ。」 奥田はクスクス。と笑いながら私の頬を軽く抓る。 「大体ね、女を抱くのにこんなきっちゃない部屋で抱くのもどうかと思うわよ?掃除ぐらいしなさいよ。」 「いつもはやってるっつうの。それに、これからはお前がすればいいだろ。」 「はぁぁぁ?なんで私が会社でのみならず、あんたの身の回りの事までしなくちゃなんないのよ!私は家政婦じゃないっつうの!!」 「会社でもプライベートでもお前は俺の専属だからそれでいいんだよ。それにお前は家政婦じゃねぇし?」 『俺の専属』その言葉に若干の喜びを感じながら、見つめられた奥田の視線に自分の視線を合わせる。 「・・・じゃあ何よ。」 「召使。」 「・・・・・いっぺん死んで。」 ジロっと奥田を睨みつけると、おかしそうに笑いながら髪を撫でてくる。 「ま、晴れて俺の女になったんだ、嬉しく思えよ?」 「だ〜から、そういう態度がムカつくって言ってんの!何なの、その俺様な態度。」 「だって俺様だから?」 「超ムカツク!!やっぱあんたなんて大ッ嫌いだわ。」 ぷいっ。と頬を膨らませて横を向くと、頬に手を添えて自分の方に向かせると、ちゅっ。と軽くキスをされた。 「クスクス。はいはい、そんなに俺の事が好きか?ん〜可愛いねぇ優里ちゃん♪」 「キ・モ・イ!!や〜ん、もう寄ってこないでよ。」 頬を摺り寄せてくるヤツの身体を遠ざけると尚もしつこく寄ってくる。 それから何かを思い出したような表情を見せると、意地悪く私の事を見てきた。 ・・・・・何よ、その意味ありげな表情は。 「そういやまだお前の口から俺が好きだって聞いてねぇな。今、言え。」 「言え?命令すんの?言うわけないでしょ、そんな事。あんたの事なんて大ッ嫌いなんだから。」 「ふ〜ん、あっそ。じゃぁいいや。好きって言うまでお前を鳴かせるから。身体は正直だからねぇ。」 そう何かを企んだような表情を浮かばせながら、奥田の手が私の胸を包み込んで揉みあげる。 「わっ!ひゃっ!!やんっ・・ちょっと胸触らないでよ。鳴かすって・・何考えてんのよ、もう!!」 「ほら言えって。じゃないと今度は本気で壊すぞ?」 「だから、大ッ嫌いって言ってるでしょ!隆志なんか、嫌い嫌い、大ッ嫌い!!」 奥田は分かってるクセにワザと私に言わせようとしてくる。 ・・・もぅ、いい性格してるわね!! さっきからちゃんと言ってるじゃない。 ・・・・・大ッ嫌いって。 隆志曰く、私の『大ッ嫌い』は『大好き』なんでしょ?だったらそれで許してよ。 でも、いつかは「大好き」って正直に言えるかしら? ・・・・・当面は『大ッ嫌い』だけど? それぐらいは大目に見てよね。ちゃんと『奥田自身』を見れるようになったんだから。 そんな事を思っていると、ぎゅっ。と力強く抱きしめられて、耳元から「俺は優里が大好きだ。」そんなヤツの言葉が聞こえてきた。
+ + Fin + +
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