*Love Fight






〜 30000Hitキリリク作品 〜

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チュンッチュンッ・・・と、窓の外では雀達が朝が来たことを知らせ始める。

私はその声に起こされるように眠りから目覚めた。

ん・・・よく寝たぁ・・・今、何時かな・・・って、わぁっ!!

・・・・・忘れてた。そう言えば昨日、そのまま何も着けずに寝ちゃったんだ。

私は自分と長瀬君の姿を見て、一人頬を赤く染める。

横で気持ちよさそうに眠っている長瀬君を見ると、昨日の事が思い出される。

たくましい腕、厚い胸板、広い背中・・・そのすべてが昨日、私を包んでくれて・・・私を女に 変えてくれた。

私は長瀬君を起こさないように静かに彼の方へ身体を向ける。

長瀬君も横向きに寝てるから、丁度私と向き合う形。

そっと手を伸ばし、指で彼の唇に触れてみる――――いつも私に優しいキスをしてくれる唇。
「美菜」って愛しげに呼んでくれる唇。

そのまま指を首筋を通って彼の胸まで這わせて掌を当てる――――広い胸・・・いつも抱きしめ られて顔をうずめる場所。私の安心できる場所の一つ。

掌を胸から私の身体にまわされている腕に移動させる――――たくましい腕・・・ドジばっかり する私をいつも支えてくれる腕。いつも私を抱きしめてくれる優しい腕。

私は手をもう一度長瀬君の顔まで戻すと、再び頬を指でなぞり唇に移動させる。

ピクッ。と僅かに反応を見せる長瀬君の唇――――・・ん?

「・・・長瀬君・・起きてるの?」

「・・・・・・・。」

反応なし。あれ、私の思い過ごしかな?今、僅かに唇が動いた気が・・・。

じっ。と長瀬君を見ていると、無性に唇を重ねたくなる衝動に駆られる。

・・・・・私、どうしちゃったんだろ・・昨日の余韻がまだ残ってるのかな。

ん〜〜〜、どうしよう・・・寝てるからちょっとなら大丈夫かなぁ?

私からした事がないキス。だけど、今なら出来るような気がする・・・散々迷った挙句、ゆっくりと 顔を近づける。

ん・・・ん・・・ん・・・・・・ぷはーーーーっ!!やややっぱダメだ。緊張して出来ないや。

一つため息を付くと、身体の向きを変えようとした――――・・

「――――・・キスしてくれないの?」

「えっ?!」

突然耳に届く彼の声――――寝起きだからかいつもより少し掠れた声。

「なっ長瀬君・・お起きてたの?」

「寝てたよ?誰かさんがこちょこちょ人の体を触るから起こされたの。」

「ぅ・・・・ごめんなさい。」

「ね、おはようのキスはしてくれないの?」

「えっ・・・やっ・・・・あの・・・うぅ。」

「してほしいなぁ。」

長瀬君は私の頬を撫でながら、優しく微笑む。

真っ赤になって戸惑っちゃったけど、私は身体を半分起こすとゆっくりと彼の唇に自分の唇を 重ねる。

少しだけ唇を離して、おはよう。って呟くと長瀬君も、おはよう、美菜。って微笑んでから 今度は彼の方から唇を重ねてきた。

ついばむ様なキスをしてから唇を離すと、私の身体を抱きしめる。

トクン、トクンと少し早い長瀬君の鼓動がダイレクトに私の耳に届く。

「長瀬君の心臓ドキドキ言ってるよ?」

「ん。美菜といる時はいつだってドキドキする。」

「うっ嘘ぉ!長瀬君が?」

「クス。そうだよ?美菜といるとすごくドキドキする。」

「えっ!えぇ!!何で??」

私は驚いて目を見開く。だって一緒にいる時全然そんな風に見えないよ?

「美菜の事好きだから。好きで好きで・・・どうしようもないくらい大切だから。」

「な・・・長瀬君。」

途端に私の顔が真っ赤に染まる。

「クスクス。ほんと・・・今まで女の子と付き合った事がなかったから、どう接したらいいのか わかんなくて。でも美菜を不安にさせたり傷つけたくなかったから、もう必死。」

「えぇ!はじめて・・・・えぇぇぇ!!嘘ぉ。だって慣れてるよ?」

「そう見えように頑張ってるの。」

「え・・・じゃあ長瀬君も・・・その・・・えっちするの初めて?」

「そ。キスも美菜が初めて。」

「そんなにカッコいいのに?」

「クスクス。それはあんまり関係ない気が・・・。」

えぇぇぇぇっ!!マジですか?全っ然そんな感じしませんでしたよ・・長瀬君て、マジ凄い?!

もしかして、私の知らない所でいろいろと長瀬君は苦労してたのかな。

「前に言ったよね?一緒に少しずつ進んで行こうって・・・俺も一から一緒に美菜と進んで たんだよ。」

少しずつが最後無理だったけど。と、長瀬君はバツが悪そうに呟く。

そうなんだ・・・長瀬君も初めてだったんだ。

私一人が緊張して戸惑ってたわけじゃなかった・・・長瀬君も同じようにドキドキしてくれてたんだ。

そう思うと自然と笑みが漏れてくる。

「何笑ってるの?」

「ううん。私だけが緊張したり、戸惑ってた訳じゃなかったんだって。長瀬君も同じだったんだって 思ったらすごく嬉しくなっちゃって・・・私一人がもがいてるような気がしてたから・・・。」

長瀬君、大好き!って急に首にしがみ付いたら一瞬驚いた顔を見せたけど、すぐに笑顔になると、 俺も大好き。って抱きしめてくれた。



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