*Love Fight






♡  4  ♡




私はお泊りの用意をして、母親と弟にひやかされながら修吾君に言われた通り明るい内に家を出た。

まったく・・・なんていう家族なのかしらっ。

普通ね、彼氏とお泊りだなんてバレたら怒る場面じゃないの?

それなのにあの2人ったら怒るどころか真っ赤になる私を茶化してくるし・・・。

それもこれも弟の幸太郎が好き勝手やってるお蔭なのでしょうか。

大体ね、幸太郎も幸太郎だよ。もっと私の事を姉として見れないものでしょうかね。

そりゃね子供の頃から何かとドジをする私を恵子と一緒になって助けてくれてたのは有難いと 思ってるわよ?

だけど私の方が1つ年上なんだから・・・・・。

そこまで考えた所で突然カバンの中から携帯が鳴り出す。

「ん?修吾君かな・・・。」

心配になって電話してくれたのかな。

携帯を取り出し、ディスプレイ部で番号を確認すると知らない番号が表示されている。

「誰だろ?・・・・・もしも〜し?」

私は首を傾げながら通話ボタンを押す。

『もしもし、美菜?俺、大成。』

「うわっ!たっ大成君?・・・なっ何で私の携帯番号を??」

『大成。』

「・・・はい?」

『今、「大成君」って君付けで呼んだよね?大成って呼んでって言ったじゃ〜ん。』

「あ・・・ぅ。ごめんなさい。」

『クスクス。ま、いいけどね。今度からちゃんと大成って呼んでよね。で、今何してんの?』

いや、ですからね。何で私の携帯番号を知ってるのかって聞いたんですが・・・。

「あの・・・どうして私の番号知ってるの?」

『ん?そりゃあ修吾に聞いたからだけど?』

修吾君が私の携帯番号を?・・・何でだろう。友達だから?

私はその言葉に首を傾げながら、そうなんだ。と呟く。

『でさぁ、今何してるの?美菜も今日の夜集合するんだろ?』

「えっ!じゃあ大成君・・・」

『大成。』

「ぅっ。たっ大成も・・・行くの?」

間髪入れずに訂正されて言葉に詰まる。

何か・・・やりにくいなぁ。この人。修吾君以外の男の子に『美菜』と呼ばれるのにも抵抗を 感じる。

『もち、行くに決まってんじゃん。集合時間までもうちょっと時間あるだろ?美菜はどうしてんの?』

「私は・・・修吾君のバイト先に行くんです。」

『おっ!丁度よかった。修吾のバイト先ってあのでっかい本屋だよね。俺、買いたい本あったんだ。 一緒に行こうよ。』

「え・・・一緒に・・ですか?」

『な〜に、その反応。もしかして俺とじゃ嫌?』

はい。嫌です!!

言えたらどれだけすっきりするでしょう。

「あ。いえ・・・嫌ではないですけど・・・。」

『じゃぁ決定ね。どこで待ち合わせする?って、美菜はどの辺にいるの?』

「今は・・・駅前に着いた所で。」

『おっけ〜。じゃぁその駅前の噴水んとこで待っててよ。用意してすぐ行くからさ。』

「あ・・・の。」

私が言葉を発する前に、じゃぁ後でね。と声が聞こえてプツン。と切れる。

暫くその場に立ち尽くし、私の耳に、プープープー。という悲しげな音が響いていた。



***** ***** ***** ***** *****




仕方なく噴水の所に腰を掛けて待っていると、程なくして大成が姿を現した。

「はっ早かったね。」

「もぉ、そりゃ美菜に会いたかったからね。全速力で走ってきた。」

はぁ、はぁ。と肩で息をしながら、にっこりと白い歯を見せて笑う。

――――美菜に会いたかったから。

どっひゃぁぁ。今、もんの凄い事を言われませんでしたか?私。

真っ赤に頬を染め上げると、かっわいぃ。と言って抱きしめられる。

ぶほっ!!なっなっ何で抱きしめる!?あなた、修吾君の友達じゃないんですか!!

・・・・・それよりも・・・この人タバコ臭い。

抱きしめられて、香水の匂いに混じってタバコの香りが鼻に届く。

苦手・・なんですけど。タバコの臭い。

それでも修吾君以外に抱きしめられるのに慣れていない私はかちんこちんに固まっていると、 ごめんごめん。と苦笑を漏らして私の体から離れる。

「ほんと、男慣れしてないね。こんな美菜を独占してる修吾が羨ましいや。」

「独占って・・・。」

「美菜を狙ってるヤツって結構いるんだって。だけど、修吾のヤツが邪魔してさぁ。告る事も できないんだぜ?ま、俺もその中の一人だけどね。」

「・・・・・はぃ?」

最後、周りの人の声に紛れて聞こえにくくて聞き返すと、もう一度言われる事無く笑みを返された。

「ん?ま、気にしないで。それは追々ね・・・所でちょっと一服してもいい?」

「一服?」

「ちょっと一息。タバコ吸わして。」

大成はポケットからタバコを取り出すと、徐に口に咥えるとジッポを使って慣れた手付きで 火をつける。

「タバコ・・・吸うの?」

「まあね。美菜は嫌い?タバコ吸うヤツ。」

「嫌いって言うか・・・臭いが苦手で。」

「そうなんだ。っつうか、修吾も吸うぞ?タバコ。」

フーッ。と煙を私にかからないように、上に噴き上げるとそう呟く。

え・・・嘘だ。修吾君がタバコ吸った所なんて見たことないよ?

それに前、修吾君もタバコの臭いが嫌いだって言ってたもん。

・・・・・嘘つきだ。この人。

「修吾君、タバコ嫌いだって言ってたよ?それに私の前では吸ったことないもん。」

「それは美菜が嫌いだって言ってるからだよ。俺らと集まる時は一緒になって吸ってんもん。」

「うっ嘘だぁ。」

「ほんとほんと。どうする?修吾のヤツ、美菜に嘘付いて影で吸ってんだぜ?」

「・・・・・ぅ。」

どうする?と言われましても・・・修吾君は絶対吸わないもん。

だけどだけど、友達の大成が言ってるんだから本当なのかな。

だったら修吾君は私に嘘を付いてるって事?

やだやだ。何だか分からなくなってきた。

不安の表情を見せる私の顔を見て、クス。と小さく笑うと私の手を取りぎゅっ。と握ってくる。

「えっ!なっ何でっ?」

「転んで怪我されたら修吾に怒られっちまうからね。こうしておいたら転ばないだろ?」

「でっ・・・でもぉ。」

「気にしない気にしない。こっから修吾の本屋まで近かったよね、んじゃ行こっか。」

大成は吸い終わったタバコを指でポンッ。と弾き、足元に落ちた所を靴の底で踏み消す。

私は何が何だか分からないまま、大成に手を引かれて行く事になった。

・・・・・なっ何で?



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