*Love Fight 夕飯時も和気藹々としていた。 何かもう、すっかり家族の一員と化してる修吾君。 お母さんもすっかりお気に入りのようで、修吾君、修吾君。と連呼してるし、お父さんはお父さんでお酒を勧めながら「息子よ〜。」て言っちゃってるし。 ――――さっきは『長瀬君』って呼んでませんでしたっけ?お父さん、お母さん。 挙句の果てに、幸太郎まで「兄さん」と呼ぶ始末。さっきまで『修吾さん』だったじゃん!! お〜い、うちの家族さ〜ん。何かおかしくないですかぁ? もぉ・・・嬉しい事だけどね。 私は半分呆れながら、食べ終わったお皿をシンクへと運ぶ。 「ほんと、こんないい子が美菜の彼氏なんてねぇ。勿体無いわぁ。」 「俺、美菜じゃなくて修吾さんの弟になりてぇ。」 「・・・・・・。」 すいませんねぇ、こんな不甲斐ない娘&姉でっ!! 私はぶぅっ。と頬を膨らまして自分の席に戻る。 「お、修吾君。中々君もいける口だねぇ。日本酒飲めるか?幸太郎のヤツは日本酒ダメなんだよ。」 「一応何でも飲めますよ。」 「おっ!そうかそうか。じゃま、一杯付き合ってくれな。母さん、日本酒熱燗で一本。」 嬉しそうな顔で母親に頼みながら、自分はおつまみの枝豆を皿に盛る。 「お父さん!もぉ、修吾君は未成年なんだよ?そんなに勧めてどうするの!!」 「クスクス。美菜、俺だったら大丈夫だから。結構オヤジとも飲んでるし。これくらいなら酔わないよ。」 「もぅ。修吾君までぇ。」 「美菜ぁ、硬い事言うなって。お前も飲めば?」 「・・・いっいりませんっ!!」 幸太郎に勧められたコップを手にした瞬間、修吾君の目が細くなるのを視界の隅に捕らえて、慌ててコップをテーブルに戻す。 あっ危ない危ない。これで飲んだらまた修吾君に何されるか・・・。 この宴が落ち着くまで熱い日本茶をすすりながら、会話に混じる事にしたババくさい私。 暫く修吾君とお酒を飲んでいたお父さんは満足したのか、もう俺は寝る!と言葉を残して上機嫌で自分の部屋へと入って行った。 「あら、もぅ。お父さんてばまた朝にお風呂ね。」 お母さんは一つため息を付いて、洗い物をする為にシンクの前に立つ。 「おっと、もう10時じゃん。俺、連れんとこ行ってくるわ。」 「え、幸太郎。この時間から友達の家に行くの?」 「そ。これから高田ん家で徹マン。」 「てつ・・・まん?」 「徹夜で麻雀って事。じゃ、兄さんもゆっくりしてってね。お袋、行ってくらぁ。」 「もぉ。あんたも程ほどにしなさいよっ!!」 「へぇへぇ。んじゃな〜。」 幸太郎はひらひらと手を振ると、鼻歌を歌いながら家を出て行った。 幸太郎・・・あんた高校生じゃなかったっけ?徹マンって・・・・・。 「あ、美菜。お父さん寝ちゃったから、修吾君と順番にお風呂入っちゃって。最後にお母さん入るから。」 「うん、分かった。じゃぁ修吾君、お先にどうぞ。」 「じゃぁ、お先にいただきます。」 「は〜い、どうぞ。寝巻きは幸太郎のトレーナー出しておいたから。下着も新しいのがあったからそれ出しておいたけどよかった?」 「すいません。ありがとうございます。」 修吾君はにこやかな微笑を母親に向けてから、私の後をついて洗面所に入る。 「ごめんね、修吾君。こんな家族で・・・。」 「ん〜?全然。気に入ってもらえてよかったよ。」 「クスクス。ほんと、私なんてそっちのけだよ?酷いよねぇ・・・って、ひゃっ!!」 笑いながらバスタオルなどを修吾君に手渡すと、その手を掴まれて引き寄せられる。 ・・・・・修吾君? 「美菜・・・キスしよっか。」 「はぃっ?!ちょっちょっと修吾君?・・・もしかして酔ってるの?」 いつもと様子の少し違う修吾君に、そんな言葉が漏れる。 「ん〜・・かも。緊張が解れていい具合に腹の空いた状態で結構酒を飲んだからね。いつもならこれくらいじゃ酔わないんだけど・・・。」 そう言いながら修吾君の手が私の顎に当てられ、上を向けられる。 うわっ!ちょっ・・・マズイですって!! 避ける間もなく塞がれる唇。逃れようにも頭を押さえられてるから逃れられない。 すぐそこにはお母さんもいるのにぃ・・・ヤバイですってこの状況。 だけど、修吾君からのキスは止まる事がなさそうで、次第に深くなっていく。 重ねられた唇から微かにお酒の香りが漂ってくる。 なんか・・・これだけで酔ってしまいそう。 「んっ・・・。」 絡み合う舌に翻弄されながら、いつしか私の口から声が漏れはじめる。 「そんな声出して・・・止まらなくなったらどうするの?」 少し唇を離して、小さく修吾君が囁く。 「だってぇ・・・修吾君がそんな事するから・・・。」 「クスクス。そんな事ってどんな事?」 「やっ!もぅ意地悪!!・・・んっ・・・ダメだってぇ。」 修吾君の唇が私の首筋を這い、耳朶を甘噛みされる。 途端に、ぞくぞくっ。とした感覚が体を走り抜ける。 ダメ、ダメ・・・ホント・・こんな所でそんな事。 身を捩っても一向に放してくれそうにない修吾君の腕。 「美菜がそんな声出すから止まりそうにないよ?どうする?」 「やぁっ!ほんと、ダメだって・・・ここじゃ・・・。」 意地悪く囁かれて、真っ赤な顔で首を振る私。 何か・・・今、私墓穴掘りましたか? 私の言葉を聞いて、修吾君の腕が私の体から離れて彼の顔から意地悪い笑みが浮かぶ。 「クスクス。そうだね、ココではね・・・じゃぁ続きは後で。」 「・・・・・はぅっ。」 ・・・・・やっぱり。 |