*Love Fight










・・・・・・・・・・疲れました。

部屋に着くなり、どさっとバックに頭を乗せて寝転ぶ。

何でココに来るだけで、こんなに疲れなきゃなんないんでしょうか。

はぁ・・・・・。

「な〜に、美菜どうしちゃったの?もうお疲れ?」

同じ部屋の恵子が自分の荷物を置いて、中から化粧ポーチを取り出す。

「疲れたよぉ。あぁ〜お風呂入りたぁい。」

「もう、おばさんみたいな事言ってぇ。そんな美菜に貴重な情報を教えてあげましょう。」

「なぁに?」

「あのねぇ、長瀬って自分から女の子に触れたりしないヤツなんだってさ。でも今日、あんた長瀬に肩抱かれて寝てたでしょ?それに!!あいつ滅多に人前で笑わないんだよ?それが美菜の前ではどうよ?しょっちゅう笑顔じゃん。それって脈アリなんじゃないのぉ?」

恵子は同室の女の子達に聞こえないように、私に耳打ちをする。

「へっわわっ。そうなの?でもでも、あれは私があまりにもひどく舟漕いだから・・・きっと仕方なく だよぉ。だって、それ以上何かされたらお腹がもたないって言われたし、いつも笑顔っていうのも 笑われてるんだよ、それって。」

確かに、私と話す時だけいつも笑っているような?よく話してくれるような?

ん〜、でもそれってやっぱり私がドンくさいから笑われてて面白がられてるんだよね。

きっとそうだ・・・間違いない!!

「あははははっ!!ま、そう言われればそう取れなくもないわね。」

「恵子ぉ。」

「うふふっ。でも少しは期待してもいいんじゃない?前向きに考えなさい。」

ぽんぽんっと私の頭を軽く叩くと、恵子は化粧ポーチから油取り紙を取り出して鼻に当て始める。

うぅ・・・期待って言われても。

期待するだけして、振られちゃったら悲しいじゃない。

そりゃあ、明るい未来なら嬉しいけれど・・・。

「さっ、美菜。出掛けるわよ!!」

すっかり手入れを終えた恵子が私の手を引く。

「え〜。着いたばっかりなのに、どこ行くのぉ?」

「お昼ご飯まで、フリーでしょ?だから、直人の部屋に遊びに行くの!!」

「へっ?・・・・・えぇぇぇ!!!」

柊君=長瀬君も同じ部屋。

マジですか!!・・・恵子、何であなたはいつも突然なの?

こんなんじゃ、心臓持たないよぉ。



「直人ぉ、遊びに来たよ!!へぇ。男子の部屋って結構広いんだね。あっ、ここって6人部屋?」

「おぉ恵子。女子はいいよなぁ。4人一部屋だろ?な〜んか男ばっか6人てむさ苦しくてさぁ。」

・・・・・来てしまった。長瀬君がいる部屋。

わぁ。何か同じ部屋の造りなんだけど、男の子の部屋って感じがするぅ。

私って今まで弟の部屋以外、男の子の部屋になんて入った事なくて・・・普通の部屋なんだけど緊張するよぉ。

「美菜ちゃんキョロキョロしてどったの?あ、男の部屋って感じ?もしかして緊張しちゃってる とか。」

柊君が赤い顔をして辺りを見渡している私を見て、ニヤッと笑った。

あなた・・・意外に鋭いですね。

「恵子、ちゃんと美菜ちゃん保護しとかないとヤローばっかだから襲われちまうぞ。」

「わかってるわよん。美菜、ちゃんと私の横にいるのよ。」

ひえぇぇぇっ。何て事をおっしゃるんですか!!

襲われるだとか・・・益々顔が赤くなっちゃったよぉ。

・・・って、あなた達2人して私の反応見て楽しんでませんか?

はっ!!長瀬君まで笑ってる・・・というよりまた笑われてる。

何だよぉ、みんなしてぇ。

あれ?・・・このいい匂い。あっ、バスの中で匂った長瀬君の香水の香りだぁ。

くんくんっとしている私に気が付いて、長瀬君が香水の入った小瓶を揺らした。

「ごめん、臭いだろ?ちゃんと蓋閉めたつもりだったんだけど、少しこぼれちゃって。」

「あ、ううん。全然全然!!あっあの、いい香りだなぁって思って・・・。」

「だろ?俺もこの香り好きなんだ。あ、つけてみる?」

「えっ!?いいの?」

「うん、いいよ。ちょっとしかつけないから減らないんだよね。」

ニコッと笑うと、小瓶の蓋を開けて私に向ける。

うわぁぁ。長瀬君と同じ香水をつけれるぅぅ!!しかも長瀬君の物だよ。

はぁ・・・こんなに幸せでいいのでしょうか?でもでも、緊張するぅ。

そこで、構えてくれてるって事は長瀬君がつけてくれるってことだよね?

うろたえている私を、ほらっと言って恵子がとんって背中を押してくれた。

「へにゃっ!!」

「ぁ・・・ごめん美菜。」

バタンッ!!と大きな音を立てて、私は前につんのめってしまった。

・・・・・痛い。

うぅ。そんなに強く押されてないのに・・・何故転ぶ?

我ながら情けない。例によりみんな大笑い。

特に柊君なんてお腹かかえて笑うんだよ?あ、声は殺してるけど長瀬君も目に涙たまってる!!

そこまで笑いますかね、普通。

でも笑いながらだけど、長瀬君が抱き起こしてくれてポンポンって頭を軽く叩くと、

「大丈夫?ほら、手出してみて。」

って言ってニコッと笑うと、シュッて手首に香水を少し吹きかけてくれた。

わぁぁ。長瀬君の香りだぁ!!

恥ずかしすぎて長瀬君の顔を見れなかったけど、何かすっごい幸せだぁ。



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