*Love Fight






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―――― いつかはって思ってるから、美菜も覚悟しといてね。

はぁ・・・さっきからこの言葉が頭から離れないよぉ。

キスから先の事を考えるだけで、頭がクラっとなって意識が飛んでしまいそうになる。

私はプルプルっと頭を振って雑念を取り除くと、またノートに視線を落とす。

・・・・・キスより先

だぁぁぁっ!全然取り除けてないじゃないっ!!もう、私ったら何を考えてるのよ。

きっと真っ赤なんだろうな、顔。

だってすごく頬っぺた熱いしオマケにいつもの様に長瀬君が私を見てクスクス笑ってるもん・・・。

長瀬君が悪いんだよ?急に変な事言い出すから。

でもでも、これって変な事なのかな?その・・・長瀬君と一つになれるって事だよね?

それって大人になるって事?

私は家から持ってきてたチョコレートのお菓子をツマんだ。

だってそうでもしなきゃ勉強は手に付かないし長瀬君の視線は気になるし・・・落ち着かない。

長瀬君も相変わらずクスクス笑いながら私の前を通って手を伸ばすとお菓子に手をつける。

私の目の前を彼のたくましい腕が横切り、そして戻っていく。

この腕が?この手が?私に・・・・・。

はぁん、もう思考回路ショート寸前です。

私は無意識のうちに何個も何個もお菓子を口に運んでいた。

「・・・鼻血。」

突然長瀬君が呟く。

「へ?・・・はっはなぢ?」

「出てる。」

「はい?・・・へ?・・・私っ!?」

私は慌てて指で鼻の下を拭ってみる・・・どわぁぁぁぁっ!血!!へっ・・・何で?

いやぁぁぁん、最悪だぁっ。

私は慌てて上を向くと、近くにあったティッシュを鼻にあてる。

「あぁ、もう美菜ダメだって。それじゃ、血が逆流して気持ち悪くなっちゃうよ?」

「ふがっ!!」

長瀬君はティッシュを箱から引き抜きくるくるっと先端を丸めると、私の鼻に突っ込みきゅっと抱き寄せて顔を 俯かせる。

「こうしてたら止まるから。」

「うぅっ。はっはじゅかじい・・・。」

「クスっ。美菜ってばエッチな事考えてた?」

「やっ違っ!!そそそんな事っ・・・」

思っきり考えてました・・・。うぅ、だからって鼻血が出るのかい?

今まで頭に血が上って出そうになることはあっても出た事はないわよ。

何で今なの?しかも長瀬君と2人きりの場面だよ!!

まったく私のタイミングの悪さには恐れ入ります・・・あぁ、自己嫌悪。

「美菜にはしばらくそのままでいてもらいたいから、先の事はまだ考えなくていいよ? 俺が変な事言ったせいかな。」

「その・・・これは・・・きっと、チョコレートのせいで・・・。」

「クスっ。そう?じゃあそういう事にしといてあげる。」

長瀬君はそう言って私の髪を優しく撫でてくれた。

このまま・・・まだ考えなくてもいいの?でも、いつかはそういう時がって私も思ってるよ?

そう言いたかったけど、ティッシュを鼻に詰めている格好ではさすがに言えるわけないじゃない。

はぁ・・・何と情けない姿。私ってば長瀬君の前でみっともない姿ばかりさらしてない?

何ですか?長瀬君だけじゃないって?・・・・・うぅ、分かってるわよ。

でもでも私にとって長瀬君は特別なんだもん!!人が1なら長瀬君は5倍恥ずかしい。

もう、どうしたらいいのよぉ。

何も考えつかない私は、とりあえず大人しく長瀬君の腕の中で目を閉じる事にした。

――――大好きな彼の香りに抱かれながら。



***** ***** ***** ***** *****




ティ〜ラ〜リ〜ラ〜リラ〜リラ〜♪

突然鳴り響く携帯の呼び出し音。

「じょわっ!!」

長瀬君の腕の中で意識が遠くなりかけてた私は、とてつもなく変な声をだして飛び上がる。

おぅっ寝かけてたよ。危ない危ない・・・って私の携帯だよね?

私は高鳴る鼓動を抑えつつ、携帯を手に取り通話ボタンを押す。

横ではやっぱりおかしそうに笑ってる長瀬君の姿。

いつまでお笑いになるつもりですか・・・・・もうだいぶ慣れましたけどね。

「もしも〜し?」

そう話しながら未だに鼻にティッシュが詰め込まれてるのを思い出し、長瀬君に見えないように引っこ抜く。

よかった、もう止まってるみたい。

新たにティッシュを取って被せると、くちゃくちゃっと小さく丸めてゴミ箱に捨てた。

『あ、もしもし美菜?あのね、さっき直人の携帯に電話あったんだけどさ、うちのクラスの岡本とかが 今日の夜集まってどんちゃん騒ぎしようって言ってるのよ。でね、長瀬も呼ばれてるんだけどいっその 事私達も乱入しない?あ、とりあえず長瀬にかわってくれる?』

「へ?岡本君とかが?・・・うぇっ乱入って・・・え〜っと、ちょっと待ってね。」

今、恵子から言われた事を伝えて横にいる長瀬君とかわった。

岡本君は同じクラスで、長瀬君と柊君と仲がいいみたい。学校とかでもよく話してるし。

今日の夜、集まるらしいけど・・・恵子の言うように私も乱入しちゃっていいのかな?

だって男の子ばっかりだろうし、苦手なんだよぉ。そういう場所って。

恵子は柊君と一緒にそういう集まりによく行くみたいなんだけど、私は長瀬君と付き合いだして からまだ間が無いからそういった集まりに行った事はない。しかも大勢の男の子を前にすると、 頭の中が真っ白になっちゃって何話していいかわかんないし・・・・・私が行ってもなぁ。

最近ようやく長瀬君と普通に話せるようになったばかりだよ?

「――――ああ、わかった。じゃあな。」

長瀬君は携帯を切ると、はいっ。と私に返すと、美菜も行こう?と微笑む。

「あぁ・・・うん。でも、私なんかが行ってもいい・・・のかな?」

「ん?どうして?」

「だって、私行っても何も話せないし長瀬君に迷惑がかかっちゃうもん。」

「そんな事ないよ。あいつらに俺の彼女って改めて紹介したいからさ。一緒に行こう?」

「長瀬君・・・。」

私の頬が途端に赤くなる。

うわぁっ。『俺の彼女』だって・・・なんか、すごくいい響き。

うふふっ。何か長瀬君の彼女になったんだってまた実感が出てきちゃった・・・むふふっ。

はっ!!いかんいかん、また変な事考えると鼻血が・・・・・。

そんな事を考えている私を長瀬君が後ろから抱きしめる。

「ひゃっ!!」

「クスッ。照れちゃった?でも、ほんと自慢したいからさ。美菜の事。」

「やっ、そんな自慢だなんて。逆に笑われちゃうよぉ。こんなドジと付き合ってるだなんて。」

「もう、合宿の時にも言ったよね?美菜は結構人気があるって。今日集まる連中の中にもいるんだよ、美菜狙いの ヤツが。だからちゃんとわからせないとね、俺のモノって。それともどうしても行くの嫌?」

「あ〜うぅ〜。長瀬君が横にいてくれるなら・・・。」

俯いて呟くと、よかった。と言って長瀬君はちゅっと頬にキスをするともう一度私を強く抱き寄せる。

ひえぇぇ。さっきから、『俺の彼女』とか『俺のモノ』とかいう言葉にも眩暈がしそうなのに・・・・・ その上抱きしめられて頬にちゅぅなんてされたら・・・

ちょっとそこのあなた、ティッシュ取ってくれませんか。

「あっあの。恵子達はまだ帰って来ないのかな?」

「あぁ。ちょっと買い物してから帰るってさ。約束の時間までには間に合うようにするって。」

「そ・・・なんだ。」

お2人さん、呑気に買い物ですか。いいですね。勉強はヤメですか?

もう、私はこの状況にパニック寸前だって言うのに・・・。

あぁ。早く帰ってきてよぉ!!


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