*Secret Face










「俺、そろそろ我慢できないんだけど?」

自分の片膝に座らせたまま抱きしめると、新一はそっと姫子を覗き込んだ。

「はっはいっ!?な、何がですか・・・・?」

おおよその見当はついてるものの、やはり聞き返してしまう。

新一は直接返事はせず、姫子の首筋にそっと唇を這わす。

「ひゃっ!!あっ、ん・・・やめ・・・て。」

自分の声に驚いてしまう。どこから出てるのこの声?知らないこんな声。

「色っぽい声出すじゃん。ほんと・・・たまんない。すぐにでも欲しくなる、お前の事。」

新一は首筋から耳まで唇を這わすと、耳朶をそっと甘噛みする。

「あっ・・・やっ・・ん。だっ、ダメだよ。ここ学校だから・・・・・。」

「じゃあ、学校じゃなかったらいいのかよ。」

新一は器用に姫子のブラウスのボタンを2つ程開けると、ちらりと見えた胸元に口付けをした。

「やっ、ぁ!!ふ、藤原君。ま、まっ・・・て。・・・・ぁっ!!」

引き離そうとする姫子の手を握り、脇によけると再び新一は唇を塞ぐ。

先程の優しいキスとは違う、少し強引なキス。

息つく暇もなく注がれるキスに姫子は息苦しくなって少し離すと、すぅっと空気を吸う。

「ふ、藤原君・・・お願い。・・・ま、まって。ここじゃ嫌・・・なの。」

「・・・・・悪ぃ。俺、焦ってるかも・・・。」

「・・・ど・・して?」

「今朝さ、麻田にお前をちゃんと捕まえとかないとダメだって言われてさ。何かしんねぇけど、すっげぇ不安で、すぐにでも俺の物にしたくなって。・・・・・余裕ねぇの。」

「藤原君?」

「すぐにでもお前が欲しい。こんな気持ちなったことねぇから、どうしたらいいのか分かんないんだけど・・・・・ダメか?」

「・・・・・ダメ・・・じゃない。・・・・・けど、ここじゃ嫌。」



(・・・・・で、来てしまった。私の家。)

あの話の流れから、やっぱりそういう事になるんだよね・・・。

初めてこの部屋で新一と交わしたキス。

キスは中学の時にしてしまってたから、緊張はしなかったんだけど。

もちろん恥ずかしかったわよ。

でも、あの時と今では状況が全く違う訳で・・・・・。

「ふ、藤原君、先シャワー・・・浴びてくる?」

(あぁ。私すっごい緊張してるぅ。口から心臓が出そうってこの事よね。)

「なあ、一緒に入る?」

新一はニヤっと姫子に笑いかける。

「なっ、何言ってんすかっ!!入りません。お先にどうぞ!!」

真っ赤になりながら、バスタオルとこの前の着替えを一緒に渡す姫子の頬に軽くキスをすると新一は浴室に入って行った。

「なっっ!!」

(ふぅぅ〜〜っっ。ダメだ。緊張で倒れそう。あぁ、藤原君てこういう場面慣れてるよね。)

あぁぁ、どうしよう。

部屋を行ったり来たり、乱れていない布団を直してみたり。落ち着かない。

がちゃっと部屋のドアが開き、新一が入ってくる。

その姿は、姫子が渡した着替えのズボンだけ身にまとい上半身は裸だった。

細いわけではなく引き締まった身体。筋肉も程よく付いていて、まさしく『男の身体』だ。

茶色く染めた少し長い髪の毛が濡れていて、すごく色っぽい。

(綺麗・・・って、おいっ!!私ったら何見とれてるのよ。)

「ふ、藤原君、なな何で上着てないのよ!!」

「え?暑かったから・・・お前、なに動揺してんだよ。もしかして、男の裸初めて?」

「ああ当たり前じゃない!!私は藤原君と違って遊んでないもん。」

「じゃあ、これからじっくり教えてやるよ。俺のからだ。」

ニヤっと新一は笑う。

「ばかっ!!何言ってんだか。わ、私シャワー浴びてくる!!」

姫子はバスタオルを引っ掴むと、更に頬を赤く染めて浴室に入った。



浴室に入っても、ドキドキは治まらない。

シャワーの蛇口を捻ると勢いよく水が出て姫子の身体を流れていく。

(はぁぁぁ。どうしよう・・・って私さっきからこの言葉ばっかり。)

でも、藤原君になら抱かれても・・・・・。

姫子は少しため息を漏らすと、決心するかのように目を閉じた。



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