*Love Fight






♡  2  ♡




「あぁぁ。緊張した。」

修吾君が私の部屋に初めて足を踏み入れてからの第一声。

「え?修吾君、緊張してたの?」

「そりゃもう、すっごい緊張しまくり。心臓が口から飛び出すかと思ったよ。」

「えぇ!!そんな感じに全然見えなかったよ?」

「クスクス。見せないように努力してたの。おどおどしてたら印象悪いでしょ?」

改めて、あなたってすごい人ですね。私には絶対絶対出来ないですよ?

「でもでも、すっごく嬉しい。一緒に旅行行けるんだぁ。」

「うん、そうだよ。俺もすっごい嬉しい。よかったね。」

「うん!!よかったぁ。あっ!でも、今からじゃホテルとか取れないんじゃ・・・。」

「一応ね、予約は入れてあるんだ。もし許可してもらえた時に泊まる所がなきゃ意味ないからね。」

「えっ?!もっもう予約済んでるの?・・・知らなかったよ、私。」

「本当は当日びっくりさせようと思ったけんだけど・・・ま、いっか。」

修吾君はニコッ。と笑うと私を後ろから抱きしめてくる。

「わっ!えっ?しっ修吾君?」

「来週か・・・待ち遠しいな。」

そう耳元で囁くと、ちゅっ。と軽く頬にキスをされた。

私は何だかくすぐったくて、首を竦めながらまわされた手に自分の手を添える。

「うん。私も待ち遠しい・・・初めてだよね、2人で旅行行くのって。」

「そうだなぁ。どこかで泊まるのって合宿以来だもんね。」

そっか。合宿以来なんだ・・・夏に行った海は日帰りだったもんね。

何度か修吾君の家に泊まりに行った事はあるけど、2人で「旅行」は初めて。

何だか今からウキウキしちゃう。

「ね、ね。どこに泊まるの?」

「ん?それは内緒。行ってからのお楽しみ〜。」

「え〜。やだやだ・・・教えて!!」

「ダ〜メ。教えてあげない。」

「ぶぅっ!!」

「クスクス。そんな可愛い顔しても教えてあげないよ?」

ぷくっ。と頬を膨らませて彼を見上げる私の目に優しい修吾君の笑顔が映る。

そのまま徐々に近づいてくる修吾君の顔に、自然と私の瞼も閉じる。

いつものように優しいキスが送られる――――寸前で、ドンドンっ!!とドアを叩く音が聞こえて、返事をする前に幸太郎が部屋に入って来た。

「お〜い、美菜・・・って、おわっ!お邪魔だったか・・・。」

「ぶほっ!!こっこっここ幸太郎っ!!!!へっ部屋に入る時は・・ののノック・・・。」

なっ何故突然入ってくる?!・・・っていつもそうだけどさ。

今日みたいな日はちょっとは考えてよ!!もぅっ。

「したじゃねぇか。」

「へっ返事まだしてないもんっ!!」

軽く睨むと、悪びれる様子もなく反対にイヤラシイ笑みを浮かべながら視線を私から修吾君へと移す。

「悪ぃ悪ぃ。ところで修吾さん、今日泊まってくだろ?金曜だし、うちの親も泊まっていけば?ってさ。なんかえらく気に入られてっぞ。ま、俺もそのうちの一人だけどね。」

「え・・・いいのかな。でも、俺泊まる用意なんて何もしてきてないし。」

修吾君は私を抱きしめていた手をほどくと、幸太郎の方に向きを変える。

「あぁ。パジャマとかだったら俺のトレーナーでいけるっしょ。ほぼ背も同じくらいだしさ、そうしなよ。美菜も喜ぶし?」

・・・・・・何だよぉ。その気色の悪い流し目はぁ。

「じゃぁお言葉に甘えてそうしようかな。」

修吾君もそう言いながら私の顔を覗きこんでくる。

いや、だからぁ・・・2人してそんな目で見ないでぇっ!!

私の顔が途端に真っ赤に染め上がる。

「クスクス。美菜・・・顔真っ赤。」

「ぅっ・・・・・。」

「あ、そうそう。今晩初めてうちに泊まるっつう事で、俺から修吾さんへのプレゼント♪これで今晩頑張ってよ。足りると思うけど。」

そう言って、徐にポケットから何かを取り出し修吾君に手渡す幸太郎。

それを見た修吾君の表情が困ったような驚いたような複雑な顔に変わる。

ん?頑張るって何を渡したの・・・・・って、こらーーーっ!!!

修吾君の手の中の物を確認して、更に私の顔が赤く染まる。

「なっ何を渡してくれちゃってるのよっ!!」

「ん?何ってコンドームじゃん。泊まる用意してなかったら持ってないかもしんないっしょ?だったら今晩修吾さんかわいそうじゃん。生殺しで・・・3つで足りる?俺のギリギリのラインなんだけど。」

当然のように口から漏れる幸太郎の言葉に暫く言葉が出てこない。

これが私の弟なのか・・・・・・。

「クスクス。ありがとう、多分足りると思うよ。」

って、修吾君も何さらっと言っちゃってくれてるんですかっ!!

みっ3つも・・・足りるとか足りないとか。そこまでした事ないっつうの!!

じゃなくっって!!もぉ、私も何を言ってるのよ。

頭を抱える私の耳に、おかしそうに笑う修吾君の声。

なっ何がそんなにおかしいんですか。

「美菜、頑張ってみる?」

「しっしゅっ修吾君!!!」

あぁ。もうダメ・・・久々鼻血出そう。

私は目の前が真っ暗になるのを感じながら、辛うじて倒れそうになる体を持ちこたえる。

「でもさぁ、修吾さん。美菜で満足できてる?お子ちゃまでしょ、コイツ。」

「こっ幸太郎っ!!」

「ん?そんな事ないよ。充分満足してる。」

「って、修吾君までっ!!」

なんちゅう会話をしてるんだぁっ!!

もぉ・・・いやんっ!!



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