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2007

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作成者:Shoemaker
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歴史関係コラム


日韓戦車話


 地形条件が兵器に影響を与える顕著な例として、日韓の“軽量級”戦車が好例として挙げられる。

 日本・韓国・台湾あたりは、いずれも地形が峻険で、平地は都市or田圃の二択というなかなか壮絶な環境なので――
 日本の90式戦車(約50t…以降重量は全て最初期型)は、よく元ネタなんていわれるドイツのレオパルド2(約55t)に較べて、5トンほど軽く作られている。削られたのは、どうやら側面・背面装甲らしい。もちろん、日本の地形を考えれば、諸外国の戦車に較べて側面を気にする必要は小さいわけで、この判断は健全というもの。そして74式戦車を更新することになる新型戦車は、もっと軽く小さく作ることが求められている。

 韓国のK1戦車(約50t)は、アメリカのエイブラムス(約60t)の開発チームによる設計。120mm砲搭載のエイブラムス(もっとも初期は105mm砲搭載だったのだが)を、小型化したような105mm砲搭載の戦車。近距離砲戦ならさほど主砲威力を気にする必要はないし、朝鮮半島で(ついでに本州以南や台湾でも)2kmも3kmも直射で射線が取れるとは思えないので、これも健全な判断というもの。ところが、韓国陸軍はこのK1に、何を血迷ったか120mm砲を積むのです。K1戦車は実質的に「120mm砲を諦めるという前提で小型化したエイブラムス」なのにですよ。

 この戦車、昔はもっぱら88年式(ソウルオリンピックの年だ!)って意味で、88(パルパル)って呼ばれてたんですよねー。ところがいつのまにかこの名前は使われなくなってる。wikipediaでは95年の軍事クーデタがきっかけじゃないかとか言われてる。たぶん、このあたりで韓国陸軍内にいろいろ政治的なゴタゴタがあって、この積み替えも、純軍事的必要性よりもむしろ派閥的なものなんじゃないかな、というのが私の予想。ま、根拠はとくにあるわけじゃないが。


 もしも「極東有事」なんてことが起こったら、改装により70tにも達したヤンキーのM1戦車は、日本・韓国・台湾で行動するのは相当難儀すると思う。その脇を74や90やK1戦車がすーいすい……そして頭でっかちのK1A1がじたばた……と。


 ちなみに私が設計思想の上について一番高く評価する戦車はルクレール。自動装填装置とか、データリンクとか、自動化・機械化が進んでるから。
 74式改造案ってのは、ミリタリマニアのありがちな妄想の種で、みんな120mm砲を載せたがるんだけど、私なら「主砲そのまま、中身をルクレールっぽく」って案を推す。74の第二世代らしい丸っこいフォルムを潰してしまうのはもったいないから(笑


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