*Love Fight










次の日、私は恵子に叩き起こされ朝風呂に連れ出された。

恵子ぉ。私昨日あまり眠れなかったから寝かせてほしかった・・・うぅ。

早朝だからか、お風呂に入ってるのは私たち2人だけ。

「美菜、元気ないわねぇ。どうしたの?」

「ん〜?別になにもないよぉ。合宿は疲れるなぁって思って。」

先に体などを洗い終えた私は湯船に浸かって、洗い場で顔を洗っている恵子を見た。

「はぁ?まだ後一日あるのよ。今朝からそんなんでどうすんのよ。今日は2人一組になって 課題やらなくちゃいけないんだよ?」

「・・・だねぇ。」

「なぁに?その拍子抜けした声。まったく、今日の課題は私が直人と、あんたが長瀬となる ように設定してあげるから元気出しなさい。」

「えぇっ!!いっいいよぉ。そんなの。私恵子と一緒でいいよ?だって私ドン臭いから長瀬 君に迷惑かかっちゃうよぉ。」

「何よ、美菜。私だったら迷惑かけてもいいっての?」

「いやいや、そういうわけじゃないけれど・・・」

今、長瀬君と2人になったらほんとに困る。

だって、昨日もしあの時長瀬君が起きてたなら告白聞いちゃってたって事だよ?

しかも、その後長瀬君に抱き寄せられて・・・どういう意味だったのかな?

うぅ・・・わかんないよぉ。昨日もそのせいであまり眠れなかったし。

長瀬君の前でどんな顔したらいいのよぉ、絶対2人になりたくない。

「ねぇ、美菜。どうでもいいけどさっきからずっと浸かりっぱなしでいい加減出ないと湯中り 起こすわよ?」

「へ?・・・ああ、うん。もうあがるぅ。」

そういえば、何となく頭がクラクラしてきちゃったよ。

はぁ。もうあんまり深く考えないでおこう・・・うん、昨日は長瀬君は寝てて、抱きしめ られたのは寝ぼけてたという事で。

あがろう。ほんとに湯中りしそう・・・・・あれ?あがろうと立ち上がったけど・・・・・・・

目の前が・・・霞んで?・・・あれれ?体が・・・・・・

・・・ぶくぶくぶくぶくぶく。

「きゃぁぁっ。ちょっと美菜ぁっ!!!・・・・・」



***** ***** ***** ***** *****




「はぁぁぁっ。もうっ美菜!!びっくりさせないでよ。」

「うぅっ・・・ごめんちゃい。」

私はどうやらお風呂の中で湯中り起こして倒れてしまったらしいの。・・・面目ない。

恵子が私をお風呂から引きずり出してパジャマを着せた後、先生を呼びに行って部屋に運んで もらったらしいです、はい。

で、今私は赤い顔をして布団に寝かされている。

「あぁ、でもよかった無事で。ほんと美菜は何を起こすかわからないんだから。」

「うっ・・・。」

いやいや、それは恵子が寝不足の私を無理矢理起こしてお風呂に連れて行ったのがそもそもの 原因なんですが・・・言わないけど。

「先生がとりあえず落ち着くまで寝てなさいって。課題は何とかしとくから、ゆっくり休んで。」

「うん、ありがとぉ。ごめんね、恵子。」

「いいっていいって。無理矢理起こして連れて行った私にも責任があるんだから。じゃあ、私 行ってくるね。ちゃんとお詫びはするから。」

「ん?・・・は〜い。いってらっしゃい。」

私はドアを出て行く恵子に手を振ってから、布団の中に潜り込んだ。

何かひっかかる。恵子の最後の言葉・・・お詫びはちゃんとするからって、ニヤっと笑った?

・・・考えすぎかなぁ?とりあえず、寝よう。まだ少し頭クラクラするもん。

目を閉じると徐々に意識が遠のいていく。

クーラーの効いた部屋で、布団をかぶって寝るのって何て気持ちがいいんだろう。

ふわふわっとする気分の中、ドアが開き誰かが部屋に入ってくる。

ん・・・?誰・・・・・あれ、長瀬君?・・・何してるのこんな所で。

あぁ・・・そっかこれ夢か。そうだよね、こんな時間に長瀬君がここにいるわけないもんね。

ふふっ、私ったら夢にまで長瀬君が出て来ちゃってるよ。相当重症だよね。

夢の中の長瀬君は、布団の横に座るとニコって微笑んで大丈夫?って囁いてくる。

うん、大丈夫。・・・だって長瀬君が来てくれたんだもん。

彼はちょっと驚いた顔をしたけど、また微笑んでじゃあ添い寝してあげようか?って。

ほんとに?嬉しい・・・夢の中の長瀬君も優しいんだね・・・。

うん。て頷くと、彼は布団に入ってきてそっと私を抱きしめてくれた。

あっ、長瀬君の香りがする。夢の中でも香りってするんだぁ。私、この香り好き。

ねぇ長瀬君、私この香りも長瀬君も大好きだよ・・・・・。

そしたら彼はちゅっ、て私にキスをすると、俺も好きだよ。って微笑んでくれた。

はぁぁ。私ってば欲求不満なのかしら・・・こんな夢みちゃって。

でも、そのキスは温かくて柔らかくって。本当にされてるみたいで。

本当だったらいいのになぁ。お願い、夢なら覚めないで・・・・・。

私は長瀬君の温もりを感じたくて、胸に顔をうずめたら彼もきゅっと抱きしめてくれる。

・・・・・はぁ、すっごい幸せ。

私は幸福感に満たされながら、そのまま暗い闇に落ちていった。



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