*Love Fight 学校に着くと、もう大半の生徒が集まっていた。 みんな早いなぁ。 あ、柊君発見・・・うわっ、隣には長瀬君だ!! どうしよう、緊張してきちゃったぁ。恵子って絶対このまま柊君の所に行くよね? さっきから恵子と手繋いだままだし・・・きゃぁ〜。 「おっはよぉ!直人。長瀬もおはよう!!」 とんっと恵子は柊君の肩を叩くと片手を挙げた。 「おっす恵子。美菜ちゃんもおっはよ〜。」 先に挨拶を口にした柊君が、ぎゅって私に抱きついてくる。 長瀬君も隣で恵子におはようって言ってるけど、やっぱり無表情だ。 「ふにゃぁぁぁっ!!おっおぉぉおはよう柊君っ!!」 あ、あ、あなたっ何を考えているんですか!! 柊君は何故かいつも私を見つけるとこうやって抱きついてくるの。 私の反応がおもしろいからって言う事らしいけど・・・恵子も横で笑ってるし。 はっ!!長瀬君にも笑われてるぅぅ・・・・。さっきまで無表情だったくせにぃ。 私はゆでダコのように顔が真っ赤になるのがわかる。あぁ・・・いつもの事ながら。 ・・・・・・鼻血出そう。 「もぉ、直人やめなさいよ。美菜固まっちゃってるじゃない。いっつもいっつも懲りないわね。」 「あはははっ。ごめんごめん。いつやっても美菜ちゃんの反応が面白くってさ。ついつい。」 ついついじゃないですよ、あなた!! そんな事するのは彼女の恵子にだけにしてください。 お陰で長瀬君におはようの挨拶しそこなっちゃよぉ・・・ぐすん。 はぁ。でも今日も長瀬君カッコいいなぁ。普通にしてると近寄りがたい雰囲気なんだけど、 微笑んだらほんっとにかわいいんだよぉ。あれは罪だね・・・うん。 あんな顔されたら何にも言えなくなっちゃうもん。 「・・・にしても、お前、美菜ちゃんとまた手繋いでレズってんのかよ。」 「いいじゃな〜い。私と美菜は固い友情で結ばれてるのよ!!直人の入る隙間はないわ。」 「ほぉ、言ってくれるねぇ。お前が美菜ちゃんの周りを固めてるから他のヤローが手出せねぇんだぞ。なぁ、修吾?」 「くすくすっ、そうだな。城壁を崩すのは大変そうだもんな。」 そういって長瀬君が目を細めて微笑む。 そう!この笑顔なんです!!あぁぁ・・・かわいい。 思わず見とれてしまう私。 これで、今日も一日ハッピーで過ごせそう。 「当たり前じゃない。私の目に敵うヤツじゃないと美菜は渡せません。・・・で、話は突然変わるけど 今日のバスだけど直人、美菜と席変わってあげてよね。私と隣なんだけどちょうどタイヤの上なん だよね。美菜ってバス酔いするから前から3列目のあんたと変わってよ。」 ・・・・・はいっ!?突然何を言ってるの、恵子。 柊君の隣って・・・長瀬君じゃない!!そそそ、そんな突然。 「お?そうなんだ、美菜ちゃんバス弱いんだ。俺はいいよ。修吾は?」 「俺も別に戸田さんがよければいいけど?」 「んじゃ、そういう事で。美菜、よかったね。前から3列目ならバス酔い大丈夫よ!!」 恵子はポンポンっと私の肩を叩いて、作戦成功!!って耳元で囁いた。 作戦って・・・そんな事考えてたのぉ? バスの席取りする時にわざわざタイヤの上取るから不思議に思ってて、しかも 私、車酔いなんてした事ないから突然何を言い出すんだろう?って思ってたんだけど。 うわぁ〜。どうしよう・・・長瀬君と隣りだなんて。緊張するぅ。 「じゃあ、みんな揃ったなぁ。席に着いたら出発するぞ。」 担任の遠藤先生が後ろの席まで届くように声を張り上げる。 「戸田さん、窓側座りなよ。その方が酔いにくいと思うし。」 「あっう、うん、あぁりがとう。ではではお邪魔しますぅ。」 きゃぁ〜。私ってば緊張のあまり声が裏返ってるぅ。 ひえぇぇ・・・長瀬君、笑ってるよぉ。 長瀬君は笑いながら私の隣りに腰を下ろした。 おぉぉ。ち、近い・・・近すぎる!!肩が触れてるよぉ。 思わず私の頬っぺたが赤くなる。 「・・・・・戸田さんて、ほんとかわいいよな。」 な、何ておっしゃいました?今『ほんとかわいいよな』って聞こえた気が・・・・・。 ぼそっと言われたからよく聞こえなかったぁ。 いやいや、でもそんな事言う筈が・・・ないない。 ぶんぶんっと首を振る私を見て、長瀬君が不思議そうな顔をする。 「どうしたの?」 「えぇっ!?いぃいえいえ、何でもないでございますです!!」 「・・・・・っぶ。あははははっ。戸田さん面白すぎ!!」 「へっ!?いっ今、笑うとこですか?」 「くすくすっ。うん、笑うとこ。・・・・・たまんねぇ。」 私は何で笑うのか訳がわからず、きょとんと首を傾げてしまった。 でもでも、こんなに笑ってる長瀬君見るの初めてかもしれない!!いや、間違いなく初めて!! うわぁ、貴重だぁ。これだけでも隣に座れるようにしてくれた恵子に感謝しなくちゃね。 「んじゃあ、みんな席に着いたな。出発するぞぉ。」 先生の掛け声と共にバスはゆっくりと動きだした。 |