*Love Fight






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「な〜に、また2人でレズってんだよっ!!」

ふと、そんな声が背後から届く。

「お帰り〜。2人共早かったわねぇ。さっすが男。時間がかからなくっていいわよね。」

恵子が振り向くと同時に私も振り返ると、水着に着替え終わった2人が立っていた。

2人共サーフショーツに色付きのサングラスをかけていて、すごく大人っぽい。

どわぁぁぁっ!!わっ忘れてた・・・水着と言えば男の子は上半身裸なんだよね?

当然、長瀬君も柊君も上半身は何も着てない訳で・・・目のやり場に困る訳で・・・何で私が?

に、しても2人共何て綺麗な体をしてるの。目を逸らす前に見入っちゃった。

なんか・・・何か、筋肉の付き方とか男の体って感じで・・・うわっ。何考えてるのよ、私ったら。

思わず顔が赤くなっちゃって、俯いちゃった。

「ヒュ〜ッ。何か2人共大人の女って感じじゃん。いいねぇ、水着ってのはよ。」

「もう、直人ってば何おっさん臭い事を言ってるのよ!!このっエロオヤジ!!!」

「男ってのはそういう生き物だっつうの。なぁ、修吾。お前も美菜ちゃんの水着姿見て鼻の下伸びて んじゃねぇの。」

「うっせぇよ、直人。」

普段なら、俺は直人と違って紳士なんだよ。とか何とか言うのに 長瀬君にしては珍しく否定もせず、柊君に悪態をつきながら私の隣りに腰を下ろすとそっと私の顔を 覗き込む。

オレンジ色をしたレンズの中から私を見る長瀬君の瞳は、覗き込むというより見つめられている と言った感じで――――わわっ。なな何でしょう?そんなに見つめられると、困りますが・・・。

私は思わず視線を泳がせてしまった。だってだって恥ずかしすぎる・・・そんなに見られると。

なっ何か変かな。あっ!デブじゃんとか思ってる?はぁ、やっぱりダイエットしとけばよかった。

『色っぽ過ぎ・・・。』

突然そんな囁き声が耳に届く。

「・・・・はへ?」

あれこれと考えていた私は素っ頓狂な声を上げてしまった。

はい?今、何とおっしゃいました??色っぽい・・・私が・・ですか?

「たまんない。今すぐにでもキスして襲いたい気分。」

「なっ長瀬君・・・・・。」

途端に私の顔が赤く染め上がる。そっそんな事、真顔で言わないでよぉ。どんな顔をすればいいの? しかも、そんな事普段言わない癖にぃ。キスして・・・襲いたいだなんて・・・めっ眩暈が。



***** ***** ***** ***** *****




一通り、浮き輪やらビーチボールなど空気を入れていつでも泳ぎに行ける準備が済む。

と、そこで柊君が決めの一言。

「おっしゃぁ!とりあえず、昼飯までひと眠りすっかぁ。」

コケッ――――寝るんですか・・・。柊君の言葉に思わずずっこけそうになる。

そりゃ、今日は朝早かったからそれでもいいけれど・・・ううん、むしろ私はその方が有難かったり するのだけれど。

「なによぉ、直人。まずは泳ぎに行くんじゃないの?」

「いんや。俺超早起きだったから眠ぃの。時間はたっぷりあんだから、とりあえず寝ようぜ。それに 体焼きてぇし。」

今でさえ遊び人ちっくに焼けてるのに、まだ焼くの?すごいね、柊君。そんな言葉を飲み込んで 私はカバンから日焼け止めを取り出すと、体に塗り始める。

私って肌が白いからか、焼けないの。真っ赤になっちゃってヒリヒリ痛いだけ。だからなるべく 焼かないように心がけているんだ。だってお風呂入る時とか痛いんだもん。私の座ってる場所はパラソル の影の部分だから多分大丈夫だろうけど、用心の為に。

掌にあった日焼け止めを 体に塗りこむと、再びケースから新しい液を掌に押し出す。

ブチュッ。・・・・・・げっ。出しすぎた。

予想以上に出てきた日焼け止めを持て余しながら、ふと私の中に悪戯心が芽生える。

むふふっ。そんなに残ってないから、これくらいなら大丈夫だよね?

徐に掌を横でうつ伏せになって寝転んでいる彼の背中に、ぷちゅっと押し当てる。

「おわっ!こらっ美菜。今何やった?」

慌てて起き上がる長瀬君を、ん?と言いながら首を傾げニコッと笑い見る。

「掌見せてみ・・・日焼け止め塗ったな。せっかく綺麗に焼こうと思ってるのにムラになるだろ?」

「クスクスっ。そんなに残ってないから大丈夫だよぉ。それに油断してる長瀬君が悪いもん。」

「ほぉ。そういう事を言う?」

長瀬君の目が細くなり、口元が少し上がる。・・・・・マズッたかな。そんな言葉が脳裏を過る。

いや、でもここは外。いくら何でも外で『お仕置きのキス』は無いでしょう。そう安堵のため息を 漏らすのも束の間、長瀬君は私の体を引き寄せるとそのままわき腹をくすぐってきた。

「きゃはははははっ!!ごっごめん・・・うひゃひゃっ・・なさい。あはははっ。ダメっ・・・ しっ死ぬっ・・あははっ。ももっもうしませんっ!!」

「俺に減らず口を叩いたのは誰かな?」

こんなの卑怯だぁ!!だっ誰か止めてぇぇっ。このままだと笑い死にます!!

私の体は長瀬君と共に倒れこみ、足をバタつかせてもがき苦しむ。

マジ・・・死ぬぅっ!!

「もうっ。イチャつくなら他所でやってよねぇ。熱いったらありゃしないっ。」

恵子は笑いながら、バサッと私達に向かって大きなバスタオルを放り被せる。

途端に周りの視界が遮られ、私の笑い声がこもる。

長瀬君は、お仕置き。と耳元で囁くと、ぜぇぜぇ肩で息をする私の顎に手を置き自分の方に向かせると そのまま唇を塞いできた。

「・・・・・っ!!」

荒く息を付いていたせいで、私の口が僅かに開いててそこから彼の舌が中に入ってくる。

わっわわっ!待って待って・・・こんな所でそんなっ。こっ心の準備ってもんがぁぁ。

口内を動きまわる彼の舌に翻弄され、私の頭の中が徐々に真っ白になっていく。

「・・・・・んっぁ。」

「・・・そんな色っぽい声出したら止まらなくなるだろ?」

私の口から漏れた声に、長瀬君は唇を離すとそう呟く。

な・・何ですか。今の声は・・・私の声??自分でもびっくりだ、あんな声が出ちゃうなんて。

「な・・・長瀬君が急にそんな事・・・するから・・・。」

「言っただろ?キスしたくてたまんないって。ほんとならここで押し倒して襲いたい。」

「えっ!やっ・・・えぇ!?」

長瀬君の言葉に動揺を隠せない私を見て、クスっと笑うと、もうそろそろ限界かも。と呟き、うなじに キスをしてからバスタオルの外へ顔を出す。

私も真っ赤になりながら顔を出すと、ニヤニヤと笑う二つの顔と目が合う。

・・・・・・・・嫌な予感。

「なぁに、エッチな事してんのかなぁ?お姉さんに教えなさい。」

「お兄さんも聞きたいなぁ。何で美菜ちゃんは真っ赤な顔をしてるのかなぁ?」

うわっ、来た。

「なっ何もしてませんっ!!!」

私はそう叫ぶと、再びバスタオルを頭から被る。

いやぁぁぁっ。もうっ恥ずかしい。



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