♪からんころんから〜ん。
「あ、いらっしゃい〜!」
「いや〜、どうもどうもどうも!」
背が高くてふわふわパーマの男の人が店に入ってきた。
ニコニコしながら。
片手でポリポリ後頭部を掻きながら。
ペコペコ頭を下げながら。
・・・Tシャツがヘンだ・・・。
その後ろから、俺と同じぐらいのタッパのゴールデンレトリバーがリードに繋がれて入ってきた。
『や。どうもどうも。』
こいつもペコペコ頭を下げてやがる。
『あっ!ユウジだ〜』
カオルが尻尾を激しく振り、“はっはっ”言いながらそいつの元へ走っていった。
『あっ、どうもカオルさん。』
「あ、カオルくん。いつも元気だなぁ。」
あのチビ、いつでも誰に対してもリアクション一緒なのな。
ま、いいや。
そんなことを思いながら、変な凸凹コンビを観察していた。
『あ、カオルさん知ってます?駅前にドッグカフェができたんですよ。スイーツもうまくてなかなかいいっすよ。』
『へぇ〜。今度ご主人様引っ張って連れて行こうっと。』
オンナみてぇなグルメトークを展開してんじゃねぇよ・・・。
『あ、そうだちょうどよかった。こっち来て〜。』
『ん?どうしたんですか?』
俺の元にカオルが戻って来た。
後ろからユウジって奴がついてくる。
『ユウジにも紹介しておくね。テツヤだよ。』
『よ、よろしく・・・』
こいつ、人見知りするタイプだな。軽く目が泳いでる。
『おぅ・・・よろしくな。』
って俺もそうだけど。
『テツヤは友達いないみたいだから、ユウジ、仲良くしてやってね。』
『うっせぇよ!余計なこと言うな!』
『カオルさんとしゃべってるとイライラするでしょ?ま、そのうち慣れますけどね。』
『・・・慣れたくねぇっつうの・・・』
『え?イライラって何が?』
『なんでもないですよ。』
このユウジって奴とはまだキャッチボールできそうだ。