*Secret Face






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始業式が終り、SHRも終わってみんながぞろぞろと帰りだした頃、朝の2人が俺の席へと駆け寄ってくる。

・・・・・何か嫌な予感がする。

「ねぇねぇ、藤原く〜ん。これから一緒にカラオケでも行かない?」

「行かねぇ。」

出たっ・・・・・ったく。どうしてこういうタイプの女ってこうもシツコイのかね。

俺が素気無く答えても怯む様子も無く、尚も食いついてくる。

「じゃぁさじゃぁさ、ボーリングは?」

「しねぇ。」

「ん〜じゃぁ、喫茶店でお茶は?」

「しねぇっつってんだろ。」

「んもぅ、何だったらいいの?」

何でも嫌なんだよっ。さっさと2人で手でも繋いで帰れっつうの。

2人に視線を合わせる事無く立ち上がり、俺は姫子の姿を探す。

「藤原君、今フリーなんでしょぉ?」

「フリーだろうがフリーじゃなかろうが、お前らに関係ねぇだろ。」

「いいじゃなぃ〜。ちょっとぐらい付き合ってくれても。」

「鬱陶しいから失せろよ。」

「やっ、ひっどぉ〜い。あ、もしかして欲求不満とか?それで機嫌が悪いんだっ!だったら私達2人が相手になるよ♪」

・・・・・バカ女。

その言葉に大きくため息を漏らして、バカじゃねぇの?と冷やかな視線を2人に送る。

「3Pだよ?3P!!滅多に体験出来る事じゃないと思うけどぉ?」

「ほんっと、バカじゃねぇのお前ら。そんなにヤりたきゃ逆ナンでもして男引っ掛ければ?俺はごめんだね。お前ら相手じゃ勃つものも勃たねぇっつうの。」

何でこんな会話をこんなとこでしなくちゃなんねぇんだ。と思いながら、昔の俺なら二つ返事で乗っかってただろうな、なんて事も脳裏を過る。

マジ、バカだったよな俺って。

俺は視線を泳がせた先に姫子の姿を見つけて、すかさず携帯を取り出し、目の前の2人を睨む。

「あのさ、鬱陶しいから散って。」

「や〜ん。まだ話は終わってないもん。」

「散れ。」

俺の低く冷め切った声に、2人はビクッ。と体を震わせて、そそくさと教室を出て行った。

はぁ・・・ったく。3Pなんて冗談じゃねぇっつぅの。あいつらとなんて・・・うわっ。考えただけで鳥肌が立ってきた。

少し、プルプルっと体を震わせてから、携帯の短縮ボタンの一番最初に入ってる名前を呼び出し、通話ボタンを押す。

と、視線の先で姫子が慌てた様子でカバンから携帯を取り出し、耳に当てて小さく屈むのが見える。

『もっもしもし?』

「あぁ、俺。今日、バイト?」

『ちょっと、堂々と携帯に電話してきてどうするのよっ!もぅ・・・今日?今日はお休みだよ。』

「オッケー。じゃぁ、いつもんとこで。俺、先に行ってっから。」

『ん、分かった。』

ピッ。と携帯を切って、こちらに視線を送ってくる姫子に視線を合わせてから、俺は一人教室を出る。



――――・・いつもんとこ。

学校から少し離れた場所にある公園。

最近俺らは一緒に帰る時はここで待ち合わせをする事にしている。

駅から離れているのと学生があまり通らない道だから目立たずに済む。

そこのベンチに座り姫子を待っていると、程なくして姫子が小走りにやってきた。

「んもぅ、新一。びっくりするじゃない。突然携帯に電話してくるんだもん。」

「あははっ。いいじゃん、結構スリルがあって?」

「アホ。心臓に悪い。」

姫子は俺の肩を軽く叩いてから、隣りに腰を下ろす。

「っつぅか、また一緒のクラスでほんとよかったよな。ま、麻田が一緒だっつぅのが気に食わねぇけど。」

「クスクス。そんな事言うと、恭子にまた怒られちゃうよ?でも、ほんとよかったぁ。昨日なんてドキドキして眠れなかったもん。」

「じゃぁ俺を呼べばよかったのに。」

「聞くだけ野暮だと思うけど・・・何で?」

「そりゃ、朝まで・・・」

「やっぱいい、その先は言わなくても分かるから。もぅっ、新一のバカ。」

頬を赤く染めて俺の頬を摘んでくる姫子の肩を抱き寄せて、そのまま唇を塞ぐ。

ちゅっ。と軽く音を立ててから離すと、もー。と呟きながら姫子が俺を見上げる。

「今日はまだ姫子とキスしてなかったし?俺、一日に一回はお前とキスしないとダメみたい。」

「あのねー。」

「姫子中毒だもん、仕方ねぇじゃん。キスしたらエッチしたくなってきた。これから姫子ん家行く?」

「何でやねんっ!!って、えっちで思い出したけど・・・さっき、凄い事言われてたね。」

姫子は少し俺から視線を外して、そう呟く。

「・・・凄い事?」

「ほらっ今朝の子達に・・・3Pがどうのとか・・・。」

「聞いてたのか?」

「聞こえたの!」

「っつぅか、姫子。3Pの意味知ってんだ?」

へぇ〜。と意地悪く呟きながら、姫子の顔を覗き見ると途端に頬が真っ赤に染まる。

「やっ・・その・・はっきりとは知らないけど。前に恭子がそんな事を言ってた・・・ような?」

「う〜わ、姫子のえっちぃ。」

「なっ!?何でそうなんのよ。それよりもっ!新一はあの子達にそう言われて何も思わなかった?」

「は?俺が何を思うんだよ。」

「だって、2人共すごく可愛いじゃない。そんな2人に言われたらって・・・。」

「俺がその話に乗るかもって?」

「・・・・・。」

俺の言葉に俯く姫子を見て、自然と口から笑みが漏れる。

な〜んだ、姫子。ヤキモチ焼いてくれちゃってるとか?

「まぁなぁ。昔の俺ならその話に乗ってただろうな。おっ!おいしいじゃんっ。とかって。」

「っ!!」

その言葉にビクッ。と反応して、俺を見上げる姫子に優しく微笑む。

「でも今は違うだろ?俺が姫子しか求めねぇって知ってんじゃん。俺のあいつらに対する態度を見てもあからさまに分かるだろ?」

「ん・・・だけど。春休みからずっとあんな調子で、いっぱいいっぱい女の子から告白されてるじゃない。なんかさ、それ見てたら・・・。」

「不安になったってか?」

「・・・・・ちょっと。」

「はぁ。お前さぁ、俺がどんだけ姫子に溺れてるかって死ぬほど分かってんだろ?なんならこれから嫌っつう程教えてやってもいいけど?」

「いや、それは・・・。」

・・・結構です。と姫子の口から出る前に、俺はそれを自分の唇で塞ぐ。

唇を塞ぎながら、姫子の肩にまわした手を顎にあて、そのままくぃっ。と上を向かせて舌を中に押し進める。

奥深くで舌を絡み合わせ、口内を堪能していると、暫くして姫子の口から官能的な声が漏れ始めた。

「はんっ・・・んっ。」

この声を聞くと、やっぱり我慢が出来なくなってくる。

そろそろ姫子の家に向かうかな。と、頭の片隅で思った時、うっそぉー!!と言う悲鳴にも似た声が俺達の耳に届いた。



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