*Love Fight






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「絶対黒がいいって!」

「えぇぇぇ!!黒ぉ?・・・むっ無理だよぉ。黒なんてぇ。」

「ん〜。じゃあ赤は?」

「もっと無理ぃ!!!」

「やっぱ豹柄よね!」

「・・・・・・・・。」

買い物客で賑わう百貨店。そこの4階にある下着売り場に恵子と来てるの。

あのですね・・・本日はビックニュースがあるのですよ。

実を言うと・・・その、あの・・・きゃぁぁっ。ややっぱり恥ずかしくて言えないよぉ!!!

あっ・・いや。コホンッ。

本日、わたくし戸田 美菜は長瀬君のお家に泊まりに行く事になっちゃったんです!!

なんかね、ご両親が旅行に出かけてていないのとお兄さんはもう自立して家にいないから 今日は長瀬君の家は彼一人なんだそうなの。

夏休みも終盤だから、泊まりに来ない?って長瀬君から誘われちゃったんです。

連絡をもらった時、すっごくびっくりしちゃって暫く声が出なかった。だってだってお泊りって 事は・・・その・・・覚悟しなきゃって事でしょ?そりゃ、あの海に行った時に覚悟はしたつもり なんだけど、やっぱり現実になると腰が引けちゃうと言うか・・・。

でもね、それじゃいけないって思って、行きます。って返事したの。えらいぞ、美菜!!

長瀬君は夕方までバイトに行ってるから、帰ってくるまで恵子と一緒にあれこれと買い物をしに この百貨店まで来たんだ。

で、今は今晩に向けての『勝負下着』とか言う物を買いに来た訳なのです。どえぇぇぇぇ。

だけど、恵子ったらさっきからすっごい下着ばっかり選ぶんだもん。黒とか赤とか・・・おまけに 豹柄ですか!!

こんなの履こうもんなら私がぶっ倒れてしまいそう・・・・。

「もぅっ美菜は我儘なんだからぁ。勝負下着よ?セクシーに行かないでどうすんの。」

「我儘って・・そっそんなぁ。無理だよぉ私には。こんなの履いたら倒れちゃうよ。」

「クスクス。絶対長瀬は喜ぶと思うんだけどなぁ・・・あっ!じゃあレースは?」

・・・・・・・・恵子、それっておもしろがってんでしょ。

ニヤニヤ笑いながらスケスケの下着を引っ張り出してくる恵子を横目で睨みながら、私は淡い ピンク色をしたレースとリボンのついた下着を手に取る。

「・・・これ、かわいい。」

ポツリと呟くと、美菜らしくていいんじゃない?と恵子が微笑みながらセットになったブラを 差し出してくる。

うん、これにしよう。――――私はブラと下着を握り締めてレジに向かった。



***** ***** ***** ***** *****




私達は買い物を終えると、百貨店の中にある小さなCafeに入ってお茶をすることにした。

長瀬君の家に行くまでにはまだもう少し時間がある。

あぁぁ。でも言ってる間に時間が来ちゃうんだろうな・・・なっ何か緊張してきたぁ。

「クスクス。美菜ってば、もう今から緊張してるの?」

恵子が紅茶とケーキのセットを注文し終えてからおかしそうに笑う。

「だ、だってぇ・・・もうすぐ時間が来ちゃうんだもん。緊張するよぉ。」

「そんな長瀬の家に行ってすぐに襲われる訳じゃないんだからさ。今から緊張なんてしてたら夜まで 体が持たないわよ?」

「うわっ!襲われるだなんて!!・・・そりゃ今から緊張しても、だけど・・。」

私は頬を染めながら一旦恵子から視線を外し、再び彼女を見ると、ねぇ恵子。と続ける。

「あの・・・初めての時って・・・その・・・痛かったりする・・のかなぁ?」

「え〜。初めてのエッチ?そりゃもう!私は無茶苦茶痛かったわよぉ。死ぬかと思った。」

「うげっ。やややっぱり痛いんだぁ。」

「クスクス。どうするぅ、美菜。すっごく痛かったら。」

「うぅ・・・・・痛いのは、やだぁ。」

「クス。でもそれって人それぞれみたいよ?私みたいに無茶苦茶痛い子もいれば全然痛くない子も いるんだって。美菜は痛くない子だったらいいのにねぇ。」

意地悪く笑いながら注文をしたケーキセットが届くとそれをおいしそうに口に運ぶ。

うわぁ・・・やっぱり痛いんだぁ。どうしよう、私もすっごく痛かったら・・・・・。

でもでも長瀬君と一つになれる訳で・・・それには痛いのを我慢しなくちゃな訳で・・・・・。

けど、『すごく痛い』と聞かされれば、必然と気持ちが揺らぐ訳で。

だぁぁぁっ!どうしよう!!すっごく不安になってきたぁ!!!

「なによぉ、美菜。さっきまで緊張してたかと思えば今は暗い顔しちゃってぇ。」

「だってぇ・・・恵子がそんな怖い事言うからぁ。」

「美菜が『痛い?』って聞くから私は『超痛かった』って言っただけじゃない。美菜は違うかもしれない でしょ?ま、それは長瀬のテクにも関係あるわね。」

「なっ長瀬君が関係してくるの?」

「そりゃ少しは関係あるわよ。美菜をどれだけ濡らせられるかってね。後は美菜の身体次第ね。」

ぬ・・・濡らせ・・・あかん、鼻血出てきそう・・・って何で関西弁なの、私。

ダメだ。頭の中が真っ白になってきた。

さっきからケーキを口に運んでるけど、全然味がしない。私はフォークをお皿に置くと紅茶に口を つける。

「あっあぢっ!!」

「クスクス。ま、頑張りなさいよ美菜。今日で美菜も大人の女の仲間入りかぁ。今日のアリバイ工作 はバッチリやっといてあげたから、安心してね。」

そう、今回2回目の嘘をお母さんに付いちゃったんです。もちろん・・・恵子が話をしてくれた んだけど。なんでそんなに上手く嘘を付けちゃうんでしょう。

私は今日恵子の家に泊まる事になってるの・・・あぁ。親不孝な娘でごめんなさい。

そうこうしてる間に長瀬君の家に行く時間になっちゃった。

はぁぁぁぁぁ。――――私の口から漏れる大きなため息。

どうしよう、遂に時間が来ちゃったよぉ。



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