*Secret Face ものすご〜く気まずいモノが私の中を流れる。 思い返せば、私一人の早合点?早とちり?? 私、新一に対してもの凄く酷い事を言わなかった? ――――『新一の、変態っ!女ったらし!!』 うぁ・・・・・最悪。やっぱり、嫌だけどあの時起こして確認しておくべきだった。 私は新一の部屋に連れて来られても、彼の顔を見れないでいた。 新一はベッドに腰をかけてその前に私を立たせると、俯く私の顎に手を当て自分の方へと向けさせる。 怒ったような新一の表情――――視線を合わす事ができない。 そんな様子の私に、静かに新一が口を開く。 「姫子、俺に何かいう事ねぇの?」 「・・・・・ごめん・・・なさい。」 「目ぇ見て言えよ。」 私は躊躇いがちに視線を合わせると、再び小さな声で、ごめんなさい。と呟く。 「姫子が常日頃、俺に言ってる言葉何だっけ?」 「・・・・・何でしょう。」 「お前ね・・・ったく。自分の事信じられないのか。だろ?人に散々言っといてからに、お前は 俺の事信用してねぇのかよ。」 「だって!それは・・・あんな姿見たら誰だって疑いたくなるやん。」 「疑うだけで、確認もせずに人の事を変態にタラシ呼ばわりして無視すんのかよ。」 「それは・・・」 「・・・・・それは?」 「・・・・・。」 再び気まずくて視線をずらすと、逃さない。とでも言うように顎の角度を変えられ視線を合わされる。 「俺、いつも言ってるよな?お前しかいらないって。お前だって俺の気持ち分かってねぇんじゃん。 どんだけ俺がお前を想ってるのかってよ。」 「分かってる・・・つもりだった。だけど、綺麗な女の人が隣りに寝てる新一見たら耐えられなかった んだもん。悔しくって、悲しくって・・・やっぱり新一は綺麗な女の人がいいんだって。私は 捨てられちゃうんだって・・・・・。」 言ってて涙が溢れてきた。 新一は私の顔から眼鏡を外すと脇に置き、頬を伝う涙を優しく親指で拭い取りながら、両手で 頬を挟んでくる。 「お前、充分綺麗じゃん。俺はお前程綺麗な女は知らねぇよ。他の女なんて何とも思わねぇ、お前 しか感じないし、抱きたいとも思わない。」 「綺麗じゃないもん・・・言ってくれる程私は綺麗じゃない。他にもっともっと沢山綺麗な女の人 いるもん。」 「そりゃいるかもしんねぇよ?でも、俺の一番はお前・・・小暮 姫子なんだよ。誰が何と言おうと 俺は姫子がいいの。姫子しかいらねぇ・・・何度言わせんの?」 「だって・・・・・。」 顔の表情を崩しながら、涙を流す私に、ふっ。と笑みを漏らすと新一は私の体を抱きしめる。 「でも、今日の姫子はちょっと嬉しかったりもしたんだけどな。」 「・・・・・へ?」 言葉の意味が解らず、抱きしめられたまま首を傾げると再び小さく笑う声が聞こえてきた。 「だってよ、いっつも俺ばっかヤキモチ焼いて姫子に怒られてさ。たまに思うんだよ、本当は俺だけ がこんなに姫子の事を好きなんじゃねぇのかってさ。だけど、今日の姫子見てちょっと安心した。 あぁ、俺だけじゃねぇやって・・・姫子も俺に対してヤキモチ焼いてくれるんだって。いつもの 冷静さを失うぐらい、俺の事で悩んでるんだって・・・ そう思ったら変態に女ったらしって言われても許せる気がした。」 「うっ・・・・・。」 意地悪い最後の言葉に思わず言葉が詰まる。 「まぁ、でも傷ついた事には変わりねぇけど?アネキと寝てる俺を見て、変態にタラシ呼ばわり されてよ・・・。」 「だから・・・ごめんってぇ。」 「・・・・・言葉なんていらねぇし。」 新一は抱きしめていた私の体を離すと、立っている私の目を見上げてくる。 真剣な眼差しに私の頬が俄かに火照る。 「どうすれば許してくれるの?」 「・・・どうすれば?お前が一番良くわかってんじゃねぇの、俺の事。」 私はその言葉に一旦視線を外して、再び新一の目を見てからゆっくりと彼の唇に自分の唇を重ねた。 ――――言葉なんていらない。身体で慰めてよ。 自分の腕を新一の首にまわし、何度も角度を変えながら彼の唇を啄ばむ。 新一の腕も私の身体にまわり、私のキスを受けるように音を立てながら返してくる。 その音を耳で感じ取りながら、自分の身体の中心が熱くなっていくのを感じていた。 舌先を唇に這わすと、それを追うように新一の舌先が触れてくる。 ゆっくりと絡めるように舌先を合わせ、その舌を伝いながら奥へと這入り込ませる。 お互いを味わうように口内を行き来し徐々にキスを深くしていく。 長い長いキスだった――――キスだけで溶けてしまいそうな甘い甘いキス。 新一の広い部屋にキスの合間に漏れる甘い私の吐息と、絡み合う舌の音が響く。 |