*恋するオモチャ






「――――いづみとのエッチ、今までにないくらい気持ちいい。」

幸太郎は後ろから私を抱きしめ、肩先からウナジにかけて唇を這わせ、時折ペロっと舐める。

「もー・・誰にでもそういう事言ってるでしょぉ?」

「あのね。そういう言い方、俺が遊び人みたいじゃん。こんな事他の誰にも言ってないっつうの。それに、俺は嘘は付かないし、本当の事しか言わない・・・って言うか言えないから。今度そういう言い方したら、俺怒るからね?」

幸太郎は、こらっ。とでも言うように耳朶を歯を立てて軽く噛んでくる。

果てたばかりだからか、それにも私の身体が反応を見せて、ぴくっと身を捩りながら声が漏れた。

「んっ・・・・・ごめん。」

「お仕置きとして、もーワンラウンド行く?」

「はっ?!お仕置きって・・・もうワンラウンドって・・・もぅすでに2回もしたじゃない!これ以上したら、私の体がもたないぃ!!明日も学校なんだから、勘弁してよぉ。」

「ダメ。元気になっちゃったもん。全部受け止めてよね、って言ったじゃん?それに、ゴムもまだ一個残ってるしぃ。」

――――諦めて。そう耳元で囁きながら、幸太郎は私の片足を腕で抱えると後ろからゆっくりと這入ってきた。

「んぁっん!!」

ダメだって言ってるのに、それに反して自分の身体が反応を見せるのが悔しい。

首のしたからまわされた手で胸を優しく揉まれ、舌先で耳朶から首の裏を刺激させられると、途端に敏感に反応して、自分の意思とは関係なく彼を締め付ける。

「っく・・・そんな、急に締めたらまた動きたくなるだろ?激しくしてもいいの?」

「やっぁ。だって、そうしようと思ってやってるわけじゃないもん。仕方ないじゃない。」

「ふーん。自然になっちゃうのは仕方ないんだ。っつぅ事はあれだよね。俺が自然に激しくなっちゃうのは仕方ないって事だよねぇ?」

そういう意味でもない気がする。大体、幸太郎が激しくするのって自分の意思じゃない!

もぉーっ。こんな時まで高校生に勝てないなんて・・・悔しすぎる。

「もぉっ!幸太郎のバカっ!!」

「あはははっ!いづみ、顔真っ赤。すっげぇ可愛い、その顔も。やぁっぱ誰にも触れさせたくないから・・・ねぇ、『俺のモノ』って事でキスマークつけていい?」

そう言って少し律動を早めながら、首筋を幸太郎の舌先が這う。

徐々に快感の頂点に導かれて意識が朦朧としながら、私はふるふるっと首を横に振る。

「はぁっん・・・ダメよ。明日も授業っ・・あるんだから。誰かに見られたら・・・どうするのっあっあっ・・んんんっ!!」

「目立たない・・・とこならいいだろ?・・・んっ。やばっ・・・そろそろイきそっ。」

幸太郎は色っぽい声でそう呟くと、二人の身体を反転させて自分の体の上に私を乗せて突き上げてくる。

ちょっと・・・すごい恰好なんですけど・・・。

二人ともが仰向けになった状態で、下から激しく突き上げられる。

さっきまでとはまた違った場所を刺激されて、急激に快感の波が押し寄せてきた。

「んぁっん!ダメっ・・・ダメよ、幸太郎っ!!またっ・・イクっ!いっちゃうぅっ!!!」

「俺もっ・・・イクからっ・・・一緒にイこう。」

両胸の蕾を同時に、きゅっ。と摘み上げられ、クリクリっと指先で弄られる。

「あぁぁぁんっ!こっ・・たろっ!!」

「・・・んっ・・・っく!!」

最後、激しくベッドが軋み、幸太郎の動きが止まると共に、私の意識は暗い闇に落ちていく。

――――・・いづみは俺のモノだからね。

うなじ辺りに彼の唇を感じながら、そんな幸太郎の声が聞こえたような気がした。




「――――ん〜っ・・・外が明るいっ・・・って、もう朝っ?!」

夜中、幸太郎が家に帰って行ってから気だるい体を引きずってお風呂に入り、パジャマを着てベッドに横になった途端意識がもうなくなっていた。

なんか、すごいハードな運動をした後のようにあちこち筋肉痛のような気がする。

いや、実際超ハードな運動のようなものだったのだけれど・・・。

って言うか・・・激しすぎる。

毎回、あんなんじゃ私の身体が持たないわよ。でも、あんなに気持ちいいと思ったのは初めてかもしれないなぁ。

なんて事を考えると、自然と頬が赤く染まる。

やだもう、私ったら何考えてるのよっ。はっ早く用意して学校に行かなきゃっ!

私はそそくさと支度をすると、カバンを掴んで玄関を飛び出す。

「おっはよぉ、いづみちゃん♪グッドタイミング。」

「うわっ!びっびっくりしたぁ。おっ・・・おはよう。戸田君。」

玄関を出てすぐの所に幸太郎の姿が見えて、思わずびくっ。と体を震わせ、かっ。と頬が真っ赤に染まる。

「あっれぇ〜?いづみちゃん、顔真っ赤じゃん。クスクス。どったの?」

・・・・・分かってるくせに。

昨日の事を思い出し、頬を染めている私に対して含み笑いをしながら、幸太郎が私の顔を覗きこんでくる。

なによ・・・そのいやらしい目付きはっ!!

「べっ別に・・・何でもないもん。」

「そ〜おぉ〜?なら、いいけどねん。あ、そうそう。いづみちゃんて髪留めとか持ってないの?」

「え?持ってるけど・・・どうして?」

「今日って暖かいじゃん。いつも一つにまとめてるからさ、今日はアップにしてみたら?初日に出会った時みたいにさ。」

「えぇ?いいよぉ。そんな事してたら時間なくなっちゃうもん。」

私は腕時計をチラッとみながらそう呟く。

「俺がやってあげるから、早く取っておいでよ。」

「えぇ!いいってぇ、それよりも学校行かないと。」

「いいから、いいから。早く、早くっ!!」

どうしてそこまでアップをさせたがるのか不思議に思いながらも、幸太郎にせっつかれて小さくため息を漏らしながら家の中に髪留めを取りに戻った。

「・・・・・コレ。でも、アップできるの?」

「任せといて。俺、こう見えても手先は器用なんだって。ガキの頃は美菜のやつもよくやってたし。」

「そうなんだ。」

にっこりと笑って手を出してくる幸太郎に、私は髪留めを手渡すと彼に促されて背中を向けた。

くるくるっ。と髪が引っ張られ、あっという間に髪の毛が留まる。

「ほいっ。でっきあっがり♪」

「うわっ。もうできたの?すごいっ・・・本当に器用なんだね。」

「だろ?ん〜、アップしてるいづみちゃんも超可愛いじゃん。バッチリ決まってるし、首元すっきりだな。」

「あ・・・ありがとう。・・・って、何?その笑みは。」

私は素直に幸太郎に向けてお礼を言うと、彼は少し意地悪の入った笑みを見せる。

「ん?別に・・・さ、行こうぜ。」

「ちょっと・・・?」

首を傾げる私の手を取り、ちゅっ。と軽く頬にキスをしてから、彼は鼻歌交じりに歩き出す。

なに・・・なんかすごく不安に駆られるのは気のせいかしら?



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