*Love Game Side-Rei





相変わらずの居心地のいい唯の中を堪能しながら、俺は自分の中に蠢くモノに対して何とも言えない感覚に捕らわれていた。

身体の芯から熱く燃えるように湧き上がってくる何か。

それを感じるだけで、俺の中の何かが突き動かされる。

それが何なのかが皆目検討がつかない。


そう…自分の中で変化が現れたとするならば、あの学校の校門を出たところで唯の存在を見つけた時からだ。

まだ記憶が薄れていない唯の綺麗な顔が現実に自分の目の前に現れて、不覚にも鼓動が一つ高鳴ってしまった。


いや、あれは自分のもう一つの顔で生活をする空間を見られてしまったと言う、いわば見られたくないものを見られてドキンとしてしまう感に似ているものだと思う。

じゃなきゃ説明がつかない。

だって、俺は誰かに恋焦がれるような感情を持ち合わせていないのだから…。

だけど、車内の狭い空間に唯の存在を感じ、彼女の甘い香りが鼻を擽るのを感じると、それだけで信じられないくらいに自分の気分が高まってくる。

すぐにでも唯に触れたい…あの声で啼かせたいと思ってる自分がいる。



そんなに俺、欲求不満だっけ?



いや…女には不自由していないハズだ。

今、唯の中を堪能するのを途中でやめて、街で声をかければすぐにでも続きを楽しむ事ができるだろうから。

だけど何だ?この唯を抱く時の高揚感は。

唯の肌に唇を這わすほど、指先で撫でるほど、繋がる回数が増えるほどに信じられないくらいに自身に力が漲る。

さっきだってそうだ。

車を運転している唯に即座に触れて刺激を与え、甘い声を聞くたびに自身が痛いくらいに反り勃ってきて、すぐにでも中にぶち込みたいと思ってる俺がいた。


なんでだよ…なんなんだよ、俺。


余裕をかますのに必死だった。

唯の神経を逆撫でして楽しむ余裕すらないほど必死に。

なのに、唯はまた俺を追い込んでくる。



「そう…ざーんねん。あたしはあなたに会いたかったけど?ねぇ…会いに来てあげたんだから、キスして?この前は一度もキスしてくれなかったじゃない」



正直、想定外の行動だった。

俺の分身とでも思えるほど似てる唯が、キスをしてくれだなんて。

しかもこの上なく色っぽく艶っぽい表情で。

確かに極上ではあるけれど…そういう表情は見慣れているはずなのに。


俺は今まで沢山の女を抱いてきた。

でも、一度だって唇を重ねたことはない。

キスをして情が移るのも煩わしいし、逆に相手に情が移られても鬱陶しかったから。

初めての時に一度もキスをねだってこなかったから、唯もそういう性分なんだろうと思っていた俺は、少しそれに揺るがされてしまった。


………不覚にも。


それが唯の作戦だと理解するのに暫く時間を要した。

高鳴る鼓動を内に秘め、俺はまた仮面を被ってニヤリとした笑みを作る。


「してあげてもいいよ?キス。ボクのファーストキス、唯にあげようか?」


こう言えば、唯は必ず否定的な言葉を返してくるだろうという確信はあった。

でも、もしこの時唯が、うん。と頷けば、俺はどうしていた?



いや…こんな事を考えるのは俺らしくないな。



――――俺は快楽を楽しめればそれでいいのだから。



車内に立ちこめる唯の女の匂い。

繋がる部分から漏れる卑猥な水音。

眼下に揺れる唯の透き通るような白い肌と形のよい胸。

耳に届く唯の甘美な声。

律動が激しさを増すたび、車体も同じように大きく揺れる。



唯から醸し出されるモノに、俺の五感全てを刺激される。


なぜだ…こんなにも余裕がない俺は初めてだ。

いくら身体の相性がいいからと言って、ここまで余裕が無くなるものなのか?

だけど、ここで弱みを見せれば唯の思惑通りになってしまう。

俺だって女に屈するのなんてゴメン被りたいから?

更に俺は仮面を被って唯をイカせる事だけを考える。


他の女にはこんな事で集中しなくても済んだのに…


「唯?そろそろイキたくっ…なってきたんじゃない?」

「あっんんんっぁ…何っ…余裕っ…ぶっこいてくれてっ…んのよっ!今日はっ…先にっ…イって…」

「イヤ」


俺は唯の耳元でそう意地悪く囁いてから、彼女の身体を強く抱くと一番弱い部分を集中的に攻め立てた。

途端に中の動きが激しくなり、俺をも高波に連れて行こうとする。


「いやっ…いやっ…やだぁぁぁっ…」

「クスクス。唯、子供みたい…可愛いよ、そういう所。でも、いくら可愛くイヤって言っても無駄だからね?イカせてあげる」


俺は自然に唯の頬に唇を寄せていた。

その自分自身の行動に正直驚いてしまう。


え…俺が…自然に?


俺は可愛い仕草や綺麗な顔だと思ったら、そういう事は正直に言う。

俺だってそういう「感覚」は持ち合わせている。

でも、自ら唇を寄せるのは首から下の肌意外にはあり得ない事。

そう、先ほどのように自分の意思ならともかく、自然にすることなんて絶対にあり得ない…

俺はその事実に戸惑いながら、唯の大きな締め付けに耐えられずに彼女の首筋に顔を埋めてグッと身体を抱くと腰を押し付けるように奥の方まで進めて律動を送る。


「あっ…いやっ…れいっ…んあぁぁっ!!」


「ゆいっ…くぁっ!!」


自分の腰に唯の長く伸びた爪が食い込んでグッと強く掴まれるのを感じながら、俺も唯の中に欲望を吐き出して果てていた。




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