*Love Fight 私は夕飯の材料をスーパーで買ってから長瀬君の家に向かう。 いつもドジな私だけど、料理だけは上手に作れるんだよ? え〜っ作れるの?!って今思ったでしょ・・・ふんだっ。どうせね、私のやる事だからフライパンとか 焦がしちゃうんじゃないかって思ってるんでしょ?こう見えても私の作る料理はおいしいんだから!! 特にハンバーグ!!これはちょっと自信があるんだぁ。だからね、今日は長瀬君にハンバーグを作って あげるんだよ。えへへっ。喜んでもらえるといいなぁ。 私が作る料理を彼が食べてくれる・・・そう考えるだけで顔から笑みが漏れちゃう。 心が躍る私だったけど、やっぱり長瀬君の家の前に立つと急に心臓が逸りだす。 私には珍しく迷わず着けたのは着けたけれど・・・・・うぅ。玄関のチャイムを押す手が震える。 だぁぁぁ。やややっぱり緊張してきたぁ!! チャイムを押そうと人差し指を差し出してはみるんだけど・・・・・押せないぃ。 「落ち着けぇ。美菜。」 そう言葉に出して勇気を出してみようとするけれど、やっぱり踏ん切りがつかない。 玄関の周りをうろうろ歩いてみたり、立ってみたり座ってみたり――――変質者か、私は。 再び玄関の前に立ち、チャイムと睨めっこをしてみる。 うぅ・・・勇気を出すんだ、美菜!! ――――ティ〜ラ〜リ〜ラ〜リラ〜リラ〜♪ まさに意を決してチャイムを押そうとしたその時、私の携帯が突然鳴り出す。 「わっ!・・・あっ・・あわわっ!!・・・もっもしもし?」 慌ててカバンから携帯を取り出し、震える手で危うく落としそうになりながら携帯を 何とか耳に当てる。 『もしもし、美菜?・・・今どの辺?』 「なっ長瀬君!?あのっ・・・その。」 『もしかして道に迷ってる?どこにいるの?迎えに行くから。』 「やっ・・その・・・・・今、長瀬君家の前・・・です。」 『へ?着いてたの?・・・何でチャイム鳴らさないの。』 「いやぁ・・・そのですねぇ・・・。」 口ごもってるとガチャッと玄関が開き、長瀬君が携帯を耳に当てたまま顔を出す。 私の顔を確認すると、安堵のようなため息を付いて携帯を切る。 「美菜ぁ。遅いから心配したでしょ?」 「うぅ。ごめんなさい・・・中々チャイム鳴らせなくって・・・。」 「チャイム鳴らせないって・・・・いつからここにいたの?」 「ん〜と・・・6時ぐらい?」 「はぁ。20分も家の前で何してたんだよ。ほらっ、早く入って。」 長瀬君はため息を付くと、私を家の中へと招き入れた。 玄関に入ると、ふわっ。と長瀬君の家の匂いが私を包む。 わぁ。長瀬君家、綺麗だなぁ。散らかってるうちとは大違い。 私は自分の家を思い出しながら、綺麗に掃除されている彼の家の中を見渡す。 長瀬君が先に上がって私から荷物を受け取ると、ほら上がって。と微笑んだ。 「おっお邪魔します!!」 思った以上に大きな声に自分でもびっくりする。 おわっ!体育会系じゃないんだから・・・私ってばそんな大きな声にならなくても。 そんな私にクスクス。とおかしそうに声を立てて笑いながら、どうぞ。と言うと奥に進んでいく。 はぁ・・・ダメだ。緊張し過ぎてどうしたらいいかわかんないよぉ。 通されたリビングのソファに座ったんだけど・・・何か落ち着かない。 さっきから心臓の鼓動が大きく鳴ってて、身体全体が心臓になちゃった気分。 あぁ・・・頼むから私の心臓、落ち着いてぇ!! 「美菜、何かジュース飲む?」 「へっ!!・・・わっ・・なな何でもいいです。」 長瀬君はクスクス笑いながら冷蔵庫から冷えたジュースを取り出し、コップに移し変えると私の座る ソファへとやってきて隣に腰を下ろす。 途端に一際高鳴る心臓――――うあぁ・・・ダメだぁ。絶対心臓発作で死ぬ。 真っ赤になって俯く私を見て、美菜?と長瀬君は呟いてから私を抱き寄せると片足を私の後ろに移動 させる。 丁度私の体が長瀬君の膝の間に座る形になった。 長瀬君が私の体に腕をまわし肩に顔を乗せると、ふわっと私の好きな彼の香りが鼻を霞める。 「クス。緊張してるの?」 「・・・・えっ・・・あ、うん。」 「どうして?」 「どうしてって・・・その・・・ひゃっ!!」 口ごもって言葉の出ない私を強く抱きしめると、ちゅっ。と頬にキスをされちゃった。 緊張しなくてもいいのに。ってもう一度笑うと、彼は私の顎に手を当てて自分の方へ向かせる とそのまま唇を塞いでくる。 ついばむようなキスを繰り返されて、徐々に私の体から力が抜けていく。 「今日は・・・晩御飯何作ってくれるの?」 「・・・ハンバーグ・・・ん。」 「美菜の・・手作り?」 「ん・・・おいしいよ?」 会話の間にも繰り返されるキスに頭の中が、ぼぅっとしてくる。 「・・・・・美菜一人で大丈夫?」 「あっ!ひど〜い。長瀬君たら、私がドジって失敗するとか思ってるんでしょ・・・。」 「クスクス。そんな事ないけど?」 「むぅ。おいしいんだからぁ!!」 「うん。すっごい楽しみ・・・一緒に作ろっか。」 「うっ・・・・・うん・・っぁ。」 最後に深いキスをされて、唇を離すと、緊張は解けた?って長瀬君が微笑む。 ずるい・・・お陰で緊張は解けましたが。 私は真っ赤になって俯くと、返事の変わりにこくん。と頷いた。 |