*Love Fight










ん〜〜〜っ!!あぁぁぁぁ。すっごい幸せな夢だったなぁ。

夢なのに自分の唇にリアルな感触が残ってる気がする。

うふっ。思い出すだけでもニヤけてきちゃう。

長瀬君の唇が私の唇に重なって、その後ずっと私を見つめてくれてて……

そう、こんな風に近くでずっと……こんな風・・・に。ん?

「うわぁぁぁっ!!!」

「ちょっと美菜、何やってんのよ。もう昼食の時間だから呼びにきたら、ニヤけてるわ、 私の顔を自分にひきよせるわ…あんた大丈夫?」

「うっうん。大丈夫・・・ありがとう。」

あせったぁ・・・・・私ってば、何をやってるのかしら。

夢と現実がごっちゃになってるよ。

「そう?頬の赤みも引いたみたいだから、大丈夫そうね。」

「うん。本当にごめんね、迷惑かけちゃって・・・午後からは頑張るから。」

「いいわよぉ。美菜がいない方が課題進むの早くってぇ。」

クスクスっと恵子が意地悪く笑う。

「ぶぅっ。そういわれると、ぐうの音もでません。」

「ふふっ。嘘よ。美菜の分もちゃんと残ってるから午後から頑張るのよ。」

「うん。足引っ張らないように頑張ります。」

「もう、冗談だって。さっ、早く着替えてご飯食べに行こう!!絶対あいつら待ってないから。」

「あ、は〜い。すぐ着替えるからちょっと待って。」

私は急いで制服に着替えると、恵子と一緒に部屋を出た。



食堂にはもう生徒が揃っていて、各班ごとに座って食べ始めている。

おいしそうな匂いが鼻をくすぐり、自分が空腹なのに気が付く。

寝てただけなのに、お腹はちゃっかり空くものね。

私は苦笑すると、柊君と長瀬君が座るテーブルに着いた。

彼らはさっきまで待ってたんだけどぉって言いながらすでに半分くらい手をつけている。

それって、待ってねぇだろ・・・・・。

長瀬君の顔を前にすると、先程の夢が思い出されて自然と鼓動が高鳴る。

わわわっ!!心臓がバクバク言っちゃってるよ。落ち着けぇ。

あれは夢なんだから・・・そう、夢の中の出来事。だから落ち着くのよ。

「美菜、私達も食べよう。いっただっきま〜す。」

「うん。いただきま〜す。」

私は深呼吸をして何とか落ち着きを取り戻すと、テーブルに置かれたお味噌汁に手をつけた。

「美菜ちゃん、もう大丈夫なの?お兄さん心配しちゃったよぉ。」

「あ、うん。もう大丈夫です。ご心配をおかけしましたぁ。」

「よかったよ。あ、途中で修吾に様子見に行かせたんだけどさ、変な事されなかった?」

「っっぶーーーーーーっっ!!」

「わっ!!美菜、汚っ、なに噴出してんのよ!!」

私は思わず飲みかけのお味噌汁を噴出してしまった。

えぇっ!?な、長瀬君部屋に来たの?・・・・・もしかしてあれは・・・夢じゃない?

私は慌てて近くの雑巾を手にすると、テーブルを拭きながら長瀬君の顔をそっと見た。

もぉ、美菜は。って恵子がジト目をしながら手伝ってくれる。

「ばぁか。俺は直人みたいな野蛮人じゃねぇって言ってんだろ?んな事するか。」

そういって、長瀬君はいつもみたいに無表情で言い放つ。

何事もなかったような顔・・・・・少しほっとした。

やっぱり夢だったんだ。だよね、そうだよね。長瀬君が私を好きだなんて事がある訳がない。

ましてやキスだなんて。でも様子見に来てくれてたんだぁ、ちょっと嬉しいかも。

バカ面して寝てなかったかしら・・・あの夢の時じゃなければいいな。

だってその時だったら、絶対この世の物とは思えない程のニヤけ顔だったろうから。

そうじゃない事を祈ろう。

「なぁんだ。おもしろくねぇなぁ。しばらく帰って来なかったからてっきりさ。」

「あ、それは私も思ってたんだぁ。なんだ、違うんだ。」

残念だねぇ、って言いながら恵子と柊君は顔を見合わせる。

あんたら2人って・・・どこまで似てるんだか。

「あれは、遠藤に課題の資料を取って来るように言われたから遅くなったんだよ。」

「ふぅ〜ん。俺だったら我慢できねぇなぁ。かわいい女の子が寝てる部屋に2人っきり の状況だろ?間違いなく襲ってるね。」

「お前の場合はそれが桂木さんだったらの話だろ?」

「っっぶほ!!」

今度は恵子がお味噌汁を噴出す。

うわぉう。恵子ったら顔が真っ赤だよ?きゃぁ、かわいい。あれ?柊君も少し頬が赤い?

はぁ。なんだかんだ言って2人共ラブラブだよねぇ。

チラッと長瀬君を見ると、彼も私の視線に気が付いたのかニッと意地悪そうな笑みを浮かべる。

してやったり顔。あ、もしかしていつもの仕返しをしてくれたのかな?

2人共自分達の事になると弱いんだぁ。くすっ、ちょっとした発見。

今度から私もこれで反撃しようかなぁ・・・無理だろうけど。ぐすん。

私は何となく嬉しくなって、ニコって微笑み返した。

そんな楽しい(?)昼食を終えて、午後からも課題の続き。

みんなに迷惑かけないように頑張ったわよ。

何もドジを踏まなかったと言えば嘘になるけれど・・・。



←back  top  next→