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「グラウンドは俺が押さえときましたよ。」
「ホントっすか。ありがとうございます。」
「相手はね、北山さんが勤めてる大学の職員さんが所属してるチームです。その職員さんのね、ご近所の犬仲間だそうです。」
「へぇ〜、じゃあ俺らと一緒じゃないですか。」
「ええ、偶然らしいですよ〜。」

またドアが開く音がした。
今度はふわふわの人がユウジを連れて店内に入ってきた。

「あっ、酒井さんお疲れ〜!」
「お疲れっす。」
「や、あ、どもっ、遅くなってすんません!なんとか今日締め切りの原稿を描き終えまして・・・。」

ふわふわの人は先代の林家三平みたいに側頭部に手をやりながら、ペコペコとお辞儀する。

・・・相変わらずトレーナーの柄がヘンだ・・・。

『あっ、これはこれは。みなさんお揃い・・・ではないな。』
『ヨウイチさんはまだ来てないよ。カオルさんは来れないでしょ、グリル営業時間中だし。』
『ああ、そうだな。万が一、今カオルさんがここに来たとしたら、たぶんそれは迷子になってハグれた場合でしょうねぇ。』
ユウジの推測に、オレとユタカはワフワフと笑った。

ふわふわの人がニコニコな人の横に座ったところで、ご主人様がふわふわの人に尋ねる。

「酒井さん、何飲まれます?」
「お隣さんと同じで。っと、その前に何か軽く食えるもんありますかね?実は昼前に朝昼兼用で食べてから何も食ってなくて・・・」
「あっ、と・・・酒のアテみたいなもんしかないんすけど。」

ご主人様が薄っぺらいふたつ折りのフードメニューを差し出した。

「大丈夫、十分です。じゃあね、俺、これと〜、これ!」
「あっ、ボクも頼もうかな。」

横から身を乗り出してニコニコな人もメニューを指差す。

三たび、ドアが開いた。
そうだろうなと思ったら、やっぱりスマートな人とヨウイチだった。

『こんばんわ〜。』
『おっ、ヨウイチじゃないか。』
『ヨウイチさんいらっしゃい!』

コラ、そこのちんまいの。
オメェの店みたいに言うんじゃねぇ。


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