*Love Fight










はぁ。乗り物ってどうしてこう・・・眠くなるんでしょうか。

ゆりかごに乗ってるように、ゆ〜らゆ〜ら。気持ちいい。

長瀬君が横にいて緊張してるはずなのに、瞼が自然に・・・・・閉じて・・・・。



・・・・・・・・・・。



・・・・・ん〜、あれ?私寝ちゃったのかしら??

ん?でも何で視界が横に見えるの?

んでもって、頭には柔らかいような硬いような人の足のような感触・・・・・。

私は寝ぼけ眼で頭の下に視線をやると・・・ん?人の足?・・・って・・・へっ!?

「目覚めた?」

がばっと起き上がると、今の状況を確認する。

げぇぇぇ!!私ったら長瀬君の膝の上に頭乗せて寝てたぁ!?

イコール膝枕!!

「わわわっ!!ごっごめんなさいっ。私、知らない間に寝ちゃって。」

「くすくすっ。いいよ、別に。気持ちよさそうに眠ってたし。」

「おっ重たかったでしょう?いくら中身が詰まってなくっても・・・はぁ、ごめんなさい。」

「いいっていいって。寝てた方が酔わなくて済むし。気にしないで。まだ着きそうにないからもっかい寝た方がいいよ。」

にっこりと笑う長瀬君。

んんん〜。何て優しいの!!もうっ美菜感動!!・・・・・いやいや、そうじゃなくて。

私は恥ずかしさのあまり、うん。とだけしか答えられなくて、俯いてしまった。

それでもバスの心地よい揺れに身を任せてると、またまた睡魔がぁ。

・・・私ってばどんな神経してるのかしら。

起きてなくちゃいけないって思うんだけど、意識が遠のいて・・・ゆらゆらと舟を漕ぎ始める。

あぁぁ。待って。寝ちゃダメなのよ・・・しっかりしろっ美菜!!

でもでも自然に瞼がぁ。閉じて・・・・・。



・・・・・・・・・・。



ごっ!!と鈍い音と共に、私のおでこに激痛が。

「・・・・・っむぅぅ。」

呻き、頭を抱える私を見て、横で長瀬君が大笑い。

ひゃぁぁぁっ!!はっ恥ずかしいぃぃ。

なんで?何で??私ったらどこをどうやったら前の席に頭ぶつけられるの!!

窓に打ち付けるならまだわかるわよ。何で前なのぉ!?

・・・・・穴があったら入りたい。

「くすくすっ。いいよ、遠慮しなくても。俺によりかかって寝てくれて。」

「わわっ!!いいですいいです。そんな、長瀬君に迷惑かかっちゃうもん。」

「いいって。それ以上何かされると、俺の腹が持たないから。」

そう言って長瀬君は私の肩に手を回すとくいっと引き寄せた。

へっ?っへ!?・・・何々、この状況。私の頬に長瀬君の肩が当たってるよ?

しかもしかも!!肩にまわされた長瀬君の手が私の頭をポンポンって撫でて

「くすっ。戸田さんの髪の毛って、すっごいサラサラ。赤ちゃんみたい。」

だって。うわぁ・・・ダメ・・・また鼻血出そう。

あれ?長瀬君て、何か香水つけてるのかなぁ?とってもいい香りがする。

あぁ。絶対、顔真っ赤だぁ。だってだって、頬っぺた熱いんだもん!!

でもでも、頬に当たる肩の感触と長瀬君の香りに幸せを感じる私・・・・・不謹慎でしょうか。



そうこうしている内に、バスは目的地に着いてしまった。

あれからずっと長瀬君は私の肩を抱いてくれてて・・・不覚にもまたまた寝てしまった私。

もぉ、何なの私!!滅多とないチャンスなのにぃ。

バスを降りる時も何も言わずに、にこって笑って荷物取ってくれたし・・・・・。

長瀬君、あなた優しすぎです!!・・・あぁ、前にも増して好きになってしまいました。

・・・・・この気持ち、どうしたらいいですか?



「美菜ぁ、どうだった?長瀬の隣りは。後ろから見てたらいい感じだったじゃない?」

バスを降りて宿舎に向かう途中で、恵子がつんつんっと横腹をつついてきた。

「わわわっ!!いい感じだなんて・・・うぅ・・・長瀬君に迷惑をかけてしまったぁ。」

「何、そうなの?あっ、また寝ちゃったんでしょう?美菜ったら乗り物乗るとすぐ寝ちゃうんだから。 しかも、舟漕いでいたるところに頭打ち付けちゃうし。」

おっつ・・・ご名答で・・・。

でも、そのお陰で長瀬君の肩を貸してもらえるというラッキーな場面に出くわせたんだけど。

感慨に耽っていると、突然後ろから誰かに抱きつかれてしまった。

「ひゃっっ!!」

「美菜ちゃ〜ん、修吾に悪戯されなかった?もぉ、お兄さん心配で心配で。」

あなたですよ、あなた!!悪戯してるのは。

「やややっっ柊君!!だだ大丈夫ですぅ。反対に私が迷惑かけちゃって。」

柊さん・・・あなた懲りない人ですね。仮にも・・・いやマジで恵子の彼氏じゃないですか!!

そんな事ばっかりしてると、恵子に怒ら・・・れそうにないね。

・・・・・恵子も一緒に抱きついてきたし。お姉さんも心配だったぁ〜とか言って。

私、もしかしてこのカップルにおもちゃにされてる?

「・・・直人、お前ねぇ。俺はお前と違って紳士なんだよ。」

「な〜にスカしてんだよ!!お前もこうやって美菜ちゃんに抱きつきたいくせにぃ。」

「あら?なに、長瀬も美菜に抱きつきたいわけ?」

恵子も柊君も何言っちゃってるんですか!!

そんな事、長瀬君に聞かないでぇ。想像しただけでも血管がぁ・・・・。

「あ〜いいかもなぁ。戸田さんって抱き心地よさそうだもんな。今度二人っきりになったら抱きつこ うかな。」

ぶーーーーっ!!あ〜もうダメ。

戸田 美菜 午前10時30分・・・KO負け。

カーンッ!!



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