Magical hand 番外編
− 傷跡 −
鈴木のお墨付きをもらって、堂々と明美と一緒に早退してきた俺。
家に帰っても一人だから、まだ幸一と一緒にいたいという明美を連れて、自分の家に帰ることにした。
俺としても、明美をまだ一人にさせたくなかったし、なによりも1週間ぶりの仲直り…俺だってまだ一緒にいたい。
熱が篭ってむっとした部屋の中、パタパタと自分のシャツの襟元を掴んで扇ぎながら、エアコンのスイッチを入れる。
俺以外、家族全員が手に職を持っているので、当然ながら平日真っ只中の今日は家には誰もいない。
ドタドタと騒がしく下のキッチンに冷たいお茶を取りにおりて戻ってくると、明美がベッドの上に座って先ほどの俺と同じように、シャツを掴んで扇いでいた。
「ごめんな、俺の部屋暑いよな…」
「ううん、大丈夫。私の部屋もこんな感じだし…クーラーの一番あたる場所を陣取らせてもらったので」
そう言って笑いながら、明美はクーラーのほうに顔を向けて、涼しそうに目を細めた。
小さなガラステーブルにコップ2つと、それしかなかったスナック菓子を置き、これでも食う?と、聞くと、まだもうちょっといい。という返事が返ってきたので、自分も明美の隣りに腰をおろした。
なんとなく、無理強いして食わす気になれなかったから。
全開に稼働しているクーラーは、明美越しでも充分な涼風を俺の元へと運んでくれる。
「あーっ、なんか…生き返る」
涼しい風を受けながら、俺はゴロンとベッドに仰向けに寝転がった。
その様子に、明美がクスクスと笑い、それに対して彼女の横腹をつつきながら、なんだよ〜。と、俺も笑う。
久々の空間。なんとも言えず、幸福な気持ちになる。
もしもあの時、鈴木とばったり出会っていなければ、今、この幸福感は味わえてなかったかもしれない。
いや、もっと悲惨な展開になってたかも、と思うと、必然と鈴木に感謝の念が浮かぶ。
それにしても…
「なあ…明美の中学時代の保健の先生とさ、うちの鈴木となんとなく雰囲気似てるよな」
「ん?だって同じ人だもん」
「はっ!?」
思わず半身を起こしてしまった。
目をパチクリとはためかせて驚く俺の様子に、おかしそうに笑い声を立てる明美。
いや、普通に驚くって…
「私も鈴木先生がうちの高校に来たときは驚いたんだけどね…臨時校医だから、いろんなところへ行かされるんだって、豪快に笑いながら言ってた」
「あぁ…あの豪快さでね…」
「クスクス。うん、あの豪快さで」
本当に女なのかと疑いたくなるほど、大きな口をあけて笑う鈴木の顔を思い浮かべながら、どうりでヤケに明美に詳しいわけだと合点がいく。
随分前から知っていたって…本当に前から知ってたんだな。
「だけど、あの人…あの笑い方と喋り方で損してるよな?」
「あははっ!確かに。黙っていれば、すごく綺麗な先生だもんね?でも…私は、あのフランクさに助けてもらえたから、鈴木先生にはあのままで居て欲しいかも」
「あー、まあ…そうだな。鈴木のおかげで、俺も冷静になれたし…そこは目を瞑ってやるかな?」
「そうなの?」
「うん…まあ色々とね、言われました。だから、悪化せずにこうして仲直りできたんだと思う」
「そっか。ちゃんと見てくれてるんだね、生徒のこと。さすが、鈴木先生!」
「でも、ちょっとぶっ飛びすぎだろ。生徒に向かって堂々と、保健室にはベッドはあるけど、ゴムも玩具もないからイカガワシイ事するなって…言うか?普通」
「あはははっ!そんなこと言ったんだ?鈴木先生…なんか、らしいって言ったららしいか、も…ひゃっ」
声を立てて、おかしそうに笑う明美の腕を取って自分に引き寄せる。
バランスを失った明美が、小さな声をあげながら、俺の胸に倒れこんできた。
「保健室では、その鈴木せんせーの言いつけを守って、俺、抱きしめるまでに留めたんだけど?」
「幸一?」
「なあ、明美…仲直りのキスは?」
そう言って少し首を傾げると、同じように首をちょこんと傾げて、明美が可愛らしい笑みを見せる。
「じゃあ、ぎゅってしてくれる?」
「もちろん、いくらでも…」
腕を伸ばしてきた明美を受け入れるように、自分の腕を彼女の体にまわして抱きしめる。
自分の首の後ろに明美の腕がまわると同時に、ふわっと鼻を掠める、甘くて心地よい香り。
思わずそれを吸い込みながら、明美の首元に顔を埋めてより強く抱きしめてしまう。
少しだけ体を離し、近い距離で真正面から明美の顔を捉える。
視線を合わせたまま、チュッと音を立てて、軽く唇を合わせると、照れたように明美が笑う。
自分も同じような表情になっているのを自覚しながら、また、チュッと軽く唇を合わせた。
「ごめんな…明美」
そう言って、俺がまた軽くキスをする。
「私も…ごめんね」
今度は明美がそう言って軽くキスをしてくる。
啄ばむようなキスを繰り返し、次第に唇を吸いあうようなキスに変わっていく。
誘うように、唇の割れ目にそって舌を這わせると、迎え入れるように、その唇が開く。
徐々に深くなっていくキス。
いつの間にか、口内奥深くで舌を絡ませあい、激しく貪るようなキスに変わっていた。
自分の体温が一気に上昇するのがわかる。
明美の口から漏れ出した、甘く誘うような吐息が耳に届くと尚更に。
体の一部分が、悲鳴をあげそうなほどに主張しはじめたのを感じると、自分の理性に余裕がなくなってくるのがわかる。
だけど、さすがにそこまではダメだろう。と、先ほどまでの明美の様子を思い浮かべながら、必死で理性を保っていた。
なんとか理性のあるうちに…止めるなら今しか…
「明美…ヤバイ。すごいシタくなってきた…止めるなら今のうちだから…無理って言って…」
明美の口から無理って言われれば、止められる気がしたがしたんだけど。
明美から返ってきた言葉は、
「私も、幸一と同じ気持ちだから言えない…」
だった…。
「本当にいいのか?…無理して言ってんなら…」
「無理なんてしてないよ。今は、幸一にいっぱい触れて欲しいの。幸一にいっぱい触れてもらって、元気になりたい。幸一のこの手はね、魔法の手なんだよ?」
「魔法の手?」
「うん、魔法の手。私を綺麗にしてくれる手、私を支えてくれる手、私を元気にしてくれる手…まだまだ他にもいっぱい魔法を持ってるけど、今、一番欲しいのは元気。だから、いっぱい触れて私に元気をちょうだい?」
「……明美」
ニッコリと向けられた微笑に理性崩壊決定。
あっけなく崩れ落ちた理性を縁に押しやり、本能がゴイゴイと勢いよく飛び出てくる。
俺は、グイッと明美の体を抱き寄せると、再び唇を熱く塞いだ。
キスをしながら明美の体をベッドに組み敷き、ブラウスのボタンをもどかしげに外していく。
まだスムーズに出来ないこの作業。
なかなかうまく外れないボタンに、途中から引きちぎりたくなる衝動に駆られるのはいつものこと。
それを悟られないように、キスで誤魔化すことが出来るようになっても、勝手の違うボタンを器用に外す技術は、俺はまだ習得できていない。
仕方ないだろ?俺も明美がハジメテで、お互いにまだ経験数は少ないんだから…。
少々の苦労を伴い、明美の体から衣服を取り去ると、自分も着ていたものを脱ぎ捨てる。
ヒヤッとしたクーラーの風が直(じか)に肌に触れ、火照った体には丁度よく感じた。
「明美、寒くない?」
「ん…大丈夫。気持ちいい…」
その言葉に明美の耳元で、もっと気持ちよくしてあげる。と、囁くと、彼女が照れたように笑いながら、俺を抱き寄せた。
直に触れ合う肌の温もりを感じながら、明美の艶やかな肌に唇を這わす。
毎日、俺の立てたダイエットメニューの強化版をやっているだけあって、明美の体は引き締まっているし、とてもしなやかで綺麗だ。
俺は、その体全てを堪能するように、唇を這わせ手を滑らせる。
「あっ……んっ…」
明美の口から色っぽい吐息が漏れ出し、お互いの息もあがりはじめる。
涼しいと思っていた風も、いつしかただの風に変わり、体を冷やしてくれているはずなのに肌に汗が浮かびだす。
その汗の滲んだなまめかしい明美の首筋に舌を這わせながら、胸の膨らみに手を添わせて優しく揉みしだく。
ピンと硬く立った胸の蕾を、指先で摘んで弾くと、体を仰け反らせながら明美が甘い声を漏らす。
そのままそれを口に含み、吸い上げながら舌先で転がし刺激を与えると、更に甘美な声が増した。
「もっと聞かせてよ、明美のその声…」
「んっ…あっ。こ、いちっ…あぁっ、んんっ」
その声をもっと聞きたくて、もっと乱れて欲しくて、俺は明美に刺激を与え続ける。
胸の蕾を口に含んだまま、舌先でそれを刺激しつつ、指先は胸の谷間から鳩尾(みぞおち)を通って下腹へと滑らせた。
茂みを指先でかきわけ、膨らみはじめた突起を軽く擦ると、明美の体が小刻みに震える。
浮いた彼女の首の下に片方の腕をさし込み、顔を覗きこみながらミゾに添って指で秘部を撫でると、なんとも言えず艶のある表情を彼女が見せた。
ヤバすぎるぐらいそそられる…。
充分過ぎるほど熱い蜜で潤ったソコは、俺の指を中へ誘いこむように動かすたびに蜜が増す。
「もうこんなに濡れてる…気持ちいいの?明美」
焦らすように、ワザと秘部の表面だけを撫でて水音を聞かせる。
我ながら、慣れないながらも少しずつ余裕が持てるようにはなったなと思う。
ほんの少し前まで自分のことだけで精一杯で、こんな風に焦らすなんて余裕さえなかったから。
成長したよなぁ…俺も。
そうして意地悪くクチュクチュと表面だけを撫でていると、明美の腰がもどかしそうに誘うように動く。
「あっ…やっ…意地悪しないで…幸一っ…」
「意地悪?してないけど」
「してるもんっ…やん、もーっ…」
思わず噴出してしまった。だってさ、あまりにも可愛すぎるってコレ。
クスクスと小さく笑っていると、明美からジト目を向けられてしまったので、その締まりのない顔のまま、俺は明美の唇を塞ぎ、同時に指を中に滑り込ませる。
ヌルッとした感触とともに、熱い蜜が指に絡みつき、内壁が程よく締め付けてくる。
こうして欲しかったの?と、キスの合間に問いかけると、んっ…して欲しかったの。と、色っぽい声が返ってきた。
俺は明美の頭を抱え込み、キスを深くしながら、指を立てて中を激しくかき回す。
少しずつ大きくなる水音、更に艶っぽく吐き出される明美の喘ぎ声が部屋に響いた。
と、ここまではよかった。
程よく自分も追い込まれつつ、それでもまだ少し余裕を見せられていたから。
だけど、いつしか体が向き合うような体勢になり、明美の手が俺の硬く反り返ったソレに伸びてきてからは、一気に余裕がなくなった。
お互いの手の中から漏れる卑猥な水音が混じり、2人の口から漏れる吐息が重なる。
明美の手の動きが、俺の脳を揺さぶり更に自身に力を漲らせる。
「あぁっ…あけみっ…もっ…入らせてっ…明美のナカに…入れたい…」
先ほどまでの俺の余裕はどこへ行ったんだと思えるくらい、余裕が全くない今の俺。
手を伸ばし、ベッドボードの小さな引き出しからゴムを取り出すと、もどかしげにそれを自身に被せた。
そして、寝転んだままの体勢で明美の体を支えながら脚を引っ張って自分を跨がせると、彼女の頬を両手で挟んでキスをする。
「明美…入れて…」
そう、キスの合間に囁くと、明美が俺のソレに手を添えながら自ら腰を沈めていく。
「あっ…ああんっ…」
「あぁっ…っくっ!!」
この上なく極上の瞬間。
グググッと、内壁を押し分けながら奥に進んでいく感覚に、自分の肌が痺れるのがわかる。
「あけみっ…あっ…すげ…気持ちいっ…」
「あっ、ぁん!わたし、もっ…気持ちっ…いいっ…あぁんっ!」
明美の体を揺さぶるように、下から中を突き上げる。
その度に、彼女の白い肌が揺れ、俺が仕立てた巻き髪が跳ねる。
「明美もっ…動いてっ…」
そう、下から突き上げながら親指の腹で花芽を擦ると、明美の身体が仰け反り、中がきゅぅっと締まる。
「ダメッ…だってっ…も、イッちゃう…幸一っ…イッちゃうぅっ…」
「あけみっ…あっ、ぅあっ…そんな、シメたらっ…あぁっ…あぁっ!」
「あっ…あっ!気持ちいいっ…んっ…キモチ、いいっ…幸一っ、こういちぃっ…」
ダメだと言いながら、果てが近づきつつあるのか、明美は自分の腰を持っている俺の腕をグッと掴んで自ら腰を激しく動かしはじめる。
当然そうなれば、俺の果ても急速に襲ってくるわけで…
「あけみっ…あけみっ!あぁ…あぁあっ…ヤバイ…イクッ…も、イクっ」
最後はもう…無我夢中だった。
明美の腰をグッと自分の腰に押し付けるように持ち、下から激しく突き上げる。
加速するリズム。
ベッドが激しく軋む音と、肌を打ち合う音が響き、2人共が頂点に達したのちにゆっくりと静けさが戻ってきた。
倒れこんでくる明美の体を優しく抱きとめ、荒く息を吐き出しながらもしっかりとキスは堪能する。
呼吸が整うまで、お互いに抱き合ったまま、言葉を交わすことは出来なかった。
なんか…いつも以上に気持ちよかった気がする。
体も落ち着き、ベッドの上でまどろんでいると、幸一?と、明美が俺を見上げてくる。
「……ん?」
「ありがとう。元気をくれて」
「元気、出た?」
「うん、いっぱい出た。やっぱり凄いよ、幸一は。私にたくさんの力をくれる」
凄いのは俺じゃなくて、お前だよ…
そう思いながら、よかった元気が出て。と微笑み、明美の頬を優しく撫でる。
「あのね…それで、元気になったついでに…」
「ん?なに」
途中で恥ずかしそうにはにかみながら口を噤むから、首を傾げつつ頭を擡げると、口を開きかけた明美よりも先に、
きゅるるるる〜…
と、小さな音がどこかから聞こえてきた。
「え…」
「あ…鳴っちゃった」
「鳴っちゃったって…今の…?」
「すいません…私のお腹ですぅ…」
半分顔を布団で隠し、片手を挙げる明美の姿に、思わず、ぶっ。と、噴出してしまう。
「あ、ひどー。笑ったー」
「ぶはっ。ごめっ…ちがっ、鳴ったことに笑ってんじゃなくて…その仕草がさ…ぶははっ」
「ちょっと、そこ。笑いすぎ」
「ごめん、ごめんっ。いや…すっげ、可愛い…今の。あはははっ!!」
「もーっ。そんなに笑わないでよ。お腹空いちゃったんだから…仕方ないでしょ?」
拗ねたように口を尖らせ、プクっと頬を膨らませる明美の体を思わずギュッと抱きしめてしまう。
あー、ヤベ。なんか、すげー可愛いコイツ。
「じゃあ、なんか食うか?俺、買ってきてやるよ」
「え、そんな悪いよ。私が買ってくるって」
「だったら一緒に行く?そこのコンビニまで」
「あー、そうしよっか。幸一も何か食べる?なに、食べたい?」
「俺?んー…食うけど。なにが食べたいかと聞かれるとなぁ…明美は何食いたい?」
明美は、そうだなぁ。と、呟きながら俺の顔をジッと見つめ、あ。と声を洩らす。
「肉まんが食べたい」
「は?」
何故このクソ暑いのに肉まん…
「幸一の顔見てたら、肉まんが食べたくなってきた」
どんな顔だよ…俺の顔。
「肉まんって…今の時期コンビニで売ってないぞ?」
「じゃあ、近くのスーパーまで行こうよ。そこだったら売ってるでしょ?」
「そこまでして食いたいか、肉まん」
「だって、今、肉まんの口なんだもん。それならいっぱい食べられそう」
いっぱい食べられそうったって…肉まんじゃ限度があるだろ。
そう思いつつも、明美が自ら言った「食べたい」という前向きな意思に、ホッとしている俺がいる。
きっともう大丈夫。明美はもう自分を見失ったりしないよな。
一人うんと頷き、俺は気合を入れるように自分の両頬をピシャッと軽く叩いた。
「んー…明美が食いたいとあらばしゃあねえな。じゃ、行くか!肉まん買いに」
「うん、行こう!」
俺たちは顔を見合わせて笑うと、サッと身支度を整えて家を出た。
クーラーの効いている場所から出ると、途端に熱気が纏わりついて汗が滲み出てくる。
俺は、照りつける太陽の下で、明美を後ろに乗せてチャリンコを漕いでいた。
汗が滲み出てくるというより、滴り落ちているといったほうが今の俺には正しい。
なのに、ステップに足をかけて立って乗っている後ろの明美は、風が気持ちいい。なんてはしゃいでいる。
俺、すっげえ暑いんですけど…。
ちょっと恨めしく思いながらも、後ろの明美の様子に笑みが零れた。
ホントによかったよ、元気が出て。
やっぱお前はそうでなくちゃな。
無理しているわけでも、頑張っているわけでもなく、自然に出ている明美の笑顔。
元気で明るくて頑張り屋で、人一倍努力する須藤明美。
お前が一人で乗り越えて勝ち取ったその明美らしい姿を、俺がずっと傍にいて守ってやるから…
明美が魔法の手と呼んでくれたこの俺の手で、ずっとお前を輝かせてやるから。
もう、お前を絶対にチビデブスなんて呼ばせたりなんかしない。
だから…
お前はお前らしく、須藤明美として俺の隣りで笑っててくれよな?
「ねえ、こういちー?」
「んー?」
「肉まん、いくつ食べるー?」
「えーっ?二個ぐらいじゃねえ?」
「にこー?じゃあ、私三つ食べるーっ」
「はぁ?みっつぅ?そんなに食えんのかー?」
「食べられるよー。だって、幸一にいっぱい元気もらったもん!!」
「あはは!そっか?でも、お前が三つ食うなら、俺は四つっしょ!」
「じゃあ、私五つ!」
「じゃあ、俺六つぅー!」
「あはははっ!もーっ、幸一大好きーっ!!」
「ぶあははっ!意味わかんねーっ!でも、俺も明美が大好きだーっ!!」
大きな声で叫びあっている2人を乗せて、自転車は坂を下り始める。
そこでようやく心地よいと感じる風が俺にも感じ取ることができた。
その風に目を細め、上がり始めた息を整えるように大きく息を吸い込む。
照りつける太陽は恨めしいくらいに暑かったけど
額から滴り落ちる汗も、べったりとシャツが張り付いていることも、不快なことこの上なかったけど
それでも俺の顔には、明美と同じくらいの笑顔が乗っかっていたと思う。
++ FIN ++
→ちょこっとあとがき
皆さま、お久し振りでございます…
神楽茉莉、生きてます(苦笑)…全然ここのところ更新できてなくて本当にすいません。
えと、今回突発的(また)に書き始めてしまったんですが。
予想以上の長さになってしまい、少々時間を取られてしまってました(滝汗)
いや、本当は短編で終わる予定だったのですよ。
単なるダイエット関係のことで幸一と喧嘩して、明美がメシ食わないなら俺も食わない!と、我慢比べのような軽いタッチでお届けするつもりだったんです。
なのに…
なに、この重い内容は。。。。(〃_ _)σ‖
確かに、キッカケは劇的に痩せたその後の明美の様子はどうだろう?と、考えたことから今回のお話を書き始めたわけなんですがね。
書き進めていくうちに、どんどんネガティブな方向へ(>。<)
それに耐え切れず、今回新たな人物を登場させたんですが…鈴木キャラ、如何でしょう(笑)
お話自体も、根本的に明美が前向きなのでそこまで重さは出ていないと思うのですが。ドキドキ…
なんていうんだろう。明美の強さと、幸一の優しさと、2人が常に前向きな姿勢でいる姿を見て、あぁ。
2人頑張ってんな。と、エールをいただけたら幸いに存じますー。
辛さを乗り越えて、強さを手に入れた明美と、顔は二枚目じゃないですが(笑)心はめいっぱい男前な幸一を少しでも気に入っていただけたら嬉しいなぁと思います。
最後までお目を通していただき、ありがとうございました。
また次回もお目にかかれることを期待して。
H19.9.18 神楽茉莉
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