*Love Game Side-Rei実際に唯と肌を合わせて思った事。 ――――…ヤバイ…脳天がぶち抜かれそうだ。 彼女からの刺激一つ一つに意識を持っていかれそうになる。 こんなの初めてだった。 今までの女のように、「軽い運動程度」では済まされなかった。 全神経を集中させておかないと、先に俺が持っていかれる。 ――――冗談じゃない…女に先にイカされるなんて。 俺は何とか神経を集中させて、唯を先にイカせる事だけに専念する。 きっとあのコンパで色々情報を収集していなければ、間違いなく先に果てていただろう。 ――――俺と唯は似ている。 育った環境も、内に秘めている事も…お互いに操られまいとするところまで。 俺の分身を見ているようで、何もかもが手に取るように分かる。 唯の今までの生活、今思っている事や彼女の性格、プライドに至っても。 だから、どこかこの状況を楽しんでいる俺がいた。 彼女の神経を逆撫でするように言葉を返し、反応を見て楽しむ。 相手の反応を見るなんて、今までには無かった事。 そして、自分が女に追い詰められている事も。 俺に尽く先手を打たれ、心底悔しそうな表情を見せる唯。 いつだってGame(遊び)は自分の思い通りに行くわけじゃない。 今日の件に関しては、事前に下調べをしていた俺に分があったって事で白星一つってところかな? どっちが先に堕ちるか、ね。 面白いじゃないか。 ちょうど、一晩限りの遊びだけに留めておくには勿体無いと思ってたところだったんだ。 こんなに身体の相性がいい女になんて滅多に出会えないだろうからさ。 きっと俺と唯は、この先お互いに一歩も近づく事なく平行線のままだろう。 だって、俺と唯は「愛」なんてものは持ち合わせていないのだから…。 それはそれでいいと思った。 暫くはご機嫌取りをしなくても、極上の身体が手に入るわけだから? ――――唯、暫くあんたのその身体を楽しませてもらうよ。だから、せいぜい俺を堕とすために頑張ってよね? 俺は途中でコンビニに寄り、買い物を済ませてから自分の家の前に着く。 そして、徐に内ポケットからメガネを取り出すと、それをかけて家の中に入った。 そう、薄い仮面を被って。 「おや、玲。あんた今までどこかに出かけてたのかい?」 台所のテーブルにコンビニの袋を置いた時に、奥の部屋からそんな声と共に祖母が顔を見せる。 「ああ。ばーちゃん、起こしちゃった?ちょっと目が覚めたからジュースでも飲もうと思ったんだけど、買い置きがなかったからそこのコンビニまで買いに行ってたんだよ」 いつもなら、祖母が寝てから出かけて、起きる前に帰って来るようにしてるけど、今日は事の外時間を食ってしまった。 いや…気付いたらあの時間だったんだけど。 「ジュースって、わざわざ買いに行かんでもお茶が沸かしてあるだろうに。それに、ばーちゃんに気を使ってくれんでも、友達の家に泊まりにとか行ってもええんだよ?いつも玲は家におるから、ちょっと不安だよ。友達がおるのかってね」 「あははっ!ばーちゃん、そんな心配しなくてもちゃんと友達はいるから心配しなくても大丈夫だって。それよりも体の具合はどう?この前から調子が良くないって言ってたじゃん」 「ん?まぁ、年のせいじゃよ。この年になればあちこちガタが来るからね…心配せんでええよ。玲はもう一度寝るのかい?」 「ん〜。そうだね…ちょっとまだ眠いから、もう少し寝るよ。何かあったら起こして?俺がするからさ」 「はいはい。ばーちゃんの事は気にせんでええからゆっくりお休み」 そんな祖母の穏やかな口調に送られて、俺は自分の部屋に戻る。 ベッドに身を投げた途端、急激に睡魔に襲われる。 今日はカナリの体力を消耗したからな…さすがに… メガネを外してベッド脇に置くのとほぼ同時に、俺は深い眠りへと落ちていった。 そう…このGameの始まりが俺と唯の運命の歯車を回すことになるなんて、思いもせずに… |