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俺はマネージャー

 

 

誰もがそうであるように、俺も『憧れの芸能界』というものに興味があった。

しかしその程度はごくごく人並みで、飽くまでぼんやりとしたレベルの域から脱しない。
その世界に飛び込むほどの勇気も思い入れもない。

芸能界―――そこは俺にとって全く現実味を帯びない世界だった。

 

そんなある日のこと。
就活中、大学の就職の掲示板に、昔好きだった女性アイドルが所属している大手芸能プロダクションの求人が貼り出されているのを見つけた。

「『受けた』という思い出作りのために、ダメモトで受けてみようかな。」

一般企業に交じって1社だけプロダクションの入社試験を冷やかしで受けてしまったのが運の尽き。
芸能界に対する野望や情熱が湧いていない状態のまま、幸か不幸か最終面接まで呆気なく合格してしまった。

他の企業も数社合格していたが、それらはどれもやろうと思ったらいつでも就くことができる仕事ばかりだった。

「せっかくの機会だし、とりあえず行っとく?合わなかったら辞めればいいだけだし。」
そんな軽い気持ちで、プロダクションでの仕事を選んだのだった。

 

入社日当日、配属先の発表。

営業やプロモート関係の部署を希望していたが、配属先はマネージメント部―――
つまり、今日から俺はマネージャーだ。

まさかそんなメジャーな名前の職に就くことになろうとは。
・・・正直そこまでは望んではいなかったんだけど・・・。


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