*Love Fight もくもくと盛り上がるボディソープの泡。 私はこれでもか!というくらいに泡立てて体に乗せていく。 きっ綺麗にしとかなくっちゃ・・・だよね?うぅ。緊張するよぉ・・・誰か助けて。 そんな事を考えながら、体をゴシゴシと擦っていく――――あっあいてっ!!ちょっと気合入れすぎ かしら・・・うへっ!擦りすぎて赤くなっちったよ。 赤くなった部分をさすりながら、ふぅ。とため息をつく。 どうしても頭から離れてくれないこれからの事。 私はふるふるっと頭を振り、もう一つ大きな息をついて自分を落ち着かせるとザバッ。とお湯を被って 泡を洗い落とす。 気を取り直して持ってきた洗顔料を泡立てるとマッサージするように顔に撫で付けていく。 やややっぱり痛いのかなぁ・・・痛かったらどうしよう・・・と言うか、ちゃんと出来るのかな。私。 そんな事を考えてると自然と顔を洗っている手に力が入る――――ずぼっ! 「うへっ!!」 洗ってるうちに勢い余って自分の鼻に小指が突っ込む。 どわっ。なっ何で上手いこと鼻にジャストインするかな。もぅ、美菜のバカ!! 私は落胆のため息を付き、顔を洗い流すと湯船に浸かることにした。 あぁ〜。でも、お風呂ってほんっと気持ちいいなぁ。 私は湯船に浸かり、う〜ん。と伸びをする。 はぁ・・・でもこのお風呂から上がったら・・・・・・・・・・・。 ダメだ。考えるのはよそう。眩暈で倒れてしまう・・・。 ――――うぅ・・・やっぱり、自然と考えてしまう・・これからの事。 あのベッドで・・・彼に・・・どわぁぁぁっ!心臓がドクンドクンって言ってきたよぉ。 私は湯船でじっとしてる事に耐え切れずに、ザバッと湯船から立ち上がる。 洗面所で髪を乾かし終えると、たたんで置いてあったTシャツを着る。 「うわぁ。やっぱり長瀬君のTシャツ大きい。どへっ!短パンもぶかぶかだよ。」 長瀬君が貸してくれたTシャツは私の太もも辺りまであるし、短パンは持ってないとずり落ちて きそうになる。 私はウエスト辺りでTシャツの上からズボンを掴みながら、洗面所から出た。 「クスクス。美菜には大きかったね、そのTシャツ。」 「あ、うん。大きい・・・あっお風呂お先でした。」 「やっぱり女の子だね・・・俺の服がぶかぶか。」 「・・・・・え?」 「ううん。何でもないよ。」 ぼそっと言われた言葉が聞き取れなくて、首を傾げてると リビングでテレビを見て待っていた長瀬君は嬉しそうに笑いながら私を見る。 「・・・・・?」 「俺も入ってくるから、先に部屋に行っといて。飲み物は置いておいたから。」 「うん、そうする。ありがとう。」 長瀬君は何が言いたかったんだろう・・・?女の子とか・・・服がぶかぶか・・とか? ま、いっか。 長瀬君が洗面所に行くのを見届けてから、私は先に彼の部屋へと向かう。 ドアを開けると、どど〜ん。と目に映る長瀬君のベッド・・・・・はぁ。 私はベッドを極力見ないように、背もたれにするとジュースを飲みながらテレビをしばらく眺める。 ブラウン管からはニュースやら天気予報が流れてるけど、ちっとも頭に入ってこない。 落ち着かなくてキョロキョロと辺りを見回していると、卒業写真が棚に置いてあるのに気づく。 ・・・・・見てもいいもんでしょうか。 いやぁ、人の家の物を勝手に見るのはよくないよね・・・むぅ・・でも見たい!! 私は好奇心に勝てずに立ち上がると卒業写真を手に取る。 「卒業写真だから・・・いいよね?」 勝手な解釈で納得をすると、ベッドまで持って行き広げて眺める。 「どこだろう、長瀬君・・・う〜んと・・・あっいた!!うわぁ。中学の時の長瀬君、可愛いぃ!!」 「・・・・・誰が可愛いって?」 突然後ろから抱きしめられて、耳元で囁かれる。 「うぎゃぁぁっ!!」 「こらっ。人ん家の物を勝手に見ちゃダメでしょ?」 「わっわわわっ!長瀬君!!ごっごめんなさい。卒業写真だからいいかな・・・と。」 しっ心臓に悪い・・・一瞬口から心臓が飛び出たかと思いましたよ。 私は、波打つ心臓を落ち着かせながら回された腕に手を添える。 「クスクス。嘘々、いいよ別に。面白い?こんな中坊の時の写真なんか見て。」 「うん、面白いと言うより・・私の知らない長瀬君が見れてちょっと嬉しい。」 「そう?あんまり今と変わらない気がするけど・・・。」 「ううん。今よりもちょっと幼い感じがして可愛い。」 そうかな?と呟きながら、長瀬君は私の肩に顎を乗せてくる。 ふわっとシャンプーの香りが漂い、私と同じ香りに少し胸がきゅん。となっちゃう。 そんな気持ちを隠すように私は話を続けた。 「でも、これだけ可愛いから中学でもモテたでしょ?」 「ん〜。どうかなぁ・・・あんまりこの頃女の子に興味なかったしね。」 「そうなんだぁ。私だったら絶対好きになってるなぁ・・・。」 「俺も美菜が同じ中学だったら好きになってたよ?」 「そっそれはないってぇ。だって、ほらっ可愛い子いっぱいいるもん。」 真っ赤になって写真をあちこち指差す私の手を掴むと、そのままベッドに組み敷かれる。 「ひゃっ!!」 「俺は美菜がいいの。美菜しか考えられないから・・・・・」 長瀬君と同じシャンプーの香りがする私の髪を撫でながら、そう囁き顔を近づけてくる。 「な・・がせ・・く・・ん」 ゆっくりと重なる唇――――「ごめんね、美菜。もう止められないから。」 そう囁く長瀬君の目を見ながら、私はこくん、と頷く。 再び重なる唇――――覚悟を決めた日・・・・・私が変わる日。 ――――もう止まらない。 |