『あっ、テツヤさんじゃないっすかぁ!』
ゾクッ。えも言われぬ恐怖と悪寒に襲われる。
ゆっくりと声のする方を振り返った。
『う〜ゎ、出た!』
『なななっ、何すかっ、もぅ〜!そんなナマでUA見たみたいに驚くことないじゃないですかぁ!』
機関銃のようにユウジがまくし立てる。
『ナマでUA見るより恐ぇっつ〜の!・・・って噛むなよ?!絶対噛むなよ?!』
思わず歯を剥いて威嚇するオレ。
「テツヤ!周りのオネエサン方がビビっちまってるじゃねぇか!」
ご主人様に怒られた・・・
みんなわかってないぜ・・・ビジュアルに誤魔化されるけど、ホントに恐いのはこのレトリバーの方なんだからな!?
「どうも〜、村上さん。」
「あっ、サカイ先生〜。」
「先生なんて呼ばんでくださいっ。マチャアキさんやあるまいしぃ〜っ。」
ふわふわの人、頭をワシワシ描いて照れている。
「はぁ・・・じゃあ、酒井、さん・・・。」
「はいはい。こんにちわ〜。」
「それは何です?」
ご主人様は、手元のメニューとふわふわの人のテーブルの皿を見比べている。
「これは、プリンとイチゴのパルフェですよ。」
「へぇ〜、プリンとイチゴぉ〜。」
「この店のいいところはね、飼い主とペット、同じものが食べれるんです。
もちろん、犬用のはちゃんと犬に合う用に配慮して作ってあるんですよ。」
「へぇ〜・・・。あ、すいませ〜ん。」
ご主人様がエプロン姿の女の人に声をかける。
「はい。ご注文お決まりでしょうか?」
「プリンとイチゴのパルフェ。あと、コイツのも一緒で。」
なっ?!オレもそれなの?!
・・・周りの可愛い子ちゃんたちがクスクス笑っている・・・顔から火が出そうだ・・・
『おぉ、テツヤさんもそれですか?オレもさっき食ったけど美味でしたよ?』
『・・・レトリバーはいいな・・・』
『え、何言ってるんすか〜。ドーベルマンの方がよくないっすか?スタイルいいし、かっこいいし。』
そういう意味で言ったんじゃないんだけど。
でも、まぁ、まんざらでもなかったりする。
「お待たせいたしました〜、プリンとイチゴのパルフェでございます。」
器こそ違えど、オレの分までキレイにデコレートされている・・・
「お、うまそ。食おうぜ、テツヤ。」
まぁ遠慮なくいただくけどさ。
恐る恐る舌を伸ばし、イチゴの上にちょんちょこり〜んと乗ったクリームをなめ取った。
・・・ん?・・・うまっ!うまいよ!?甘さ控えめでこれめっちゃうまいよぉ〜!?
「あれ?もしかしてテツヤ、スイーツもイケるクチ?」