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*Ｌｏｖｅ Ｆｉｇｈｔ 恵子と柊君が帰ってきたのは、あれからだいぶ経って待ち合わせの時間に間に合うギリギリの時間だった。 ほんと、どこほっつき歩いてたんだぁ！！ あれからの時間が妙に長くて息苦しくて・・・こんなんじゃ体がもたないよぉ。 だってだって、長瀬君たら後ろから抱きしめたまま私に勉強させるんだよ？ それに間違ったり時間がかかっちゃったら、『お仕置き』とかって言って耳にキスしたり、ホッペにキスしたり。 お仕置きじゃないでしょぉ、それって！ そんな事されたらやれるものもできないっつうの！！いや・・・もともとできてませんがね。 ２人が戻って来た時なんて最大限真っ赤になっちゃってて例により２人から、何やってたのかなぁ？って 詰め寄られるし長瀬君はそ知らぬ顔になってるし・・・なんでなんで私ばっかり？？ うぅ・・・もぉ嫌だぁ。 「ほら美菜。用意して行くわよぉ。今日はちょっとぐらい遅くなってもいいんでしょ？」 「え？あ、うん。恵子の家に遊びに行くって言ってあるから。」 「ＯＫ！あ〜でもうちに泊まって帰るって言った方がいいかもね。今日はオールかもしれないし。」 「へっ！？泊まる？・・・オール？？」 「もう、美菜はほんとに何にも知らないんだからぁ。オールってオールナイトの事でしょ？夜通し遊ぶって 事。そうなるかもしれないから今のうちに泊まるって電話しちゃいなさいよ。」 そう恵子に捲くし立てられて、私は家に電話することになっちゃいました。 ひえぇっ。これって嘘付くって事だよ？いいのかなぁ。ちょっと気が咎める。 だって今まで一度だってお母さんにこんな嘘を付いたことないのに・・・。 どうしよう・・・ドキドキしてきちゃったよぉ。 私は震える手で携帯を出すと家のメモリを出して『通話』ボタンを押した。 トゥルルル・・・ガチャッ。 『はい、もしもし戸田ですけど。』 うげっ！ワンコールで出ちゃったよ。うにゃぁ、まだ心の準備が出来てなかったのにぃ。 「あっあっの・・・おおお母さん？」 『・・・・・なによ、美菜？変な声だしちゃって。』 緊張しすぎちゃって、声が裏返ってるよぉ。 うろたえる私から、もうっ。と呟いて携帯を奪うと恵子が饒舌に話しかける。 「あ、もしもしおばちゃん？どうも、恵子ですぅ。お久しぶりで。あ、はい。それでね、今日なんですけど 両親が旅行に行っちゃったじゃないですか。それで夜が寂しくってぇ、丁度美菜が遊びに来てくれてるから そのまま泊まっていってもらってもいいですか？え、うん。大丈夫ですよぉ。あっは〜い。じゃあそういう 事で。うん、また今度そちらにも遊びに行きま〜す。は〜い、じゃあ失礼しまぁす。」 ピッといって携帯を切ると、ＯＫでましたぁ。と私に向かってウィンクをする。 恵子・・・凄すぎ。私には出来ない芸当です。 私も身につけたほうがいいでしょうか？ 私達４人がお店に着いた時には、もう岡本君達は集まっていて他の人達と共に座っている。 少し薄暗いけどすっごくいい雰囲気のお店でなんかこう・・・大人の人が来るお店って感じ。 なんか・・・私だけ浮いてないかな？ お店に入ると、おぉ待ってたぞぉ。って言って奥の方で岡本君がこちらに手を振る。 来る途中で聞いたんだけど、このお店は岡本君の知り合いがやってるお店だからよく来るんだって。 お店の真ん中にはビリヤード台とかが置いてあってこういうのプールバーって言うらしい。 はぁ、みんな大人なんだねぇ。高校生がこんな所に来てもいいものなの？ 長瀬君について奥のほうへ足を進めると、そこには大きなテーブルを囲んで、座り心地の良さそうなソファーが置いてあって 丁度個室みたいな感じになっている。そこに座る顔ぶれは、うちのクラスの子もいれば違うクラスの子もいる。 「げっ。なんだぁ祥子とかもいるじゃん。私あの子達嫌いなんだよねぇ。」 恵子がコッソリと私に耳打ちをする。そこに目線を向けると、奥の方に固まって女の人が３人座っている。 うわっ。綺麗な女の人達・・・あれって隣りのクラスの人達だよね？こういう場所で見るとみんな大人だぁ。 あ、化粧とかもしてるのかな？でもちょっと怖そうで私も苦手だなぁ。 「あっ修吾君。遅いじゃな〜い。待ってたのよぉ・・・で、誰？その子。」 し・・修吾君？ 綺麗な女の人３人組の中の一人が長瀬君に向かってにっこり手を振り、反対に明らかに嫌そうな顔を私に向ける。 どわぁぁ・・・何か嫌な予感がするぅ。 「何、祥子知らねぇの？この子修吾の彼女の美菜ちゃんじゃん。な、美菜ちゃん。」 岡本君が座るように促しながら、私に向かってにっこりと笑う。 「あっうん。は、初めまして。戸田美菜です。」 「えぇっ！！嘘ぉ、この子が？・・・信じられなぁい。」 おぅ・・・結構ストレートに言ってくださいますね。 確かに私自身も信じられないんですよ、長瀬君の彼女になれた事が。 「ほんと、コイツ俺の大事な彼女だから。」 その言葉にみんなから、ヒューッと囃し立てられて私の顔は真っ赤になっちゃった。 祥子さんは面白くなさそうな顔。 ちらっと長瀬君を見上げると、いつも学校でしてる無表情に近い顔つきに戻っている。 まるでジキルとハイド・・・・・ま、そこまで大げさなものではないけれど。 どうしたらそうコロっと態度も言葉遣いも変えられちゃうんでしょうかね。 ２人の時は『お前』とか『コイツ』とかって呼ばれた事ないんだよ？ほんと別人みたい。 「あぁあ、修吾に美菜ちゃん取られちまったよ。俺も狙ってるうちの一人だったんだけどなぁ。」 「岡本、悪いね。もう俺のモノだから。絶対手ぇ出すんじゃねぇよ。」 「へぇへぇ。って事はなに。もうやっちゃった？」 ぶーーーーーっ！！何でそんな話に行くんでしょう？ 私は長瀬君の横に座ろうとした所で躓きそうになる。 「バーカ。俺はお前らみたいに野獣じゃねぇんだよ。コイツは大切な子なの。下世話な話してんじゃねぇよ。」 「だよなぁ。美菜ちゃんはそういうタイプの子じゃねぇもんな。」 そういうタイプ・・・どういうタイプ？ 「なぁんだ、まだなんだ。クスッ。よかったぁ。」 祥子さんは友達とクスクスっと笑いながら私を見る。 ・・・・・なな何ですか、その意味ありげな言葉は。 なぁ、とりあえず何か飲もうぜ。と恵子の横で柊君がメニューを広げながら呟く。 とりあえず、と言うことなので適当に飲み物を注文され、来たやつを適当に取る事になった。 みなさんアバウトなのねぇ。 一気に運ばれてきた色とりどりの飲み物。 うわぁ、何か見たことないような色ばっかだ。これってジュース？ 私は恵子から、はいっ。と渡された物を受け取る・・・オレンジジュースかなぁ？これって。 |