「・・・あなたも一緒に行きます?このちっこい子、ここに置いていきますから。」
ヨウイチはあっさりとパートナーを乗り換えた。
「なんだよ〜!オレも連れてってよ〜!」
「だって得意技がボディプレスとストンピングって地味すぎるもん。」
「オレもさっきのぐらいだったらできるよ!」
「やったことあんの?」
「う・・・ううん・・・ない、けど・・・たぶん・・・」
「そういう計画性ない発言、やめた方がいいよ?じゃ、僕、テツヤさんと一緒に行くから。さ、行きましょう、テツヤさん。」
ヨウイチは、テツヤの背中を両手で軽く押し、水陸両用車に向かって歩き始めた。
「ヨウイチ待ってよ〜!オレもきっとあれできるよ!ちょっと見ててネ!」
そういうとカオルはテツヤのやっていたように構えた。
「ちゃ〜・・・しゅ〜・・・めぇ〜んっ!」
カオルが手のひらを前に押し出すと、テツヤほどの威力はなかったが光が放出され、家の横に立ってた椰子の木を薙ぎ倒した。
「やったぁ!すごいだろ〜?」
「いやいや、『チャーシューメン!』って!ちばてつやの『あした天気になあれ』じゃん!これって何でもアリなの?!」
得意気なカオルと、突っ込まずにはいれらないヨウイチ。
そこへテツヤが口を挟む。
「まぁ、ベースは『カメハメ波』だけどさ、やろうと思ったらいろんなバリエーションでできるぜ?
『♪あっのっ頃っは〜、はぁっ!』とかな。」
「アッコさん?!」
「というより吉村君をイメージしたんだけどな。」
「どっちでもいいです・・・」
「あっそ。」
「仕方ない・・・カオルも連れて3人で行きますか・・・」
「やったぁ〜♪」
「おい、待てよ。スウェットスーツのまま行くのは変だろ。着替えてくる。」
テツヤは崩壊した家へ向かうと、瓦礫の中からアロハシャツと短パンとサングラスを拾い上げた。
「きゃっ、見られながら生着替えなんて、てっちゃん恥ずかしいっ☆」
「はいはい、僕たち見ませんからさっさと着替えてくださいよ・・・」
ヨウイチは、カオルの目を両手で塞いで、自分も明後日の方向を向いた。
「え〜!何だよ〜!見たかったのになぁ!」
ヨウイチに視界と動きを妨げられたカオルはジタバタもがいている。
「オッケ〜。着替え終わったぜ。」
テツヤの合図で、ヨウイチはカオルを抑えつけていた手を解放し、テツヤの方へ向き直した。
「いや・・・あの、だからさ・・・そこにボール入れるの、やめてくんない?」
「なんなら、お前のと交換してやろうか?今ならもれなく人肌の温かさだぜ?」
「やだ・・・触りたくない・・・」
こうして3人は、ヨウイチの運転する水陸両用車で残りのボールを探す旅に出たのであった。