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2007

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作成者:Shoemaker
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歴史関係コラム


8メートル級人型兵器世界


 『機動警察パトレイバー』(設定年代1998年)のレイバー、『高機動幻想ガンパレードマーチ』(設定年代1999年)の人型戦車、『フルメタルパニック』(設定年代1998年)のアームスレイブ、これらは、そろいもそろって8m級の機体である。
 さて、なぜでしょう。
 答えは簡単で、これよりでかいと20世紀末〜21世紀初頭の日本の市街地で行動できないから。

 8mってことは普通の大人のだいたい5倍。言い換えるなら、道路の1車線(3m)が人間にとっての60cm相当ということになる。これより狭いと、肩とかぶつけずに歩くのは大変。
 8m級人型兵器の市街地の機動力は、車がすれ違える道路(120cm相当)なら走れる、車が通れる道路(60cm相当)なら歩ける、というところになるはず。

 『サクラ大戦』の光武の全高が2.5メートル(カンナはどうやってのっている?)、神武でも3.5メートルしかないのも、技術的限界がどうこうというより、大正時代の帝都で行動できる最大限のサイズと考えると合理的な説明がつく。幅3メートル程度の「幹線道路」がいくらでもあった時代なのだ。


 この考え方を敷衍するならば、8メートルを大きく上回る……12メートル級とかの人型兵器をリアルロボットとして登場させることの不条理も理解できるだろう。

 そもそも、人型兵器というのは、戦車と平地で射撃戦をやれば装甲と射撃安定性と投影面積の三点から敗北は必至で、むしろ車輌が機動力と火力を十全に発揮できない都市や山岳にこそ向いた存在ということができる。(よって世界でもっとも人型兵器向きの地域は、山がちで都市化が進んだ日本・韓国・台湾である)
 8メートルを越えるサイズを選択するというのは、その市街戦の優位をみすみす切り捨てるということになる。
 12メートル以上の人型兵器にリアリティを持たせるためには、それに見合った戦場と作品世界を想定しなければならない。たとえば、道路が一定以上の太さで統一された計画都市(ただし地形条件を甘くする方向性は車輌に対する相対優位を怪しくすることに注意)、あるいはAMBAC理論のような理由付けを行っての宇宙への進出(ミノフスキー粒子のような宇宙戦闘機に対抗する設定も必要となる)などが考えられる。

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