*大嫌い!! 全く。コイツだけは・・・。 仕事だって、今までの彼女だって何だって俺の思うがままだった。 なのに、何でコイツだけは俺の思うように動かないんだよ。 いつだって突拍子もない行動に出やがるから、こっちは振り回されっぱなしで。 ったく、一筋縄ではいかないじゃじゃ馬娘。ホント、操るのが大変だよ。 ・・・・・って、操られてんのは俺の方か。 俺は小さく苦笑を漏らしながら、優里の頬を指の腹で撫でる。 「ごめん・・・充分分かってる。隆志がどれだけ私の事を見てくれてるか・・・だから余計に悔しかったの。悲しかったの。そんなハズないって思いたいのに、目の前で2人がホテルに入って行くところを見てしまったから。私の・・・私の隆志なのにって。」 「なら、自分の中に溜め込まずにすぐに俺に言えばいいだろ?何にも言われずにただムカつくだの別れるだのって聞く耳持たずに一方的に言われても、対処のしようがねぇじゃねえか。」 「私の悪いクセ・・・ごめん。」 「マジで凹んだんだからな。お前から突然、別れる!だなんて言われてよ。一睡も出来なかったんだぞ?」 「つい、勢いで。」 つい、勢いで別れるだなんて言葉を簡単に吐くんじゃねーよ。 コイツから付き合う前に『大嫌い!』って言われた時と同レベルの大打撃だったんだからな。 でも、まぁ・・・『私の隆志なのに・・・。』か。 可愛い事言ってくれんじゃねーか。 それにコイツが素直に「ごめん。」だなんてさ。 その優里の言葉だけで随分と自分の中が緩和され、彼女への愛しい気持ちが込み上げてくる。 ・・・俺、相当重症だな。 「ったく。手間ばかり取らせやがって。これで営業成績落ちたらお前のせいだからな!!」 「はぁ?どうしてそうなんのよ。デキる男はどんな障害があろうとも、そつなくこなすものよ。そんな事言ってるようじゃまだまだ隆志は青二才だわね〜。」 「・・・・・減らず口。」 「鬼畜男。」 「はぁ?!何で、俺が鬼畜なんだよっ!!」 「人を縛り付けて無理矢理襲うなんざ鬼畜以外何者でもないでしょうがっ!!」 「お前だっていつもより感じてたクセに、変な事言ってんじゃねぇよ!」 「なっ?!かっ、感じてないわよ!何言っちゃってくれちゃってんのよ!!」 「『隆志が欲しい〜』だなんて言って俺を誘ったクセに?」 「言ってねーよ、そんな事!」 「ふ〜ん、じゃぁもういっぺん試してみる?」 意地悪く笑いながら、先程解いたネクタイを再び軽く優里の手首に巻きつける。 「なぁぁ!嫌に決まってんでしょ!!ちょっともぅ、会社に帰るわよ!」 「ダメに決まってんだろ?お前から愛してるって聞けるまで何度でもヤッてやる。」 「一生言わねぇ!!」 「涙を流す程、ヤキモチ焼いてたクセに?」 「しっ、知らないわよそんな事。泣いてないし、絶対何があろうとも一生そんな事は言・わ・な・い!」 「じゃぁ一生俺に抱かれとけ。」 「も・・・無理ぃ・・・隆志・・・死んじゃう。」 「まだダメ。」 俺は今果てたばかりの優里の中を指で刺激しながら首筋に舌を這わす。 あれから何度優里をイカせたか・・・指と俺自身で。 優里の色白な体には俺の独占欲の証が点々と咲き誇り、俺の胸元にもいつの間につけたのか優里からの痕がいくつか咲いていた。 コイツの場合、このまま会社に戻るとヤバイな。首筋に結構つけてしまったからヤッてましたとモロバレだし。 まぁ・・・この状態で戻れるとは到底思えねぇけど。 マジで壊したかも。そう思いながらも力が漲りだした自分自身を抑える事が出来なさそうで・・・。 俺は優里の体に覆い被さると、首筋から鎖骨にかけて唇を這わせ、形の良い胸の膨らみを掌で揉み上げながら、ゆっくりと彼女の入り口にあてがい中に押し進めて行く。 「んっ・・・やぁ・・・・・ダメ・・・・ってぇ。」 「壊すっつったろ。俺がお前しか見てねぇって思い知るまで、何度でもイカせてやる。」 「んっ・・・んっ・・・もっ・・充分・・・分かってるっ・・・はぁんっ・・・隆志っ。」 優里は立て続けの快感から意識が朦朧としつつ、体を揺らされ始めると自分を見失わないように俺の背中に腕をまわす。 律動を送る度、優里の口から漏れる甘美な声と心地よく自身を締め付ける彼女の中が俺の脳を刺激する。 俺は激しくならないように気をつけながら、優里の弱い部分を擦り付けるように出入りを繰り返す。 奥深くで絡み合うお互いの舌。混じる汗。繋がる部分から漏れる卑猥な音。 その全てを感じ取りながら、俺は優里を快感へと導く。 「たかしっ・・・・たかしぃぃっ・・・はぁぁんっ!!」 ・・・・・そろそろだな。 優里の両手が俺の腰にまわり、引き寄せるように腰を抱く。 コイツがもうすぐ昇りつめると言う事と、それに伴う悦を求めてる証拠。 俺は優里の膝を抱え、ぐっと大きく開くと腰を落として一番感じる奥を攻め立てた。 「んぁっん!・・・いいっ・・・イクっ・・・イクぅっ!!」 「はっぁ・・・いいよっ。俺もイクからっ・・・優里・・・愛してる。」 優里の首筋辺りに顔を埋め、最後激しく中を攻め立てると、荒い息遣いと甘美な声の中、意識を失う直前に微かだけど聞こえた優里の声。 ――――・・私も・・・愛してる。 俺は完全に意識を失ってしまった優里に服を着せてから、抱きかかえて部屋を出た。 事務室にいる事務員のおばさんに、 「彼女が具合が悪くなったのでベッドを貸してもらいました。後で直しておいてもらえますか?」 などと微笑みながら言うと、何の疑いもなしに、大丈夫?気を失うなんて相当具合が悪かったのね。なんて、本気で心配されてしまった。 もちろん、事の後の残骸はバレないように掃除用具入れのゴミ箱の中に捨てておいたけど・・・ちょっと後ろめたい。 会社の方も、今朝の優里の体調が悪い様子を知っていただけに、俺が家に送り届けてきます。との早退の連絡を入れると、そのまま受理された。 こういう事は思うように運ぶのになぁ・・・。 助手席で寝息を立てながら横たわる優里を見ながら、はぁ。とため息一つ。 ・・・・・気持ち良さそうに寝やがって。 ――――私も・・・愛してる。 気を失う直前に優里の口から発せられた言葉。 今回の件は、その言葉に免じて許してやるよ。元はといえば、優里が俺の事を本気で惚れてるからこそ起きた事だし? 素直に俺に心底惚れてるって言えばいいのによ、この強情張りめが。 俺がうにうに、と優里の頬を軽く抓ると、もぅダメ隆志。なんて言葉が優里の口から漏れる。 「クスクス。もう今日はしねぇよ・・・今日は、な。」 あぁ、それと。また今後どんな事があって門前払いを食らうか分からないから・・・。 合鍵でも作っとくか。 優里のマンションに辿り着き、彼女を背負いながらカバンからキーを取り出して、チャラン。と目の前でそれを揺らした。
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